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智頭町でフェミンアート? [旅(Travel)]

005・庭・510.jpg

○石谷家庭
○The garden of ISHITANI house

智頭町に行ってきました。

以前に智頭町に風船アートの、
IMPREINTで訪問した事があった事から、
またお伺いする機会があり、
今週行ってきました。

ここで現在非常に遅い速度で連載中の、
フェミンアート」の日本版をするかどうか、というお話を、
NPOの方と一緒に町長さんや、
役場の方としてきました。
大体やる、という方向になり、
ほっとしています。
実施は来年10月くらいを目途にしています。

智頭町は鳥取県の八頭郡にあり、
杉で有名な所です。
山野は非常に美しい。

お昼ご飯は「みたき園」で頂きました。
ここは古民家を移築した所で、
その建築も好きです。

001・みたき園・510.jpg

○みたき園
○Mitaki Garden

003・囲炉裏・510.jpg

○囲炉裏
○Hearth

004・倉・510.jpg

○智頭往来
○The historical street of Chizu

お話合いの後、
智頭往来を歩いて、
NPOの方と「石谷家」を見学に行きました。
ここは国の重要文化財です。

006・ふすま・510.jpg

○石谷家内部
○The inside of ISIHTANI house

007・半鐘・510.jpg

○石谷家の窓からの景色
○The view from the window of ISHITANI house

庭も素敵ですし、
中の建築も素晴らしかったです。
それにこの石谷家はつい最近まで
実際に石谷家の方が住まわれていたそうです。
町とのお話合いで、
歴史的なものですから、
公開される事になったそうです。
それも凄い。

そんなこんなでまだ色々実現までに、
過程がありますけど、
実現できるように頑張ります。

トルコでは最近大きなテロがありましたけど、
どんな経緯があってもテロは正当化できません。
自分は自分なりに極端な運動には絶対に手を貸さずに、
またそのような極端な団体等から絶対に支援を受けず、
手作りで手の届く範囲で計画し各国の人が交流できて、
異文化間の理解を深め国際平和につなげられるように、
少しずつ努力したく思います。

では!
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サロン・ドートンヌ2014・2話「リクエスト」 [旅(Travel)]

003・ドーハ空港内ぬいぐるみ・510・4618.JPG

ドーハ空港内のぬいぐるみ!
The bear of stuffed toy in DOHA airport!

◎出発の日16時に、
2週間前に梱包済の作品へ、
引っ張るためのヒモを巻き、
廊下を引っ張る。

『???』突如ロウバイする。
引っ張った時の重さが、
想像よりも遥かに重いのだ。

作品は額を含めて「11.3キロ」。
これは何度も量ってあるから間違いない。
そして作成して頂いた強化カートン箱は、
少なくとも見積もりメールでは「4~5キロ」。

重い方の「5キロ」で考えても、
「約17キロ」。

カタール航空エコノミー受託手荷物の、
総重量は「30キロ」だから、
もう1キロ余分を見ても残り「12キロ」が、
「衣類等」の別荷物として預けられる訳だ。

ところが引っ張った強化カートン箱は、
「約17キロ」どころではなく、
どう控え目に推量しても、
20キロは超えている。

体重計に載せてみると、
果たして「約24キロ」!
つまり強化カートン箱自体の重さは、
「12キロ」ほど。

「見積もり」の重い方5キロでも「2倍超」。
軽い方4キロなら実に「3倍」だ。

作成を依頼した梱包屋は、
もちろん長年の経験から、
完成して持った瞬間に判っただろう。
だが恐らく売れなくなっては困るから、
黙って引き渡したのだろう。

このようにして「3つの難題」の内、
最後の1つの姿が次第に明瞭になってきた。

『この作品をパリまで実際に運び、
そして展示可能なのか?』
という根本的な問題だ。

もしこれが解決できないならば、
パリには「観光旅行」として、
行くハメになるだろう。

「各自が夫々の責任を果たさなければ、
民主主義は回らないんだっっー!」
1人で叫びながら、
兎も角も現実面では、
手荷物の重さを「半分」に減らし始める。

「スーツケース」を止め、
「キャリーバッグ」に・・・

「携帯イーゼル」を諦め、
「腕鎮(腕を運筆用に載せるもの)」も置いていく・・・

持ち込み用「中リュック」に、
別の「小リュック」をヒモで括り付け、
「2個イチ」にして、
「機内持込み1個」を達成する。

結局「キャリーバッグ」に積み替えた、
作品を除く受託手荷物は「5キロ」。
作品が「24キロ」だから・・・
合計「29キロ」。
辛くも「30キロ以内」を突破した。

運送屋さんの植さんは、
約束より15分早い、
18時45分に到着する。

自分自身の用意がまだで、
約束の19時まで待って頂き、
更に2分超過して19時2分に出発!

空港で2台の台車を借り、
植さんと建物内に引っ張り込む。
中国人らしき旅客も手伝ってくれる。
「サンキュウ!」

カタール航空のカウンターに行くと、
職員が余りの大きさに眉を顰める。
「大きさは計っておりますか?」

「170+170+20=360で、
3辺の和は412センチ以内です。」

カタール航空の規定では、
3辺の和412センチ以内、
合計重量30キロ以内、
となっている。

「計ってみます」と女性職員。

上級職員らしき男性も近づいて来る。
少し怒っている様だ。

「これだけ大きな荷物を積む、
『リクエスト』はされていますか?」
「いえ、しておりません。」

「確かに規定上は412までは、
お受け出来ますが、
荷物状況によっては、
リクエストをお受けしていない場合、
積めない恐れがあります。」
「はい。」

「それに規定以内であっても、
航空機の扉から搬入出来なければ、
そこで止まってしまいます。」
「はい。」

「更に美術品だからといっても、
他の航空手荷物と同じで、
損傷しても何の保証もありません。」
「はい。」

「最後にヒモを掛けておられますが、
この1本だけでは開く可能性があり、
このままではお受けできません。

空港内にパッキング・サービス等ありますので、
そこでテープなどで留めてください。」

「ヒモが1本なのは、
中身を検分して頂く事を、
前提にしたもので、
箱の中に更に『PPバンド』が入っています。」

「『PPバンド』とは何ですか?」
「引っ張って締めるヒモです。」

『ご存知ですか?』という風に植さんを見る。
「ここで付けましょう」と植さんが言ってくれる。

そこで2人で許可を得て、
その場で『PPバンド』を付ける。
ところが2人とも付け方を知らない!

植さんも扱った事は無く、
ナギもクロネコのバイトで、
使った事はあるも忘れており、
しかもこの『PPバンド』は、
梱包屋が付けたもので、
様式が異なっている。

運ぶ約束だけだった植さんを、
巻き込みながら方法を探り、
ついに2人とも理解して、
『PPバンド』は絞められた。

「ご協力頂いたようなので、
そのままお預け頂いて大丈夫です。」
上級職らしき男性も機嫌を直す。

新たにお伝え頂いた情報では、
「大阪→ドーハ」間は運べるが、
「ドーハ→パリ」間は約束できないとの事。

ともあれ不安を抱えたまま、
植さんにお礼を言って別れ、
ドーハ行きに乗り込む。

001・関空出発前・510・4616.JPG

約10時間の飛行の後、、
ドーハに到着する。

搭乗口はC-26と告げられるも、
最終的にB-3に変更。
そのB-3で明けて行く空の下、
荷物が機に積み込まれるのを見守る。

004・ドーハ空港C-26搭乗口・510・4621.JPG

005・ドーハ空港B-3搭乗口・510・4624.JPG

果たしてあの中に、
パリで展示する作品は、
無事に含まれているのか?

何の保証もなく、
パリ行の便に乗り込んだ。
(つづく)

002・ドーハ到着・510・4617.JPG
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サロン・ドートンヌ2014・1話「3つの難題」 [旅(Travel)]

2014・170センチのパッキング・510.jpg

162センチ四方の作品を梱包したもの。
日付は変更しなければならなかった。

The package of my work, 162cm(65inches) square.
I needed to fix the date of it.

◎スマートフォンが点滅している。
何か連絡があったらしい。

電源を入れお知らせ欄を引き出して見ると・・・
「カタール航空からフライトに関する、
重大な変更が届いています。

すぐに『・・・(エクスペディアの番号)』に、
お電話ください。
場合によってはお席が確保できない場合もございます。」

・・・なんじゃそりゃ!

今日は10月10日の旧体育の日。
フランスに出発する僅か2日前。

快晴の日差しが差し込む中、
激しい不安に苛まれて電話。
この時点でちょうど正午。

旅行代理店のエクスペディアによると、
行き12日の便はそのまま飛ぶが(少し安心)、
帰り21日の便がパリ→ドーハはそのままも、
ドーハ→大阪が「欠航」との事。

・・・なんじゃそりゃ!

ドーハ→大阪は翌日22日の同時刻に飛ぶ便が、
代替案として示されているとの事。

理由は何も知らされていないという。
出発日の12日は台風が予想されているが、
1週間後の21日に特段の理由がある訳がない。

推察するに恐らくその便の乗客が、
利益を出すのに十分な数では無かったので、
航空会社の都合で前後の便に詰めようとしたのだろう。

僅か1週間前とは!
国内や国外で既に行った様々な手配や契約は、
どうなるんだ!

と言ってもエクスペディアに怒ってもしょうがない。
「宿泊費等が出るんでしたら、
翌日の便で結構です。」
「航空会社に確認して折り返しお電話します。」
担当はミノワさん。

その返事を待つ間に、
エクスペディアの別の方からお電話がある。
「カタール航空で重大な変更があって・・・」
「その件では既に別の方にお電話しております。」
「あっそうでしたか!」

しかし新たな情報がその方からもたらされる。

「エールフランスのほぼ同時刻の直行便と、
カタール航空ドーハ発→成田着の便が、
代替案として示されています。」

「エールフランスの直行便良いですね。
成田着のものも大阪まで繋げて頂けるなら、
問題ありません。
翌日便は別の方に確認して頂いています。」

さらに続けて・・・
「ただ問題なのは170センチ×170センチ×20センチの、
大きな看板のようなものを運ぶ必要があり、
それが受託手荷物として載るかどうかが問題です。」
「そうですねー!」

この方はタカモリさんミノワさんと相談し、
解決可能な案を探してくれるとの事。

そのミノワさんからまた着信がある。
ただしタカモリさんの情報はまだ伝わっていないようだ。
「ドーハの翌日便ですが、
空港内で24時間を超える乗継は、
認められないとの事です。」

・・・なんじゃそりゃ!

「カタール航空では宿泊費等の保障も出来ないとの事で、
全額返金で対応する事は出来るとの事です。」

「全額返金頂いても、
現地での行動計画が綿密に組まれていますから、
今更どうにもなりません。
手配した現地の運送屋さんに支払う金額だけでも、
自分にとっては大変な額です。」

「そうですねー、そうですねー!」

「あと別の方(タカモリさん)からお電話があり、
エールフランスのほぼ同時刻の直行便と、
パリ→ドーハ→成田の便があるそうです。

いずれの便でも170センチ×170センチ×20センチの、
大きな看板のようなものが載れば、
問題ありません。」

「確認してみます。そのままお待ちください。」

20分ほど待つも・・・
「エールフランスはその大きさは載らないそうです。
載せる場合はお客様ご負担で費用が掛かります。

成田経由は大阪までの別会社便を、
ご用意する事は出来ますが、
やはりカンバンは載らないそうです。」

・・・八方塞がりだ。

しかしミノワさんの話には続きがある。
「この2便はご予定の21日パリ発の便ですが、
前日20日の便なら日は違いますが、
時刻は同じ時刻のものがあります。
この航空会社はカタールです。」

「その前日の案はパリの運送会社との、
荷物の搬出入の約束があり、
相談しないと一人では決められません。

すぐ相談して折り返しお電話します。
担当はミノワさんですか?」

「そのとき電話に出たものが担当となります。」
「了解しました。」

ここで13時30分。
パリでは朝6時30分だろう。
少し早いがパリの運送屋さんに電話だ!

『出てくれ!』祈る気持ちで1分強、
日本とは異なる呼び出し音を聞き続ける。

奥さんが出られる。
「朝早く申し訳ありません。
・・・今おられますか?」
「はい、少しお待ちください。」

・・・結果として・・・
「大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます!」

次に日本の運送屋さんに電話。
「良いですよ。」
こちらも大丈夫!

すぐにエクスペディアに電話する。
今度の担当はキンさん。

カタール航空への確認をして頂くが、
「そのままお待ちください。」
と電話口で言われてから、
実に30分以上も受話器を持って待つ。
長すぎる!・・・駄目なのか???

「大変長らくお待たせしました。
予約が取れました!」
「ありがとうございます!」

最後にパリの日本人宿の経営者、
京本さんに日程変更をメールし、
キャンセル料が必要かどうか確認。

この時点で14時30分。
一旦永遠に続く事務を止め、
走りに行って空手の練習をして、
頭を切り替える。

帰ってくると京本さんからメールが来ている。
『ナギさんからキャンセル料は取れませんよ。
料金も友達価格の120ユーロで結構です。』

『ありがとうございます。!』
7日で120ユーロなら1泊およそ17ユーロ。
これは本当に助かった。

こうして最初の日に起こった、
「3つの難題」の内、
1つ目を解決した。

2つ目は今年最大の台風19号だ。
これも時速20キロという自転車ほどの、
進行速度が幸いして、
出発時間には九州南部が暴風圏。
神戸では雨も降っていない。

このようにして2つ目の難題、
「台風」が辛くも回避された。

翌日なら間違いなく「欠航」。
危機一髪だったと言える。

しかし今までの2つも確かに難題だったが、
それに勝るとも劣らない3つ目の難題が、
最後にキチンと用意されていたのだった。

(つづく)

+++++++

この時は本当に焦りました。

しかもこの作品ですが、
まだ帰ってきていません。。。

前回のブログで書いた通り、
帰りの共同運航便となったANAの方に、
「こちらからお送りします。」
と言われて安心していたのですが、
結局この作品を詰める大きさの車が無いとの事。

・・・えええっっっ!
自分で運送屋さんを手配しないと駄目なようです。

確かに飛行機に積めるかどうか保証できませんとは、
行きにカタール航空から言われたものの、
運送会社は帰って来た時、
「えっ送って頂けるんですか?」
「もちろんです!」
とANAの方に約束して頂いたから、
キャンセル料を払ってキャンセルしたのに。。。

キャンセル料はカタール航空から、
出るかも知れない、との事。
これもこちら側の間違いで、
キャンセル料を少なくお伝えしていたので、
まだ判りません。
どうなるか依然とても不安です。

・・・さて明日から神戸市・西区民センターと、
芦屋市・春日集会場での、
デッサン及び水彩講座が始まります。

区民センターの方は、
デッサンが26人(最大定員)、色鉛筆が22人と、
多くの方にお越し頂き、
ありがとうございました。

芦屋も一般の方にも参加して頂けるようで、
こちらも楽しみです!

ではまた。
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アゼルバイジャン記9話「絵が売れる・撤退戦はいつも・・・」 [旅(Travel)]

009-001・途中の売店で子供走る!・510.jpg

アゼルバイジャンよ、ではまた!
See you again, Azerbaijan!

○正札ではKSF「神戸安全農場」が3000ドル、
「佐渡のたらい舟・グッゲンハイムを全ての人に」が、
2300ドル。

合計5300ドルで手数料を30%と計算すると、
3710ドル。
「3750」と紙に書く。

事務局の女性は首を振り、
「3500」と紙に書く。

『我々はここまでしか出せません。』
ここで買い手の交渉力が圧倒的に強い、
この商談の勝負はあった。
『了解。それで結構です。』

3500ドルは正札の約66%。
ナギは70%で計算した訳だが、
販売力のあるギャラリーは60%、
更には50%で扱う所もあるから、
それより少し色を付けてくれた形だ。
金額についての的確な把握が、
買い手の十分な情報量を表している。

支払は米ドルの現ナマだ。
『私はこの作品を売る事に同意します。』
英語で一筆書いて、
ドル札を受け取る。

9月のNY個展の回転資金に使えるだろう。
これを『自転車操業』と言う。

その後はバスに乗り込んで当地ギャバラを発ち、
首都バクーへと向かう。
途中昨日の展覧会場に行き、
作品を持って帰る作家は、
それぞれに作品を回収する。

009-002・カルチャーセンター.JPG

ナギは売れたから回収する必要はないが、
作品が気になってやはり見に行く。

KSFは恐らくは「ミスター・マーディ」の厚意で、
多少マシな展示台の上に置かれていた。

少し安堵して階段を下り、
フト昨日の授賞式の場を見ると、
アレ?旗の位置が微妙に変わっている。

009-003・別たれた国旗・510.JPG

昨日は日本の旗が韓国の隣だったが、
現在は離れた別の場所に分けられている。
ミスター・リーと岩崎ナギとの討論等を見て、
事務局が入れ替えたのだろう。
彼らは細かい所を良く見ている。

他作家が作品を回収する間、
カルチャーセンター前でお互いに写真を撮る。

009-004・最終日カルチャーセンター前・集合写真-01・510.JPG

アゼルは気分として親日であり、
しかも実際は日本人が余りいないから、
滞在期間中は実にモテた。
老若男女問わず多くの方に、
『一緒に写真を撮ろう!』と言って頂けた。

009-005・最終日カルチャーセンター前・510.JPG

009-005・最終日カルチャーセンター前・アゼルの女性と・510.JPG

尤もこれは日本人という稀少性のお陰だから、
『「ドラえもん」だからモテた。』
と同程度だと正しく端的に理解する。

帰路は往路の飛行機で一飛びとは違い、
地道を地道に帰って行く。

009-006・帰りの車中・510.jpg

車の大渋滞が始まったら、
そこが懐かしき「バクー」の始まりだ。

最終日の同室はミスター・パーク。
素朴で英語が喋れず、
反日感情を表に出したりしない、
どこかナギの田舎のおじさんにも似た人物だ。

但し素晴らしい技倆を持つ画家だし、
大学教授でもある。

彼は自身の画集を広げ、
ナギに贈呈するために、
その技倆の一端を発揮する。

ミスター・パークは一頁の見開きに、
黒々と「竹」を描き出す。
運筆は素早く無駄も無く、
実に見事だ。

009-007・パーク氏「見事な運筆・510.jpg

竹が出来上がるとその横に「賛」を書き出す。
ハングルで書かれているので全く読めず、
昨日のミスター・リーとの竹島激論もあり、
政治的な内容ではないかと心配になる。

そこでミスター・パークに尋ねると、
まずナギを指差し、
笑顔を作って自分の頬を引っ張って拡げ、
次に「力こぶ」を作り「ウン!」と発音。

これを解するに、
『あなたはいつも笑顔で元気だ。』
と言った意味合いだろう。

「サンキュー・ベリマッチ!」
一緒に画集を広げ写真を撮る。
昨日のミスター・リーは食事時に、
無礼な挙に出たが、
ミスター・パークにはそういう所はない。

009-008・パーク氏PARKに絵を描いてもらう・510.jpg

ミスター・パークも韓国人だから、
突き詰めれば竹島を独島だと、
思っているのかも知れない。

しかしそれを個人の関係に、
持ち込まないだけの、
良識は持ち合わせている。

国際人とはそうあるべきではないのか?
英語が喋る喋れないではなく。

009-009・最後の晩餐・510.jpg

その日の夕食時には、
ブルガリア人の画家パネブ氏が、
やはりナギのために即興で絵を描いてくれた。

009-010・パネブPanevに絵を描いてもらう・510.jpg

次の日ミスター・パークは午前中に帰国した。
同氏の荷物を分担して持ってあげて、
ホテルの受付まで行くと、
4日ぶりに通訳のサビーナに会った。

通訳は2人ともサビーナという名前だが、
ギャバラとバクーをそれぞれ担当している。
受付であったのはバクー担当のサビーナだ。

『ギャバラに行っている間は何をしてたの?』
『その間はバクーで別の仕事。
ギャバラはどうだった?』
『景色が綺麗で空気が良かった!』
『作品が売れたんでしょう?』
『そう!おかげ様で売れました!
ありがとうございます!』

そんな事を話したり、
他の作家の見送りを繰り返している内に、
サビーナから新たな情報がもたらされる。

『ナギ、あなたが初日に見逃した遺跡に、
今日エスカーション・ツアーとして、
行ってみる?』
『行く!行く!』

どっちみち飛行機の出発は、
20:45分だから、
18:45分に飛行場に着けば良い。

という事はホテルは17:15くらいに出れば、
十分に間に合うだろう。

但しエスカーション・ツアーに出発する前に、
昨日の受賞で頂いた賞金を、
現金化しておかなくては。

賞金はアゼルバイジャン通貨で、
銀行に振り込まれているからだ。

ホテルの2筋向いの通りを、
右手に曲がってAFBバンクに行く。

ジャラジャラした装飾を身に着け、
やや濃い目の化粧をした、
豪華なバブル的美人年増オネエサン2人組みが出てきて、
万事滞りなく別室で事務を済ませてくれる。
およそ1200ドルを米ドルで受け取る。

さぁもう実務は終わりだ!
バスでエスカーション・ツアーへGO!

件の遺跡は修復されつつも、
当時の部分をなるべく残したもので、
「見張り塔」が石造りで建っている。

009-011・ナギ+シャバン+ムーサ・510.jpg

塔には緊急避難用に地下通路なんかもある。
驚く事に当時から「王」はおらず、
市民による民主主義で運営されていたそうだ。

トルコ人のムーサの提案で、
彫像のある中庭を短時間だが、
絵に描く事にする。

009-012・古城で絵を描く・510.jpg

サビーナが、
『あなたの描き方はいつも、
みんなと違うのね。』
と言ってくれる。
『もちろん!』
と言いながらサビーナを見ると、
薬指に指輪が光っている。

『おお結婚してたの!』
『婚約中!』

『でも誰に対しても心を開く事ができる?』
『もちろん!』
『イスラム教徒以外でも?』
『もちろん!
宗教は普段は関係ない。』

『ナギこっちに来て座れ。』
と言われ性別、人種、宗教、に関係なく、
心を開く事のできるサビーナと、
写真を撮ることにする。
更にもう一人隣はウクライナ人作家ダリア。

009-013・Daria Babich&Sabina&Nagi・510.jpg

世界の民主主義を進展させるとは、
ある意味では全てを中庸化する事だ。
原理主義だけは何としても避けなければ。

ところで皆さんずいぶんノンビリしてるけど、
飛行機に間に合わないんじゃないか?

『えっナギだって帰るのは明日だろう?』
『イヤイヤ今日ですよー!』
サビーナ!やっぱり把握してないじゃないか!
急いで全員バスに乗り一路ホテルへ。

今は午後4時15分ごろ。
ホテルまでは丁度1時間位だから、
飛行場にトンボ帰りするとしても、
チョット危ないような時間だ。

ただ空港は遺跡とホテルとの、
中間点にあるから・・・

『自分だけ空港で降りて、
荷物は全部受付に預けてあるから、
空港まで(ナギを)送る予定だった運転手さんに、
荷物を持って来てもらって空港で合流する、
っていうのはどう?』

サビーナはしばらく電話しているが、
『運転手は間に合うと言っている。
このままホテルに帰ろう。』

件のホテルに帰るともう17時10分くらい。
慌てて受付に飛び込むと、
初日に出迎えてくれた、
ゴツイおじさんがいる。

「ナイストゥーミーチュー・アゲイン!」
『用意は出来ているか?』(という意味だと推測する)
「シュア!」

受付に電子鍵を返そうとすると、
『記念に持っていけよ!』
『ありがとう!』

出口でまたサビーナに会う。
『ナギ用意は出来たか?』
『イエス!じゃあまた来年!』

ゴツイおじさんが運転する車で、
空港へ急ぐ。
バクーの街はやはり大渋滞だ。

運転するおじさんに初めて名前を訊く。
「ナジーム」
『じゃあナギと似ているじゃないか!?』
おじさんはニヤッと笑う。

ところでナジームは最初の回で書いた通り、
英語は全く出来ない。
ほとんどが身振り手振りと、
顔の表情からの推測だ。

そのナジームが何か身振りをする。
最初は意味が掴めなかったがどうやら、
『自分(ナジーム)を描け。』
という意味のようだ。

そこで運転するナジームの横顔を、
車中に転がっていた紙片を拾い、
手帳用の青いボールペンを用い、
フロント・ウインドウを画板代わりに描く。

出来上がった似顔絵に署名して、
『大事に取っておいてよ。』
とナジームに渡す。

009-014・「ナジームの肖像」を描く・510.jpg

大喜びしてくれると思いきや、
ナジームはウンウンと頷くだけで、
何となく寂しそうだ。

ナギ自身この撤退戦を少し寂しく感じていたから、
それが恐らくナジームに移り、
更にそのナジームの寂しさが再反射されてきて、
突然この撤退戦が本当に寂しくなってしまった。

『撤退戦はいつも寂しいな・・・。』

今までも色々な所から撤退してきた。
しかもその多くが結果を出せない、
『敗戦』としての撤退だった。
だから寂しいのだと思ってきた。

ところが事実はまるで違っていた。
今回は賞金を含めて4700ドル以上売り上げ、
大勝利とは言えないまでも、
『勝利』と言っても差し支えの無い結果だった。
でも撤退戦は本当に寂しかった。

自分は世界中でそれなりに歓迎され、
老若男女すべての人にそれなりに人気があった。
でも結局自分はその社会に属しておらず。
いつもいつかは撤退せざるを得ない。

かてて加えて母国日本でさえも、
自分が国を深く愛しているのと、
同程度の深さをもって、
本当の意味で属し、
また属していると認められているかどうか、
極めて怪しいじゃないか?

それが本当の寂しさの根源なのだ。

空港に着くとナジームは、
初めてこの国に着いた時と同じように、
荷物を持って先導してくれた。
但し今では作品は売り払ってしまい、
持つほどの荷物は無かった。

009-015・最終日・荷物を運ぶナジーム・510.jpg

その僅かに残った2つの小さな受託手荷物を、
空港備え付けの梱包ラップでクルクル巻いて、
荷物用のベルトコンベアに流し込んでくれた後も、
ナジームはずいぶん空港の奥深くまで付いて来てくれた。

もうこれ以上は金属探知機をくぐらないと、
先には進めない所まで来てようやくナジームは止まった。
自分は「サラーム」と何度も言って別れた。
ナジームは声を出さず手だけ上げた。
少し涙が光ったようだった。

「サラーム。」
ナジームの涙を見たらしい、
若く美しい女性の係官が、
優しくナギに挨拶する。

「サラーム・オフィサー。」
パスポートと招待状を見せる。
パスポートとナギを見比べていた係官が、
不審そうな顔をして質問する。

「メイ・アイ・アスクユーエ・クエスチョン?」
「シュア。」
「ハウオールド・アーユー?」

ナギは年齢を伝える。

係官は目を見開いてのけぞる。
『20歳にしか見えない!』

『東洋人は若く見える。』
『いや本当に・・・・。』

その後は招待状を調べ、
『ギャバラ・アート・エクスビションかー、
聞いたコト無いなー。』
その時ナギの脳裏に、
地元TV局ミラショカの言葉が蘇った。
『×××大臣よ。』

『ミニスター・×××』
「フーン!」
年齢を聞いた時と同程度まで、
驚きの目を見開いて、
女性係官はそれ以上質問が出なくなる。

よく見るとマウスを操作する手が、
小刻みに震えている。
言うべきでは無かった。

やはり行政に近い人には、
「物言えば・・・」
の空気が国を問わずあるのだろう。

全ての事務手続きを終えて、
パスポートを返してくれる。
「サンキュー・ベリマッチ!」
お礼を言ったナギを見て笑った顔の、
心から安堵した目の光が印象的だった。

「シーユーアゲイン!」
「シーユーアゲイン・オフィサー!」

帰りの便について特筆すべき事はない。
イスタンブールで出発が45分遅れ、
大阪への到着は30分遅れた。

・・・・・

この旅で得た事は、
『希望』が伝えるべき唯一の事だという事。

たとえ撤退戦がいつも寂しいとしても、
そんな寂しかったり悲しかったりする事は、
この世界では余りにも当たり前に過ぎる。

『希望』こそ伝えるべき事なのだ。

途切れる事なくトルコから、
アゼルバイジャンの好評を踏まえて、
現地制作の誘いを受けた。

『希望』と共に歩め。
次はトルコだ!

(2013アゼル記おわり)

+++++++++++++++++

やっとアゼル記、最終回を出しました。
本当に長い文章で長い時間がかかりました。
お読み頂いた方ありがとうございました。

バックナンバーは以下です。

0話「帰国しました」
1話「ディプロマティック・パーソン」
2話「キンキュウジタイショウそれは何の大賞ですか?」
3話「フレームタワーが立つ場所には・・・」
4話「カスピ海を突っ切る」
5話「ミスター・マーディー」
6話「受賞!+平和は冗談では・・・」
7話「銃を撃つ」
8話「竹島激論」

どのようにお感じになりましたか?
またご意見をお聞かせください。

次回更新は12月9日(月)にしました!
指導案や「肖像画」を更新しないと。。。
この日記を朝アップした時には、
更新を1週間後の(金)とお伝えしましたが・・・

・・・(金)は「トルコ記2013」を開始予定です!

よろしくお願い致します!
タグ:デッサン 鉛筆画 素描 dessin sketch 神戸市 西区民センター デッサン講座 美術教室 芦屋青少年センター http://iwasakinagi.wix.com/iwasaki-nagi-web アゼルバイジャン Azerbaijan トルコ Turkey アート 芸術 美術 岩崎ナギ サロンドートンヌ パリ Salon d'Automne Paris NY個展 100人展 ニューヨーク  Solo exhibition Ouchi Gallery ヲウチギャラリー オハイオ Ohio ハドソン・ギャラリ HUDSON GALLERY メリット賞 Merit Award ノエビアスタジアム神戸 川田画廊 KAWATA GALLERY  個展 private exhibition 希望と共に歩め Walk with our hope. The New Primitive Declaration 新素朴派宣言 フェイスブック潮流 水彩を通じて明るい未来を共有する アゴラギャラリー 日本水彩画会 100周年記念 アニメフェア関西 関西のクリエイター展 デザイン道場 LIVING & DESIGN 2012 ACDC Gallery Re:novel 実用新案 patent   インボルダ iNbolda bolda ボルダ 丸一興業 http://bolda.jp/case/【折りたためる額縁】インボルダ 第25回 日本の自然を描く展 優秀賞 日本芸術センター第6回絵画公募展 入選 Architectural Award 2012 Nominee 1662. What is “iNbolda”? http://www.art-center.jp/ http://www.archiaward.com/2012.php?l=E&m=8&theme=15&Obj=1662&pos=15] http://renovel.org/works/iwasaki.html http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=20171 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=25194 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=32019 https://www.kobe-bunka.jp/course/center-list.php?cid=7&q=&p=1 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=422 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=423
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アゼルバイジャン記8話「竹島激論」 [旅(Travel)]

008・食事の最中に前席のリー氏に激論を挑まれる・510.jpg

昼食時に韓国人作家に激論を挑まれる。
One Korean artist started the argument at the lunch.

○この日は朝11時に集合して、
ピアノ工場見学の予定だ。

ナギ自身はやはり朝5時に起き、
河原を走る。

この河原というのが過去記事でお伝えした通り、
急激な開発で道を切り拓いたために、
大小様々な大きさの石ころが転がる、
賽の河原状態の所だ。

005-003「明けてくる」.JPG

その上を全力で走る中で、
石ころの一つが崩れ、
前進する速度のまま、
凸凹の河原に叩き付けられる。

辛うじて手を石ころの上に突くも、
「歯」が石でこすれる「ガリッ!」という音が、
口中で反響するのを聞いた。

起き上がって口に手をやる、
咄嗟にはどの程度の怪我なのか判らない。
指に血が付き唇の腫れも感じるが、
幸い大怪我では無いようだ。

前よりも慎重にしかしやはり全力で、
残りの本数を走り切り、
明け始めた空の下を、
ホテルまで帰る。

受付にはもう人が出ている。
『怪我をしたので治療したい。』
そう申し出ると驚いて理由を訊ねられる。

河原でコケた事を説明すると、
職務に忠実なホテル職員は、
笑いを必死で噛み殺しながら、
別の係りを呼び治療室まで案内させる。

真っ赤なロシア風制服に金ボタンで、
英語は話せない別のホテル職員が出て来て、
一緒に治療室まで付いて行ってくれる。

手分けして薬を探す。
早朝だから医務員はいない。

アクリノールに似た黄色い薬を見つける。
ホテル職員は身振りで手を洗うように伝える。
ナギは洗面台で血と泥を洗い流す。
顔よりも先に突いた掌の方が、
石ころで切れて傷がずっと深い。
薬液をスポイト状容器から垂らす。

お礼を言って部屋に帰り、
朝はいつもよく眠っている、
同室のシャバンを残して、
朝食を食べに行く。

008・どの食べ物もおいしく食べられる.JPG

口中までは幸いにして切れていなかったので、
どの食べ物も美味しく食べられる。
帰りがけにバーで氷をもらう。
ナイロン袋に入れて患部を冷やす。

部屋に帰りカーテンを開け朝日を入れると、
眩しそうな顔をしてシャバンが顔を手で覆う。

『11時にピアノ工場見学に出発だから、
朝ご飯を食べて来たら?』
『そうする・・・。』
と言ってモソッと起きたシャバンが、
ナギの腫れ上がった顔を見て驚く。

『どうした!?』
『河原で転んだんだ。』
『大丈夫か?』
『もらった氷で冷やしているから大丈夫。』

シャバンは心から心配そうだ。
アルジェリア人にも色々いるだろうけど、
シャバンは素朴な感じで人柄が良い。

シャバンは『朝11時に出発だったな?』と、
確かめてからレストランに朝食に出かける。

部屋で一人になり、
ベランダに出て日記を書く。
高原から吹く風が涼しく心地好い。

人の声がひとしきりガヤガヤと、
下から聞こえてくる時もあったが、
その後はまた山間部の静けさに戻る。

11時前になって下におりると、
受付職員と支配人がいるだけで、
作家の人たちは人っ子一人いない。
『アレレ!?』

もしや!と思い受付職員に訊くと、
『出発は10時ですよ。』

やっぱり!1時間間違えていたのだ。。。
『人の声がひとしきりガヤガヤと』
聞こえて来ていた時に出発したのだろう。

『君は君のエスカーション・ツアーが出来るじゃないか!』
支配人がなぐさめ半分、
冗談半分でナギに言う。

やれやれまた自己責任で「置いてけぼり」だ。
タクシー等で追いかける事も可能だが、
大抵迷惑を掛けっぱなしなので、
今回は大人しく部屋に戻る事にした。

それに今日がバクーに帰る日だから、
荷物をカバンに詰め直しておかなければ。

撤収準備をする内に、
昼12時になり食事に行く。

同様にピアノ工場見学に行かなかったらしい、
韓国人作家で2日目に同室だったミスター・パークと、
もう一人、より韓国大使館に近い存在のように見える、
ミスター・リーが食事を取っている。

同室になったミスター・パークは素朴な人で、
どこかナギの田舎のおじさんに似ている。
英語は話せないが身振り手振りで通じる。

ここでも顔の怪我に驚かれ、
その身振り手振りでコケた事を伝える。

一方ミスター・リーは大使館に近いからか、
どことなく冷淡な対応で、
喋りかける雰囲気でもなかったが、
避けて別の卓で食べるのも、
嫌な感じなので、
挨拶して同じ卓に着く。

「ナイス・トゥー・ミー・チュー」
「ナイス・トゥー・ミー・チュー」
ミスター・リーは母国語である韓国語の影響か、
やたら『プ』という音が混じる英語を喋るが、
ともかく意思疎通は可能だ。

名刺を交換する。
ミスター・リーは大学教授だ。
ちなみにミスター・パークも大学教授だ。
『同じ大学ですか?』
違う、との事。

『君はどんな絵を描いているのか?』との質問に、
ナギは今回の展覧会の図録を見せながら・・・

『特別な事象や特別な人物では無く、
普通の事象や普通の人物に焦点を当て、
その普通が逆説的に宿す、
特別な何かを描き、
その何かが産み出す「希望」を描いています。』

『フムフム』とミスター・リーは頷く。
『ミスター・リーはどんな絵を描かれているんですか?』

『韓国の今そこにある事実だね。
例えば・・・』

ミスター・リーはそこから急に激昂した調子になり、
『独島(ドクト・竹島の韓国名)だ!
日本人はどうして『竹島』なんて呼ぶんだ!!
『竹』なんて一本も生えてないじゃないか!!!』
と竹島論議に一気に雪崩れ込む。

『一体何の根拠で日本人は領有権を主張するんだ?
根拠があるなら聞こうじゃないか!』
そう言いながらも口を開きかけたナギには、
決して一言も喋らせる事はなく、
ミスター・リーは自説を並べ立てる。

反論しかけた事すら生意気だと映ったようだ。
『私は君より年上だし
(韓国は儒教の国で目上の人には、
一般的に丁寧に遇する)、
独島に関しては非常に良く勉強している
(ナギ註・鬱陵島「独島博物館」の捏造資料の類だろう)、
どんな理由で日本人は領有権を主張するんだ。』

ここでミスター・リーはようやく、
手を『おいでおいで』して、
ナギに反論の機会を与える。

『まず竹島は戦後10年近くも経って、
韓国が攻め込んで来て占領したものです。』
『日本だって韓国を占領したじゃないか!』
『その戦争の終結後でしょう?』
『歴史は切れ目の無い長い布のようなもので、
どこからどこまでが一区切りと決める事はできない。』

それではどんな和平条約も、
意味を成さないものになる。
都合の良い時に、
『あの件はまだ方が付いていない!』
と無効にしてしまえるからだ。

『では韓国に正当性があるなら、
どうして国際司法裁判所に行かないんですか?』

するとミスター・リーは激昂してナギの手首を掴み、
『じゃあ君は誰かかが君の奥さんの手首を掴み、
これは私の妻だ!文句があるなら裁判所に行こう!
と言ったら行くのか?
独島は元々韓国のものだから行く必要が無いんだ!』

『大体君は戦争責任を感じないのか?』
『日本の国全体として責任を取る所があれば、
それは取るべきでしょう。

しかし戦後に生まれた人間には、
個人的には全く責任がありません。

そうでなければ、
ある国に生まれる人間が、
その国に生まれたというだけで、
生まれる前から罪を持つ事になるからです。

何人も生まれる前の事について、
責任は取れません。』

ミスター・リーは少し考えて・・・
『ではなぜドイツ人は戦後も責任があると言って、
謝り続けているんだ?』
『それも同じく国家としての責任でしょう。
やはり生まれる前から罪があるとは思えません。』

ミスター・リーはまた少し考えている。
人間がある場所に生まれた、
というだけの理由で、
生まれる前から罪があるかどうか、
考えているようだ。

ナギの私見では『ある訳が無い』。
『ある!』というなら、
ミスター・リー自身が、
戦中の日本人が行ってきたように、
朝鮮半島に生まれたというだけで、
誰かから差別されるという事にも、
少なくとも一部の主張者にとっては、
正当性が宿る、という事になってしまう。
これほどオカシな話は無い。
ありえない事だ!

次はナギから質問する。

『あなたは韓国が竹島を占領する時、
韓国が主張する国境線を越えたとされる、
日本人の漁民を韓国が40人以上、
殺傷している事はご存知ですか?』

『漁民を?』
ミスター・リーはギョッとしたようだ。
『ただの漁民です。』

『百歩譲って韓国の主張する国境線だとして、
拿捕すれば良いだけではないですか?
ただの漁民を射殺する必要がありますか?』

ミスター・リーは明らかに動揺したようだ。
元々韓国の教育を長年受けただけで、
冷血漢というのでは無くむしろ熱血漢だ。
しかもその「教育」から、
『漁民44人殺傷』の事実は欠落していたようだ。

それでも振り上げた拳は容易には下ろせない。
『40人が何だって言うんだ!
戦争中に日本人は何人、
韓国人を殺したんだ!』

それでは父親が殺人を犯したら、
その子を殺す事も自由になる。
これは最前書いたように許されざる事だ。

『ではある国に生まれた国民が、
その国に生まれたというだけで、
別の国の国民と、
必ず敵対しなければならない理由は何ですか?』

ミスター・リーは少し考える。
『私は敵対しようとしているのではない。
議論を深めようとしているだけだ』

ここら辺がホコの納め時だろう。
『では今日は意見が合わない面もありましたが、
議論を深められて良かったです。』
『こちらも深められて良かった。』
とミスター・リー。

隣席のミスター・パークはその間、
ずっと苦い顔をして黙っていた。
英語が話せないというだけでは無く、
食事中に論争を吹きかけるような、
非常識な人物ではないのだ。

ともかく自説を爆発させるだけ爆発させた、
ミスター・リーの方がその後の日程に於いて、
論争を蒸し返す事は二度と無かった。

もっともこれは例の橋下大阪市長の、
『戦場では慰安婦も必要だった。』
発言の「前」に行われた討論だから、
「後」であれば更に長引いた事は、
まず間違い無い事だろう。

その後それぞれ自室に帰り、
この地ギャバラからバクーに戻るために、
荷物をまとめて受付に集合した。

受付に下りると名前を呼ばれる。
『ミスター・ナギ、
あなたは作品の値段を、
どこまで下げる事が出来ますか?』
事務局の女性からの質問だった。

(つづく)

+++++++++++++++++

ようやくアゼル記更新しました。
難しい内容の上に長文で、
中々書く時間が無かったです。

韓国は東京オリンピック開催でも、
足を引っ張ってきましたが、
大局的な視点から言えば、
隣国で開催される事は、
良い経済効果を韓国にも、
もたらすはずであり、
差別意識から妨害するなど、
本当に馬鹿げた事です。

翻って母国、
日本の側を見れば、
同様に韓国人であるというだけで、
差別をする人がいますが、
これも本当に恥ずかしい事です。

自国と他国との関係、
また自国民と他国民の関係は、
時々刻々と変わり、
協力する所は協力し、
叩く所は断固として叩かねばなりません。

好きな国と嫌いな国、
好きな国民と嫌いな国民、
そういった幼稚な判断を政治に混ぜる事は、
日本の国益を大きく後退させ、
世界全体の利益も損ないます。

固定した差別意識を持つこと無く、
国際問題への取組みは、
その時々の事例に応じて、
公正に判断すべきと信じます。

本日は長文をお読み頂き、
ありがとうございました。

では次回はアゼル記最終回を、
9月16日(月)、
更新予定にしております。

よろしくお願い致します!
タグ:http://ja.wikipedia.org/wiki/竹島_(島根県) アゼルバイジャン Azerbaijan トルコ Turkey アート 芸術 美術 岩崎ナギ サロンドートンヌ パリ Salon d'Automne Paris NY個展 100人展 ニューヨーク  Solo exhibition Ouchi Gallery ヲウチギャラリー オハイオ Ohio ハドソン・ギャラリ HUDSON GALLERY メリット賞 Merit Award ノエビアスタジアム神戸 川田画廊 KAWATA GALLERY  個展 private exhibition デッサン 鉛筆画 素描 dessin sketch 神戸市 西区民センター デッサン講座 美術教室 芦屋青少年センター The New Primitive Declaration 新素朴派宣言 フェイスブック潮流 水彩を通じて明るい未来を共有する アゴラギャラリー 日本水彩画会 100周年記念 アニメフェア関西 関西のクリエイター展 デザイン道場 LIVING & DESIGN 2012 ACDC Gallery Re:novel 実用新案 patent   インボルダ iNbolda bolda ボルダ 丸一興業 http://bolda.jp/case/【折りたためる額縁】インボルダ 第25回 日本の自然を描く展 優秀賞 日本芸術センター第6回絵画公募展 入選 Architectural Award 2012 Nominee 1662. What is “iNbolda”? http://www.art-center.jp/ http://www.archiaward.com/2012.php?l=E&m=8&theme=15&Obj=1662&pos=15] http://renovel.org/works/iwasaki.html http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=20171 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=25194 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=32019 https://www.kobe-bunka.jp/course/center-list.php?cid=7&q=&p=1 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=422 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=423
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アゼルバイジャン記7話「銃を撃つ」 [旅(Travel)]

007-001・ナギ射撃「タマーラ撮影」・510.jpg

○日本を表す踊りは確かに、
日本人であるナギのために踊られたのだが、
もちろんナギや日本人以外の、
各国から来た作家のためにも、
それぞれの国から想を得た踊りが踊られていた。

007-002・各国を表す踊り・510.JPG

どれもとても華やかで美しい。
日本は扇子を使った踊りだ。
多少大ざっぱに東洋っぽくもあるが、
その好意に対して惜しみなく拍手する。

007・日本を表す踊り-01・510.jpg

007・日本を表す踊り-02・510.jpg

また話が前後するけれど、
各国の踊りの前には、
色々な歌手が唄を披露していた。

それぞれの歌手が素晴らしかったが、
特に最初に唄った髪の長い女性歌手、
「Latifa Soyuoz」
の堂々たる声量と繊細な情緒溢れる歌声に、
ナギは心を打たれて涙を流す。

007-003・Latifa Soyuoz(歌手)熱唱・510.jpg

生で見て聴いて頂くのとは天地の開きがあるが、
ユーチューブでも動画が上げられている。
ただやはり実際に聴くのには敵わない。



+Latifa Soyuoz "Sari gelin" ("Blonde bride")+

変わって翌日はまずモスクの見学。
ギャバラでは今年初めて出来たばかりの、
本格的モスクだそうだ。

モスクに入るのは初めてだ。
礼拝所から丸天井を見上げてみる。
宗教建築独特の吸い込まれる垂直性。

007-004・モスクで上を見上げる・510.JPG

2階は女性が祈るための場所だ。
格子窓で1階の男性から見えないようになっている。

数人の女性が祈り始める。
撮影許可は出ていたが、
礼儀上その姿は撮らなかった。

続けてその足で発掘中の遺跡を見学し、
博物館の中で昼食を食べる。

夕食かと見まごう豪華さだが、
果物に関しては皆「酸っぱい」の特徴だ。
桃も決して甘くはない。

007-005・夕食と見まごう豪華さ・510.JPG

品種改良が進んでいないからだが、
暑い地方では『これで良いのだ』と気付く。
と言うのは肉を食べると、
口中がしつこくなるので、
サッパリしたものが欲しくなるのだ。
肉は流石に美味しかった。

昼からは「銃」を撃つ。

ライフル銃に弾を込め。
向こうから飛んで来る「マト」を狙い撃つ。
銃声が凄まじい。
防音用ヘッドフォンをする。

結構みんなハズしている。
クルド人女性が命中させたのには、
ドキッとした。
皆拍手する。

ナギの番が来て教官に指導を仰ぐ。
『アゴで銃床をハサむのがコツだ。」
それだけ。

こんなのは空手と同じだろう。
肩の力を抜き息をゆるく吐き、
マトの動く軌道を読み、
落ち着いて撃つ。

007-006・ナギ射撃「アシャナ撮影」・510.jpg

当たった!
偶然一発で命中しマトは砕け散った。
皆どよめき拍手する。
一発だけで止す事にした。
バンバン撃つものじゃないしな。

防音ヘッドフォンを誰かに譲り、
射撃場を離れる。
覆いを取り去った耳に、
改めて銃声が鼓膜に突き刺さる。

休憩を取りに近くの谷川に近付くと、
ラナが立っている。
モスクの2階で祈っていた女性の一人だ。
「未来少年コナン」の女性主人公と同名だが、
堂々たる体躯の中年女性だ。

『銃を撃たないの?』
『ああいうのは嫌い。』
手を振って答える。

『モスクで祈っていたでしょう?』
『あたしはイスラム教徒だから。』
『他の宗教も受け入れられる?』
『もちろん!』

イスラムかどうなどを一切問う事なく、
全ての国の中庸な人々に心を開いて頂き、
民主主義を共有するのも、
今回の旅の重要な目的の一つだ。

ホテルへ帰り際にロープウェイに立ち寄る。
まだまだ未完成で工事中だ。
しかしこの国自身と同じように、
凄い速度で段階が進展している。

スリバチ状の巨大な穴を、
山の裾野に掘っている。
『あれは何をするのもの?』
サビーナ(同名の通訳が2名いるがこちらはギャバラ担当)
に訊ねる。

007-007・すり鉢状の工事・510.JPG

『判らないので訊いてくる。』
と現場作業の人に訊いて頂くと・・・
『人工ゲレンデ(スキー&スノボ用)だそうだ。』
へぇー!

ロープウェイで上がる最中にも、
別のロープウェイが建設中なのが見える。
とにかく急速度なのだ全てが。

山の上からは遥か遠くまで見渡せる。
まだまだ整備途上の山ではあるが、
関わっている人には発達していく青写真が、
ハッキリ見えているのだろう。

007-008・将来のスキー場からの眺望・510.JPG

『ドンドン建って行くぞ!』
現場作業員の人が、
誇らしげに身振り手振りで表現する。
この人とは一緒に記念撮影もした。

再びロープウェイで登り口に戻る。
建築資材を吊り下げ飛び立つヘリの、
凄まじい砂ボコリを、
車の陰に入って避けながら、
素早くバスに乗り込む。
それでも全身がホコリまみれだ。

発展して行くこの国の、
急速な変化とそれに伴う問題が、
ピカピカのロープウェイと、
それを作るために出るホコリとに、
端的に象徴されていた。

その日はそれでホテルに帰ったが、
次の日はまた「置いてけぼり」を、
喰うハメになってしまった。

しかも韓国人作家から、
竹島に対する激論を挑まれたのだった。

(つづく)

+++++++++++++++++

世間ではお盆休みも終わり、
また忙しくなりましたね。
自分も何とか夜にブログを更新しました。

次回は8月23日(金)の、
更新を予定しています。

よろしくお願い致します。
タグ:アゼルバイジャン Azerbaijan トルコ Turkey アート 芸術 美術 岩崎ナギ サロンドートンヌ パリ Salon d'Automne Paris NY個展 100人展 ニューヨーク  Solo exhibition Ouchi Gallery ヲウチギャラリー オハイオ Ohio ハドソン・ギャラリ HUDSON GALLERY メリット賞 Merit Award ノエビアスタジアム神戸 川田画廊 KAWATA GALLERY  個展 private exhibition デッサン 鉛筆画 素描 dessin sketch 神戸市 西区民センター デッサン講座 美術教室 芦屋青少年センター The New Primitive Declaration 新素朴派宣言 フェイスブック潮流 水彩を通じて明るい未来を共有する アゴラギャラリー 日本水彩画会 100周年記念 アニメフェア関西 関西のクリエイター展 デザイン道場 LIVING & DESIGN 2012 ACDC Gallery Re:novel 実用新案 patent   インボルダ iNbolda bolda ボルダ 丸一興業 http://bolda.jp/case/【折りたためる額縁】インボルダ 第25回 日本の自然を描く展 優秀賞 日本芸術センター第6回絵画公募展 入選 Architectural Award 2012 Nominee 1662. What is “iNbolda”? http://www.art-center.jp/ http://www.archiaward.com/2012.php? l=E&m=8&theme=15&Obj=1662&pos=15] http://renovel.org/works/iwasaki.html http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=20171 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=25194 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=32019 https://www.kobe-bunka.jp/course/center-list.php?cid=7&q=&p=1 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=422 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=423
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トルコ記0話「帰国しました」 [旅(Travel)]

岩崎ナギ「チョルム・中庭演説・横長」・510.jpg

私はそれぞれの国の素晴らしい国民性を強めるために、
我々の間に存在する相違点を愛する。
私は全世界の民主主義を高めるために、
そんな我々の多様性を愛する。
私は全ての人種間の理解を進めるために、
そんな我々の態度を愛する。
終わることの無い我々の対話を促進するために、
そんな道の上を歩こう。

I love our differences to strengthen each nation's good traits.
I love such our diversity to strengthen whole world's democracy.
I love such our attitude to strengthen every races' understanding.
Walk on such road to strengthen our communication which never ends.

+岩崎ナギ談話+
「私達はトルコの人々の素晴らしい国民性を愛する。」
+2013年6月27日・於トルコ、チョルム+
※実際の談話は英語で行いました。

メルハーバ(こんにちは)トルコの皆さん!

まず始めにトルコ、チョルムでの、
美術作品の現地制作の期間において、
素晴らしい体験が出来た事を強く感謝いたします。

私達日本人はトルコの人々の美しい国民性を、
常に尊敬しています。
特にあらゆる文化、あらゆる人種、あらゆる宗教を、
常に受け入れられる国民性を、です。

この友好的な芸術の催しを通じて、
そんな多様性の進展に貢献できる事を、
一人の日本人として誇りに思います。

すでに述べたトルコの優れた国民性を加味した、
日本人の視点を持って、
多くの美しいトルコの風景や人々を、
表現しようと努めてきました。

私達の多様な世界においての相互理解を、
私達の美術展が深めていける事を希望しています。

ご清聴ありがとうございました。
テシュケレディリム(トルコ語「ありがとう」)。
トルコの皆さんどうもありがとうございました(日本語)。

+ IWASAKI, Nagi Speech +
"We love the Turkish good trait."
+ June 27 2013 in Corum, Turkey +

Merhaba (Hello) all Turkish people.

At first, I strongly appreciated
that I had had the wonderful experiences
during this art workshops in Corum, Turkey.

Our Japanese always respect Turkish good traits.
Especially the trait
that this nation can always accept,
every cultures, every races, every religions.

As I'm a Japanese, I take my pride
that I can contribute to improve such diversity
via this friendly art event.

I'd tried to express
so many Turkish beautiful scenes and people
by Japanese view which mixed with the Turkish good trait
as I mentioned before.

I hope our art exhibition will help our mutual understanding
in our diversity world.

Thank you very much for listening!
Tesekkur ederim (Thank you in Turkish).
トルコの皆さんどうもありがとうございました(Thank you in Japanese)。

○おはようございます!
おかげ様でトルコから無事に帰ってきました。

現地チョルムではデモの影もなく、
忙しいながらも楽しく過ごす事ができました。

27日の展覧会初日には、
多文化、多民族、多宗教、
での相互理解の促進を希望する談話を発表してきました。

もう「メルハーバ」の段階で大受けでしたよ(笑)。
その後も通訳の人との共同作業で、
トルコ語に同時通訳しながら、
会場の人と一体になって、
談話を最後まで言い終える事ができました。

行く前はひょっとしたら、
イスラム色を強める現政権への批判と取られて、
逮捕されるのではないか?
と心配していましたが大丈夫でした。
まさに「私達はトルコの人々の素晴らしい国民性を愛する。」
ですね。

猪瀬東京都知事は「イスラム国家」などと放言したけど、
それは全く違う。
イスラムの人が圧倒的に多いけど、
イスラム教以外の宗教も認めている。
それが物凄く重要なわけです。
ヨーロッパ、アジア、中東をつなぐ国として、
これからも原理主義に傾くことの無い、
素晴らしい国民性を維持される事を、
強く希望しております。

では前回のアゼルバイジャン記もまだ完了していませんし、
徐々にまた書いて行きたいと思います。
またよろしくお願い致します。

次回の更新は7月4日(木)を予定しています。
よろしくお願い致します。
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アゼルバイジャン記5話「ミスター・マーディー」 [旅(Travel)]

005-001・展覧会準備「赤ジュータン」.jpg

+展覧会準備
+The preparation of our exhibition.

○朝は4時におきる。
ヒゲをそり水を飲む。

石ころだらけの河原を走る。
外はまだ暗いが、
空手を始める頃には明けてくる。

005-002・外はまだ暗い。.JPG

005-003「明けてくる」.JPG

着替えてレストランで食事を取る。
コーヒーとパンとリンゴを外で食べ、
中に戻るとパーク氏の奥さんも食事していたので、
一緒に食べる。

005-004「朝ごはん」.JPG

005-005「朝ごはん」.JPG

『夫を知らないか?』
『まだ眠っているんじゃないですか?
今回は部屋も別室ですし判らないです。』

パーク氏夫人(韓国は別姓だからパーク姓では無いけれど)は、
発音は滅茶苦茶だが英語は話せる。
やはり滅茶苦茶であろうと無かろうと、
対話できるならした方が良いだろう。

フロントに8時30分に行き、
事務局の人に質問。

『アメージング・パークという所に行くそうだが?』
『それは昨日の「ギャバランド」と同じ件だ(笑)!』

結局ナギの勘違いでお互い大笑いになる。
昨夜のドンチャン騒ぎの集合時間を、
今朝の見学の集合時間と間違えていたのだ。

ついでに事務局の人に、
『額(インボルダ)をペタンコ(平面)状態で送っており、
2作品分を組み立てるために、
会場に1時間くらい早めに到着しておきたい。』
と予めお願いしておく。

部屋に帰ってしばらくすると、
早速電話がある。

『下に車を出しますから、
スグ乗ってください。』

急ぎフロントに行くと、
やはり英語の解らないおじさん(先日とは別の人)が、
身振りで会場まで連れて行ってくれる事を示す。

005-006「タクシーで飛ばす」.JPG

浅黒い肌を持つおじさんの運転で、
「カルチャー・センター」に到着する。

『小一時間ほど掛かる』
と指で1を作り時計を指すと、
『待つから大丈夫。』
とおじさんは車と自分を指し示す。

国旗が立ち並び、
赤ジュータンも準備中の会場に入り
(作業員の人がピース・サインを送ってくれた)、
展示場所に急ぐ。

会場では頭の少しハゲた、
たとえ地球上のいかなる場所であれ、
見誤る事無く「現場監督」であると、
即座に理解できるおじさんが居て、
この人に話しかけて展示場所に案内して頂く。

この「ミスター・マーディー」も、
英語は喋れないが、
「ウン、ウン、ウン」と複数回うなづく、
日本の職人さんに共通したクセを持ち、
意思疎通が容易な人であった。

しかも「KSF Kobe Safe Farm(作品名)」のところに来ると、
驚くことに「組立指示書」はおろか、
部材と部材を留める「プラネジ」さえ、
渡していないのに(ナギ自身が組立てるつもりだったため)、
どうやったのか「インボルダ」が、
ちゃんと組みあがっている!
流石は「現場監督」だ。

その驚きを包み隠さず表現すると、
ミスター・マーディーは「ウン、ウン、ウン」と、
得意げに「KSF」の傍らに立ってみせる。

『アッ!でもマット構造は逆に入れてます。』
『オー・リバースサイド!』と断片を理解したミスターと、
気息を合わせてマット構造を入れ直す。

しかも作品の大きさを事務局が間違えて理解し、
インチ記号( " )を付けて寸法を送ったのに、
センチ( cm )と捉えていたため、
およそ半分の広さしか用意されておらず、
急遽、誰かの「作品輸送箱」に載せられ、
コンサート・ホール前に置かれていた。

『早急に展示台を替えて欲しい(身振り)』
「ウン、ウン、ウン」

次は「佐渡のたらい舟・グッゲンハイムを全ての人に」だ。
こちらは組立てていなかったため、
ミスター・マーディーと協業して組立てる。
吊り下げるヒモをホテルに忘れたが、
それも何処からか都合してくれた。

「たらい舟」用「インボルダ」の組立ては、
そんな具合に急展開で進行して行くが・・・
『アッ!ミスター・マーディー「フチ構造」は裏から留めないと。』

9割がた出来上がっていたのに、
「素人」からのダメ出しを喰らい、
ミスター・マーディーはヘソを曲げ・・・

『この方法で「KSF」も組立てたのに。』
と全身で不満を表現して、
それ以降は手伝ってくれなくなる。
「現場監督」は己の仕事に誇りが高いのだ。

しかし「ミスター・マーディー」がどうあろうと、
自分の作品展示に妥協は有りえ無いので、
1人で最初から組み直す。
そもそも「インボルダ」は1人で組める構造だ。

組上げた「たらい舟」を、
ミスター・マーディーの所まで運び、
『じゃ後はお願いします!』
「ウン、ウン、ウン」

005-007・飾られている「たらい舟」・510.jpg

駐車場で待っていてくれた、
肌の浅黒いおじさんに、
「エブリシング・イズ・オーケイ!」と伝え、
車はホテルに帰る。

食事をしてシャワーを浴び、
簡易的な服装ながらタイを締める。
フロント前に集合すると、
それぞれの作家がそれぞれに盛装している。

いよいよ展覧会が始まるのだ!

(つづく)

+++++++++++++++

005-008・盛装の作家たち・510.jpg

「アゼルバイジャン記」5話です。

「ミスター・マーディー」のような、
一目見ただけで職業が判る方が、
世界中におられますね。

ところで、第101回「日本水彩展」は、
ブログでのご交流のある4名の方に、
お出かけ頂きました。
ありがとうございます!

それぞれの方に頂いた写真を、
自作、KSF「今日こそ・・・」の入選記事に、
追加する形で掲載しておりますので、
こちらの「リンク」からご覧下さい。

改めてありがとうございました!

次回の更新日はトルコのWEB環境が判りませんので、
確定していません。
インターネット環境があるようでしたら、
更新いたします。

ではよろしくお願い致します!
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アゼルバイジャン記4話「カスピ海を突っ切る」 [旅(Travel)]

004-1・ギャバラ「カスピ海を突っ切る」・510.jpg

+カスピ海を突っ切る
+We flew across the Caspian Sea.

○ホテルの鍵がいつまでも発行されない。

この日はバスで最終目的地のギャバラに行くはずが、
作家の集合が遅れに遅れ、
予定時間の帳尻を合わすために、
何とチャーター機で行く事になった。

驚いたのはその作家の数だ。
これだけの作家が参加している事を、
この時まで知らなかったのだ。

機はカスピ海を突っ切り、
強引に飛んでいく。
着陸時には拍手まで起きた。

004-2・ギャバラ「チャーター機で移動」出発・510.jpg

004-3・ギャバラ「チャーター機で移動」途中・510.jpg

004-4・ギャバラ「チャーター機で移動」到着・510.jpg

004-6・ギャバラ「チャーター機で移動」ギャバラ空港・510.jpg

004-6・ギャバラ「チャーター機で移動」シャバン・510.jpg

ギャバラからはパトカーが先導、
この本質的な「おかしみ」を、
理解して頂けるだろうか?

004-7・ギャバラ「パトカーで先導」・510.jpg

004-1・ギャバラ「ホテル到着」・510.jpg

それだけの作家が押し寄せた為に、
ホテル側も部屋割りと鍵を発行するのに、
大混乱だ。

フロント前で「あと10分、あと10分です。」
と30回くらいなだめられて、
結局3時間くらい待たされる。

ただ良かったのは3時間の待ち時間の間に、
本当に多くの人と話が出来た事。

004-10・ギャバラ「他作家との交流」・510.jpg

作家同士の交流はもちろん、
地元TV局の人たちとも話が弾む。
日本でTV局の人というと、
何となく特別ぶった人のような印象があるが、
ここアゼルバイジャンでは「普通の人」感があって、
親しみが持てる。

004-11・ギャバラ「ミラショカ」・510.jpg

『アゼルバイジャンを好きになった?』
とTV局のミラショカという女性が訊ねる。
『もちろん!
人が親切だし料理は美味しいし、
自然の美しさも良いよ!』
『ありがとう!』

ちなみにこれはお世辞ではなく本当だ。
しかもナギが日本人だからか、
「日本は良いよ!」とか、
「日本人は好きだ!」と、
言ってくれる人も多い。
10年後は判らないが今は親日的。

その内にアゼルの文化観光省大臣が通る。
この展覧会は同省の後援だからだ。

大臣にさっと立って挨拶をしたミラショカは、
『私たちの大臣を知ってる?』
『いやごめん知らない。』
『アブルファス・ギャラエヴ大臣で、
とても親切な方よ。』

ホテルにもポスターがあり、
日本の国旗を指し示し写真を撮ってもらう。
隣はグルジアの作家・デザイナーのチコ。

004-9・ギャバラ「ホテルに飾られたポスター」ナギ+チコ・510.jpg

そうやって交流している内に、
ようやく鍵が発行される。
実に18時50分だ。
19時からの夕食とあるが到底間に合わない。

同室になったのはシャバン・ジュダロー。
飛行機で隣の席になり、
仲良くなったのを、
事務局が見ていたのだろう。

シャバンは行きの機内で、
自国アルジェリアの地図を描いて、
位置関係を説明してくれた。

004-12・ギャバラ「シャバンの地図」・510.jpg

ちなみに前日2日目の同室は、
パーク氏だった。
韓国から来た作家だ。

ナギは竹島は戦後に、
韓国に占領されたものだと、
ハッキリとブログにも書いてきたが、
個人と個人の関係に、
政治を持ち込む必要はないし、
あったとしても北朝鮮の現政権崩壊後は、
アメリカを仲立ちとして協力する必要もある。
シッカリと握手をした。

パーク氏は英語は喋れないが、
大学教授をしている素朴な感じの人で、
親しみやすい雰囲気の人だった。
(竹島については5日目に、
他韓国人作家に激論を挑まれる事になるが、
それは後日の日記で)

さて3日目の夕食も豪華だ。
バランス良く(?)食べる。

004-13・ギャバラ「バランス良く食べる」・510.jpg

夜は10時には眠る。
外は近くのギャバランドという遊園地に、
作家をご招待という催しが行われ、
ドンチャン騒ぎが聞こえてくるが、
我関せずで眠る。

明日は作品と「インボルダ(額)」を組み合わせる日だ。
万一の失敗も許されない。

(つづく)
+++++++++++++++

「アゼルバイジャン記」4話です。

飛行機まで貸切とは!
本当に驚きの旅でした。
向こうの人は皆親切にしてくれました。

トルコに招待される件も、
正式に固まりました。
ただ情勢が不安定なのが心配です。

次回は6月10日(月)更新予定です。
よろしくお願い致します。

では!
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アゼルバイジャン記3話「フレームタワーが立つ場所には・・・」 [旅(Travel)]

003-1・フレームタワー・510.jpg

+フレームタワー
+Flame Towers

○タクシーで追いかける事になった。

前日に次の日からの予定を配られてはいた。
配られてはいたのだがPDF文章で、
1ページ目は英語以外の文章。
読めないので放って置いたのだ。

その日5月3日(金)も朝5時に起きた。
冷房の効き過ぎた機内で引いた鼻かぜは、
シッカリ眠る事で治っていた。

ヒゲを剃って軽く絵を描き、
朝7時からの朝食を食べる。
巣ミツ(ハチミツを巣ごと切り出したもの)
があるのが嬉しい。

003-2・2日目朝食・510.JPG

ただしコーヒーはホテルにも関わらず、
インスタント・コーヒーだ。

窓のすぐ外は通路で通勤、通学、散歩、
様々な人が通る。
東洋人の自分を珍しそうに見る人も多い。

朝食を済ませ海を目指して走るが、
方向音痴は海外でも変わる事は無く、
路地に迷い込み親切な少年に訊くも、
まだ判らず結局断念して、
昨日の公園でトレーニングを済ます。

003-3・海を探し路地に迷う・510.JPG

昼ごはんは7階の展望レストランで、
鮭のサンドイッチを食べる。

ほんの少しだがカスピ海が見える。
日本では『今日潰れるか明日潰れるか?』と、
日夜廃業の危険性と戦っている自分が、
カスピ海を見てサンドイッチを食べる事に、
とても不思議な感覚を憶える。

003-4・展望レストラン・510.JPG

昼ごはんを終えて部屋に戻り、
さすがに「おかしい!」と思い出す。

このアゼルバイジャンでの文化交流企画は、
今日から正式に始まるはずだが、
誰も呼びに来ない。

もう一度PDFファイルを見直すと、
何と2ページ目があった!
しかも英語だ!

あわてて確認すると・・・
午前10時ホテル出発、
旧市街見学、国立美術館鑑賞、
・・・とある。
もう午後1時じゃないか!

スグに事務局に「URGENT(緊急)」と付け、
今気付いた旨をメール。
同時にフロントまで飛んで行き、
事務局に電話を掛けてもらう。

『タクシーが来るそうだ!』
とフロント・マンが教えてくれて、
自分は用意を取りに部屋に駆け戻る。
扉を開けると電話も鳴ってる!

「イエス?」
『事務局ですけど今から合流されますか?』
『合流したいです!
今フロントから電話して頂いて、
タクシーが来るとの事です。』
『えっそれは聞いていませんから、
確認のため5分その部屋で待って下さい。』

バタバタと用意しながら待っていると、
再び電話が鳴り・・・
『確認が取れました。
そのタクシーに乗ってください。』

受話器を置くやいなや再び呼び出し音。
「イエス?」
『もうタクシー来てますよ!』
フロントまで走る。

フロント・マンが片眉を上げてニヤッとし、
『遅いじゃないか!』という表情をする。

タクシー運転手はジローラモ顔の人で、
『すぐ行こうよ!』みたいな事を言う。
例によって英語は全く喋れない。

かくしてジローラモ(仮)タクシーは、
混み合う街をブッ飛ばす!

何度か書いたが、
信号は無い所が多いし、
あっても守らない人が多い。

命を懸けて横断する人を、
しょっちゅう見かける事になる。

003-5・ジローラモ・タクシー・510.JPG

年間の事故件数はどれ位だろう?
大阪を凌ぐ凄まじい突撃横断の中を、
クラクションとハンドルで切り抜けながら、
タクシーは一軒の家の前で停まる。

中に入ると伝統的な構えのレストランだ。
みんなで結構豪華な食事を食べている。
乗り遅れたが席を作ってもらい、
輪に加わる。

「ナーギー」と皆名前はすぐに憶えてくれる。
「アゼルバイジャン・ジャボネス(アゼル系日本人)」
と言って親切にしてくれる人が多い。

FBで友人のアナもいた。
最初判らなかったが、
向こうから紹介してくれた。

003-6・伝統レストラン・510.JPG

日本人と言うと、
「目が細い」という印象があるらしく、
みな自分の目を横に指で引っ張って、
『俺もアゼルバイジャン・ジャボネスだ』
と冗談を言い合っている。
(ナギは瞬きが多いから余計そうなのか?)

しかし馬鹿にしているのでは無く、
素朴な反応といった感じで、
日本で言えば栃木の農村みたいな感じ。
一緒に写真を撮ったりして親交を深める。

盛んに食べ物を勧められるも、
ホテルで食べたばかりで入るはずも無い。
ヨーグルト風の飲み物だけを飲む。

食事が終わると現代美術館を見学。
正直どこかで見たようなのが多いが、
「緑の夢」と説明された作品が、
独特でとても良い。

003-8・「緑の夢」・510.JPG

独特の表現を追及する必要性を、
強く強ゝ感じる。
モノマネで終わりたくは無い。

時々記念撮影をする。
写真左端から2番目、3番目は、
トルコの皇女、皇子だそうだ。
オスマン家の血。

003-7・現代美術館「集合写真」・510.JPG

この錯綜した人と人のつながりは、
どこまで続くのだろうか?
本当に不思議だ。。。

何度も日本での危機的状況が、
一幕の夢のように感じられる。
いやこちらが夢なのだろうか?

次は有名な炎の形をした建築、
「フレームタワー」だ。
ついついそういう写真を撮る。

しかしこの建築は単なる、
形の面白いビルでは無かった。

実は1990年1月20日に、
旧ソ連が侵攻した「黒い一月事件」で、
亡くなった人々の霊廟が、
すぐ近くにあるのだ。

003-10・「黒い一月事件」墓標・510.JPG

顔の刻まれた墓石が立ち並び、
奥では永遠の炎が燃える。
民主主義に入る門は狭く、
そこで流される血は多い。

003-11・「永遠の火」・510.JPG

年齢が上の人が多いので、
計画表の海岸のそぞろ歩きは省略。
ホテルに帰る事になる。

アゼルバイジャンの帰宅ラッシュは凄まじい!
混乱と共に沸き上がる力を感じる。

003-14・「バクー交通渋滞」・510.JPG

ホテルに帰り他の作家と食事を取ると、
もう11時だ。
長い長ゝ一日だった。

次の日の移動は何とチャーター機になった。
作家の集合が遅れたのが原因だそうだ。

(つづく)

003-16・「巨大なアゼル旗」・510.JPG

+++++++++++++++

「アゼルバイジャン記」3話です。

度肝を抜く炎の塔も、
単なるオモシロ建築ではありませんでした。
世界を民主主義化する旅は続きます。

次回は6月3日(月)更新予定です。
よろしくお願い致します。

では!
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