SSブログ

アゼルバイジャン記3話「フレームタワーが立つ場所には・・・」 [旅(Travel)]

003-1・フレームタワー・510.jpg

+フレームタワー
+Flame Towers

○タクシーで追いかける事になった。

前日に次の日からの予定を配られてはいた。
配られてはいたのだがPDF文章で、
1ページ目は英語以外の文章。
読めないので放って置いたのだ。

その日5月3日(金)も朝5時に起きた。
冷房の効き過ぎた機内で引いた鼻かぜは、
シッカリ眠る事で治っていた。

ヒゲを剃って軽く絵を描き、
朝7時からの朝食を食べる。
巣ミツ(ハチミツを巣ごと切り出したもの)
があるのが嬉しい。

003-2・2日目朝食・510.JPG

ただしコーヒーはホテルにも関わらず、
インスタント・コーヒーだ。

窓のすぐ外は通路で通勤、通学、散歩、
様々な人が通る。
東洋人の自分を珍しそうに見る人も多い。

朝食を済ませ海を目指して走るが、
方向音痴は海外でも変わる事は無く、
路地に迷い込み親切な少年に訊くも、
まだ判らず結局断念して、
昨日の公園でトレーニングを済ます。

003-3・海を探し路地に迷う・510.JPG

昼ごはんは7階の展望レストランで、
鮭のサンドイッチを食べる。

ほんの少しだがカスピ海が見える。
日本では『今日潰れるか明日潰れるか?』と、
日夜廃業の危険性と戦っている自分が、
カスピ海を見てサンドイッチを食べる事に、
とても不思議な感覚を憶える。

003-4・展望レストラン・510.JPG

昼ごはんを終えて部屋に戻り、
さすがに「おかしい!」と思い出す。

このアゼルバイジャンでの文化交流企画は、
今日から正式に始まるはずだが、
誰も呼びに来ない。

もう一度PDFファイルを見直すと、
何と2ページ目があった!
しかも英語だ!

あわてて確認すると・・・
午前10時ホテル出発、
旧市街見学、国立美術館鑑賞、
・・・とある。
もう午後1時じゃないか!

スグに事務局に「URGENT(緊急)」と付け、
今気付いた旨をメール。
同時にフロントまで飛んで行き、
事務局に電話を掛けてもらう。

『タクシーが来るそうだ!』
とフロント・マンが教えてくれて、
自分は用意を取りに部屋に駆け戻る。
扉を開けると電話も鳴ってる!

「イエス?」
『事務局ですけど今から合流されますか?』
『合流したいです!
今フロントから電話して頂いて、
タクシーが来るとの事です。』
『えっそれは聞いていませんから、
確認のため5分その部屋で待って下さい。』

バタバタと用意しながら待っていると、
再び電話が鳴り・・・
『確認が取れました。
そのタクシーに乗ってください。』

受話器を置くやいなや再び呼び出し音。
「イエス?」
『もうタクシー来てますよ!』
フロントまで走る。

フロント・マンが片眉を上げてニヤッとし、
『遅いじゃないか!』という表情をする。

タクシー運転手はジローラモ顔の人で、
『すぐ行こうよ!』みたいな事を言う。
例によって英語は全く喋れない。

かくしてジローラモ(仮)タクシーは、
混み合う街をブッ飛ばす!

何度か書いたが、
信号は無い所が多いし、
あっても守らない人が多い。

命を懸けて横断する人を、
しょっちゅう見かける事になる。

003-5・ジローラモ・タクシー・510.JPG

年間の事故件数はどれ位だろう?
大阪を凌ぐ凄まじい突撃横断の中を、
クラクションとハンドルで切り抜けながら、
タクシーは一軒の家の前で停まる。

中に入ると伝統的な構えのレストランだ。
みんなで結構豪華な食事を食べている。
乗り遅れたが席を作ってもらい、
輪に加わる。

「ナーギー」と皆名前はすぐに憶えてくれる。
「アゼルバイジャン・ジャボネス(アゼル系日本人)」
と言って親切にしてくれる人が多い。

FBで友人のアナもいた。
最初判らなかったが、
向こうから紹介してくれた。

003-6・伝統レストラン・510.JPG

日本人と言うと、
「目が細い」という印象があるらしく、
みな自分の目を横に指で引っ張って、
『俺もアゼルバイジャン・ジャボネスだ』
と冗談を言い合っている。
(ナギは瞬きが多いから余計そうなのか?)

しかし馬鹿にしているのでは無く、
素朴な反応といった感じで、
日本で言えば栃木の農村みたいな感じ。
一緒に写真を撮ったりして親交を深める。

盛んに食べ物を勧められるも、
ホテルで食べたばかりで入るはずも無い。
ヨーグルト風の飲み物だけを飲む。

食事が終わると現代美術館を見学。
正直どこかで見たようなのが多いが、
「緑の夢」と説明された作品が、
独特でとても良い。

003-8・「緑の夢」・510.JPG

独特の表現を追及する必要性を、
強く強ゝ感じる。
モノマネで終わりたくは無い。

時々記念撮影をする。
写真左端から2番目、3番目は、
トルコの皇女、皇子だそうだ。
オスマン家の血。

003-7・現代美術館「集合写真」・510.JPG

この錯綜した人と人のつながりは、
どこまで続くのだろうか?
本当に不思議だ。。。

何度も日本での危機的状況が、
一幕の夢のように感じられる。
いやこちらが夢なのだろうか?

次は有名な炎の形をした建築、
「フレームタワー」だ。
ついついそういう写真を撮る。

しかしこの建築は単なる、
形の面白いビルでは無かった。

実は1990年1月20日に、
旧ソ連が侵攻した「黒い一月事件」で、
亡くなった人々の霊廟が、
すぐ近くにあるのだ。

003-10・「黒い一月事件」墓標・510.JPG

顔の刻まれた墓石が立ち並び、
奥では永遠の炎が燃える。
民主主義に入る門は狭く、
そこで流される血は多い。

003-11・「永遠の火」・510.JPG

年齢が上の人が多いので、
計画表の海岸のそぞろ歩きは省略。
ホテルに帰る事になる。

アゼルバイジャンの帰宅ラッシュは凄まじい!
混乱と共に沸き上がる力を感じる。

003-14・「バクー交通渋滞」・510.JPG

ホテルに帰り他の作家と食事を取ると、
もう11時だ。
長い長ゝ一日だった。

次の日の移動は何とチャーター機になった。
作家の集合が遅れたのが原因だそうだ。

(つづく)

003-16・「巨大なアゼル旗」・510.JPG

+++++++++++++++

「アゼルバイジャン記」3話です。

度肝を抜く炎の塔も、
単なるオモシロ建築ではありませんでした。
世界を民主主義化する旅は続きます。

次回は6月3日(月)更新予定です。
よろしくお願い致します。

では!
タグ:アゼルバイジャン Azerbaijan フィレンツェ・ビエンナーレ The Florence Biennale スポンサー募集 アート 芸術 美術 岩崎ナギ サロンドートンヌ パリ Salon d'Automne Paris NY個展 100人展 ニューヨーク  Solo exhibition Ouchi Gallery ヲウチギャラリー オハイオ Ohio ハドソン・ギャラリ HUDSON GALLERY メリット賞 Merit Award ホームズスタジアム神戸 川田画廊 KAWATA GALLERY  個展 private exhibition デッサン 鉛筆画 素描 dessin sketch 神戸市 西区民センター デッサン講座 美術教室 The New Primitive Declaration 新素朴派宣言 フェイスブック潮流 水彩を通じて明るい未来を共有する アゴラギャラリー 日本水彩画会 100周年記念 アニメフェア関西 関西のクリエイター展 デザイン道場 LIVING & DESIGN 2012 ACDC Gallery Re:novel 実用新案 patent   インボルダ iNbolda bolda ボルダ 丸一興業 www.bolda.jp  第25回 日本の自然を描く展 優秀賞 日本芸術センター第6回絵画公募展 入選 Architectural Award 2012 Nominee 1662. What is “iNbolda”? http://www.art-center.jp/ http://www.archiaward.com/2012.php?l=E&m=8&theme=15&Obj=1662&pos=15] http://renovel.org/works/iwasaki.html http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=20171 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=25194 https://www.kobe-bunka.jp/course/center-list.php?cid=7&q=&p=1 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=422 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=423
nice!(13)  コメント(4) 
共通テーマ:アート

nice! 13

コメント 4

カズノコ

いつも慎重なナギさんが、慌てましたね。
永遠の炎が燃えている情景は、ジーンと
きますね!
みんな親切な肩ばかりで良かったですね!
by カズノコ (2013-06-01 07:19) 

岩崎ナギ

カズノコさん→慌てました(笑)。
確認不足ですね、反省です。
「自己責任」とういう事で、
誰も来るまで待ったりはしませんから余計そうですね。
炎建築が霊廟のすぐ側に建っていた事については、
色々と思う所がありました。
滞在先の方々には、
本当に親切にして頂きました。
お読み頂きありがとうございます!
by 岩崎ナギ (2013-06-01 08:11) 

匁

明日。日本水彩展行きます。
by (2013-06-01 20:18) 

岩崎ナギ

匁さん→今日、6月2日ですね。
ありがとうございます!
よろしくお願い致します。
by 岩崎ナギ (2013-06-02 08:00) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。