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NY奮闘記2012・4話「キスの秘密」 [旅(Travel)]

016・ヲウチ・00868・510.jpg

ナギ(中)、フェイ(右)、マンゴー(左)
Nagi(Center), Fei(Right), Mango(Left)

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

「ありがとうございます!」
移動中にフェイスブックで頂いていた、
旅の安全を願うコメントに、
お礼を返していく。

メッセージも頂いていたので、
それにもご返事を返し、
午前10時頃セントラル・パークに、
走り込みに出かける。

011・Cパーク02・00849・510.jpg

いつもながら多くの人が走る中を、
いつも通り10往復ダッシュをして、
旅館まで走って帰る。

パーティーは夜7時からだが、
ホイットニー美術館を観て、
去年契約していたアゴラに寄り、
付近のギャラリー街も周り、
グランド・セントラルで、
明日の朝一番のバス券を買おうと、
昼食を食べたらすぐに出かける。

最初のホイットニーは近い、
96丁目から77丁目まで、
2駅乗って地上を歩く。

012・ホイットニー・00851・510.JPG

しかし内容は期待ハズレだった。
ヨーロッパとの技術勝負を避け、
概念に偏りすぎた、
一時期のアメリカ美術の脇腹が、
そこにはブラ下げられている。

逆に日本は技術至上主義の、
受験美術を崇める一波が生まれ、
一般の人から見たら「気持ち悪い!」ものに、
「描き込めた!」と満足しながら、
発表を続けてきた。

そのどちらにも与さない、
止揚した何かは探せないのだろうか?

それに前にも書いた事だが、
おしなべて内容が暗すぎる。
他人から苦しみをぶつけられるのが、
美術という訳ではないはずだ。

その苦しみが普遍的であり、
多くの人が自分の苦しみと重ねられ、
乗り越えられる力になる訳でも無いのなら、
それを他人に見せる必要はあるだろうか?
歯を食い縛り自分で耐えるべきじゃないか。

改めて明るい絵を描きたいと、
渇望とも呼べるものを感じた。

もちろん喜びを描けば、
描かれない苦しみを描く事になる。
それは硬貨のウラオモテだ。

だがウラを求める人がいるなら、
オモテを求める人もまた、
必ずいるはずだ。

そう思いながら美術館を出て、
グランド・セントラルに寄り、
JFK行きのバス券を購入する。
期限は24時間以内。

『朝5時50分までに、ここに来なさい。』
黒人の受付のおばさんが言う。

無事予約を済ませて、
ムラサキの地下鉄線に乗り、
42丁目の西端まで行く。

ここから更に最終の西端まで、
細い地図上の線があり、
それが何かとても気になっていたのだが、
何とそれは「地下通路」だった。
これでナゾが解けた!

012・細い通路ユニクロ・00852・510.jpg

件の地下通路を歩き、
青の地下鉄線に乗って、
23丁目まで南下し、
地上に出て25丁目のアゴラに向かう。

014・25th・00853・510.jpg

そう言えばこの通りに立って、
「ADA25th」を描いたなぁ!
あれはもう3年前の事なんだ・・・

AmericanDreamAgainFrom25th_510.jpg

014・アゴラ・00854・510.JPG

アゴラに上がると、
新顔の可愛らしい娘に、
受付から「ハロー!」と言われ、
「ハロー!」と返した。

アゴラはどうやら従業員の、
休憩場所の一部を削って、
個展用の空間を作ったらしく、
ここは中々良い雰囲気だ。

014・アゴラ内部・00855・510.jpg

そうこうしている内に、
キアーラが出てきて、
再会を祝してくれる。

両頬にキスをする例のやつだが、
あれは音だけで、
キスしていない事が判明!

やっぱりそうだったんだー!
知らない人とキスするとか嫌だもんなー。
それともナギが相手だったから(笑)???

ともかく(?)その後ネリーやアンジェラ、
サブリナ、クララなんかと挨拶する。
サブリナは妊娠していた。

加えて誕生日でもあり、
二重にめでたいという事で、
ケーキを食べていた。

ナギもお裾分けを頂いて、
イタリア人の展示を見てから、
挨拶して外へ出る。

周りのギュラリーも多く観たが、
内容は前述した通りだ。

今日は暖かい日だ。
再び23丁目から42丁目、
42丁目から細い通路、
ムラサキ42丁目からグランド・セントラルと、
逆順で帰って緑6番で南下。

「ブリーカーストリート」で降り、
オレンジの「D線」に乗り換える。

「BもしくはD」が、
ヲウチ・ギャラリーの最寄り駅の、
「デケルブ・アベニュー」に行く・・・

・・・と伺っていたからそうしたのだが、
何とこれは誤情報!

「ブルックリン橋」を渡った後、
列車は「デケルブ・アベニュー」を通り過ぎる!

015・ブルックリン橋・00857・510.jpg

慌てて次に停まった駅で降り、
逆側をB線で北上する。
もちろんその前に警官に、
Bなら停まるかどうかは確認した。

「B」しか停まらない駅(???)、
「デケルブ・AV」で降りて、
ヲウチまで歩く。

015・デケルブAV・00860・510.jpg

7時からパーティだが、
まだ5時半くらいだ。

『個展の下見をしたい。』
と予め頼んでおいたので、
準備にお忙しい中を、
入れて頂いて寸法を測る。

016・ヲウチ「ギャラリー寸法」・510.jpg

そんなこんなしている内に、
人が集まってパーティーが始まる。

FBで大学の時から友人になっていて、
今はデザイナーになった、
フェイとマンゴーさんも来てくれた。

フェイは日本人の血も、
半分は入っているから、
少し日本語が話せる。
マンゴーさんは、
留学経験もあるという事で、
日本語は完璧だ。

本当に忙しい中、
2人とも良く来てくれた!
嬉しく話ながら時を過ごす。

人はドンドン増えて行って、
付近のアメリカ人も加え、
スシ詰め状態になった・・・。

016・ヲウチ・00871・510g.jpg

(5話につづく)



/////////////////////////////////////////

2月11日(土)は、
紫舟さんの書道パフォーマンスに行ってきました。
末広大喜さんのお誘いでした。

紫舟・510.jpg

紫舟さんは時間内に完成させるとか、
魅せて書くとか、
最初と終わりに礼をされるとか、
職業人としての好ましさを感じました。

続けてキース・ヘリング展に行ってきました。

キースへリング展・510.jpg

今は無きセゾン美術館で、
当時1万円で売っていた、
数量限定のキース・ヘリングの時計。

『締めないから買わない』と、
買わないでいるとバブルが来て、
100万円になった時期がありました。

その後バブルが崩壊し、
失われた10年(20年)が押し寄せ、
日本が現在瀕死の状態にある事を思う時、
『買わないで良かった!』と思います。

「実用より再販売(転がし)の目的が強い、
購買行動が前者を凌いだ時、
そこから『バブル』が始まる。」

ナギがバブルを赦す事は決してないでしょう。

そんな事とは関係なく、
80年代を彷彿とさせるキース・ヘリング展は、
相変わらず力を持っていて、
『また頑張ろう!』
と思う事ができました。

次回は2月17日(金)に、
生徒の方の代表作と、
ナギの人物デッサンを掲載します。

では!
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NY奮闘記2012・3話「音速領域」 [旅(Travel)]

008・グッゲンハイム・00831・510.jpg

グッゲンハイム前のナギ
Nagi was in front of Guggenheim.

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

『15ドルで13:45位に来ます。』
・・・と意外にもサクサク話が進む。

今回の旅後半の困難の大きさを考えると、
前半はウソのように、
何もかも順調に進んだ。

物事の進行とは多くはそうしたものだ。
前半が上手く行く時の後半は危うく、
前半の困難は後半で乗り越えられる。

それはともかく通関したのが13:25で、
バスが実際に来たのが13:35。
緑のターバンを巻いた、
バングラデシュ人が運転手だ。

『何分ぐらいで市内に着きますか?』
『先に他のターミナルの客を集めないと。』
『ラガーディア(空港名)も回るんですか?』
『いやJFKだけ。』

別の搭乗口に車が停まり、
待つ内に続々と他の乗客が乗って来て、
ギュウ詰めになる。

ところが肝心の運転手が、
中々戻って来ない。

ようやく戻ってくると、
誰かの予約票を叩いて怒っている。

どうやら1人のおじさんが、
予約の場所で待たず、
勝手に車の所まで来て、
先に乗ってしまっていたらしい。

車に乗っても運転手は、
そのおじさんの予約票を振り回し、
『約束の場所で待ってないと駄目じゃないか!』
とかなりの剣幕で怒る。

怒られたアメリカ人のおじさんは、
『東洋人はみんな殺し屋さ!』
と隣の奥さんに結構な声で告げ口する。

そんなやや険悪な雰囲気の中で、
更に別の場所で乗客を集め、
限界までギュウギュウ詰めになってから、
NY市街に向けて出発する。

006・NY到着・00824.JPG

そんな事があったからか、
バングラデシュ人のおじさんは、
ナギには優しく、
『駅に行くので良いのか?
列車に乗るのか?』
と訊いてくれる。

『地下鉄で96丁目まで行きます。』
「OK!」

道が空いていたからか、
それほどの時間乗ることもなく、
『ここがグランド・セントラルよ。』
と隣の金髪の女の子が教えてくれて、
駅に到着する。

007・グランド・セントラル00827・510.jpg

運転手のおじさんに15ドル+チップ1ドル、
合計16ドルを渡し駅に入る。

緑の6番アップタウン方面で、
96丁目まで上がり、
旅館まで歩いて行くと、
宿の責任者のNemotoさんが、
寒いのに道まで出て待っていてくれた。

ガッチリ抱擁を交わし再会を祝する。

部屋に案内して頂いて、
精算を済ませた後、
グッゲンハイムまで、
同道して頂ける事になる。

同美術館への道は、
去年来て知っているのだが、
今回は96thを横切る、
バスに乗せてくれるという。

バスも地下鉄も、
同じ「メトロ・カード」で精算できる。

そう言えばグランド・セントラルで、
親切な白人青年に教えてもらいながら、
カードに20ドル追加しておいたので、
この旅中は困る事はないだろう。

バスには前から乗り、
メトロ・カードを縦に差し込んで、
先払いする。

ほとんど走る間もなく、
セントラル・パークに到着し、
下車して美術館へと南下する。

もともと歩いていける距離だが、
Nemotoさんの
『バスにも乗せてあげよう!』
という好意を無碍にも出来ず、
96thをバスで横断した。

この日は寒い。
震え上がるような朔風が吹き付ける。

「昨日まで温かかったんですけど、
今日から急に寒くなったんです。」
Nemotoさんの説明を聞きながら、
肩をすぼめて歩く。

美術館前でNemotoさんと別れ、
「Maurizio Cattelan」展を観る。

同マウリツィオは、
ローマ法王が隕石の直撃を受けていたり、
刺激的な彫刻で知られる。

今回はその彫刻(?)群を、
全部天井からブラ下げて、
グッゲンハイムの螺旋を登りながら、
鑑賞して行く方法だ。

008・グッゲンハイム01・00832・510.jpg

008・グッゲンハイム02・00841・510.jpg

008・グッゲンハイム03・00842・510.jpg

マウリツィオ・カテラン展
Maurizio Cattelan's show

面白い展示方法で、
挑発するような題材選択だが、
内容が暗い気がする。

これはマウリツィオだけでなく、
ニューヨークの他のギャラリーも、
巡ってみて思うのだが、
多くの作家が話題作りのため、
反社会的なものを多く作っている。

それも悪くないが、
そろそろ明るいものが見たいと思い、
新素朴派宣言」を出して、
「水彩を通じて明るい未来を共有する。」
ことを制作目的に置いた。

『人は人。』
そう思いながらグッゲンハイムを去り、
近くの湖のほとりで、
10往復ダッシュを行う。

009・Cパーク01・00845.JPG

『おい音速領域(サウンド・エリア)だな!』
白人のおじさんがナギの走りを褒めてくれる。

別の公園奉仕団体のおばあさんも、
『あなたの走り方は興味深いわ。』
と草を引き抜きながら、
興味津々だ。

『あなたの奉仕活動も素晴らしいですよ!』
と褒め返して宿に帰り、
夕飯を食べる。

010・サード・DSC00846.JPG

40時間以上起きているので、
「もち」を食べていると、
眠気で体が傾いてしまう。

茶碗を落っことしそうになって、
ようやく目が覚め、
強烈な眠気と闘いながら、
何とか完食する。

ベッドに潜り込むと、
殴られたような眠りが来る。

本当にあった事かどうかも、
ハッキリ思い出させない不安定な記憶が、
一瞬脳裏を叩き直すが、
底に沈むような眠りに呑み込まれる。

朝3時、
「今日はパーティだ!」
と飛び起きた!

(4話につづく)



/////////////////////////////////////////

この日は本当に寒く、
旅館にコートを置いてきて、
すぐに後悔するハメになりました。

次回は2月10日(金)にデッサン指導案を、
更新致します。

では!
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NY奮闘記2012・2話「牛肉と豚肉どちらが良いですか?」 [旅(Travel)]

005・上海NY便.JPG

上海空港のNY便
The airplane to NY in PVG airport.

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
女の子が説明するかしない内に運転手が来て、
2人きりの乗客で発車する。

空港ホテルは特に不快な所は無い。
良くある設備で、
可もなく不可もない。

005・ラマダ室内・00819.JPG

ラマダ・ホテル室内
My room of RAMADA hotel

近くに公園はないので、
朝は非常用車両の駐車場で、
10往復ダッシュを繰り返して、
着替えてから空港に向かう。

005・ラマダ屋上.JPG

窓からの眺め
The window view

これから「15時間座りっぱなし」に、
耐えるためには、
体を「動かし溜め」に、
しておかないとスッキリしない。

中華東方航空は思ったより、
全般的に対応が良く、
「アイド・ライク・トゥー・セレクト・アイルサイド」
と伝えるとちゃんと通路側が取れた。

長時間の移動時は、
景色よりも通路側で、
すぐに歩ける方が良い。

定刻の午前11時30分に、
機は離陸を始める。

ここから自分は時計を13時間戻して、
ニューヨークの現地時間に合わせる。
つまり今は午後10時30分だ。

すぐに上海時間の昼食が、
機内食として配られるが、
自分にとっては夜食だ。

食べ終えるとNY時刻の6時まで、
トイレ横の空いた場所で、
8時間足踏みしながら、
ひたすら本を読み続ける。

2国間の時差を、
長い1日として捉え、
時差ボケを防ぐ。

1冊本を読み終え、
2冊目に掛かった所で朝6時になり、
搭乗員が朝食準備に入る。

おとなしく席に帰り、
本の続きを読む内に、
初めて眠くなり、
ウトウトとまどろむ。

その内に男性と女性の、
2人組の搭乗員が来て、
「牛肉と豚肉どちらが良いですか?」
と日本語で男性の方が訊く。

わざと真顔で言ったので、
思わず大笑いしてしまう。

「牛肉でお願いします!」
と言うと女性添乗員の方も大笑いしながら、
「チョトォ待ってください。」
とやや訛りのある日本語で言ってくれる。

この例があったから言うのではないが、
2010年1月に中華航空に乗って、
NYに行った時よりも中国人の、
それも搭乗員はもちろん乗客の、
教養程度や行儀は向上している。

2010年当時は、
多くの中国人がわぁわぁ騒ぎ、
機内が混乱する事、
甚だしかったが、
今回はそういう事がほとんど無い。

もちろんそんな人もまだ残っていて、
どうやら機内のトイレでタバコを吸う、
トンデモないのもいたようで、
臭いニオイが充満した事も、
時々あったりした。
搭乗員も特に注意しない。

機は予定より1時間早い、
午後12時15分、
JFK空港に到着した。

場外に出てほんのすぐの所に、
「NY Airport Sevice」
という扇状の机があり、
2人の女性が座っている。

『エアリンクシャトルで、
グランド・セントラルまで、
行きたいのですが?』
と早速頼んでみると・・・

(3話につづく)

/////////////////////////////////////////

まだまだ寒い日が続きますね!
いかがお過ごしですか。

NY旅は前半は割合順調でした。
次回は2月3日(金)にデッサン指導案を、
更新致します。

では!
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NY奮闘記2012・1話「リンゴを囓りビックアップルに」 [旅(Travel)]

001・「リンゴ」を囓りNY・00805.JPG

リンゴを囓りビックアップルに。
I bit an apple and started to the Big Apple.

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

嫌な気分は吹き飛んでいた。

国外へ1人旅する前に、
必ず訪れる憂鬱、
『行ったところでどうなるんだ?』
という気分も・・・

『人生はその時々の最善を、
尽くし続けるしかない!』
という前向きなものに回復していた。

自分の中で良質なものは、
ほとんど「度胸」しか無いのだから、
それで行くしかない。

午後3時の関空は薄曇りだが、
「水彩を通じて明るい未来を共有する。」
という制作目的を去年明確にしたから、
その自分が落ち込むことは出来ない。

相変わらず搭乗口に早く着きすぎ、
手持ち無沙汰な上、
喉も渇いたので、
持参した小さなリンゴを囓る。

「リンゴを囓りビックアップル(NY)に」。
つまらない冗談を思い付きながら、
写真を撮り手記を取り始める。
何事でもキッカケは必要だ。

中国東方航空は定刻通り、
16時50分に離陸する。

同航空は遅れる遅れると聞いていたので、
ピッタリ出発したので驚く。

搭乗員も美人で親切だ。
これも評判とは違う。
噂とは当てにならないものだ。

しかし評判で当たっていたのは、
英語を喋れない事。

入国票を書く時、
上海空港が乗り継ぎで、
VISAを取っていない事を、
英語で説明すると・・・

口の中でモニャモニャ言って、
『書かなくて良い。』
と身振りで表現する。

食事も「ビーフ」と言ったら、
何故か「ウナギ」が出てきた。

でも態度が協力的なので、
そんなに問題ではないだろう。

飛行機は雲が薄くなったり、
逆に厚く溜まっている所を、
静かに飛んで行く。

002・雲海進む・00812.JPG

隣で中国語を喋っていた、
女の子2人組に、
出てきた「どら焼き」をあげる。

1人の娘は留学経験があり、
日本語も上手だ。
「オミヤゲにします。」
と言ってくれた。

2時間ほど飛んで上海着。
安い便だから乗り継ぎで1泊する。
上海空港は思ったよりずっと広い。

003・上海到着・00815.JPG

昔懐かしい「タラップ」を降りて、
空港内をバスで移動する。

入国は驚くほど簡単だ。
『こんな簡単で良いのか?』
思わず思うほどだ。

預けた荷物番号の確認も何も無い。
盗られたら永遠に戻らないだろう。
(この事は後で思い知る事になる。)

ホテルは「ラマダ・プドン・エアポート・上海」。
空港から無料シャトルバスで10分。

結局遠くて宿泊費は安い所より、
交通費を考えると安く、
時間管理も簡単だ。

シャトルバスの発着場所を、
空港にあるラマダ・デスクで確認し、
9番出口から出て探すが判らない。

近くにいる若い警官に、
「エクスキューズ・ミー・オフィサー?」と、
ホテルの予約書を見せて訊く。

英語は判らないようだが、
笑顔で小さなバンを指さす。

004・ラマダバス・00817.JPG

確かに「RAMADA」と書いてある・・・
・・・が誰も乗っておらず、
運転手すらいない。

しかも停まっている場所も、
「中州」みたいな不安な位置だ。

『本当にコレか?』
疑問に思うが、
さっきの警官も言葉が通じないのだから、
誰に確かめる事も出来ない。

しばらく待っていると、
赤いコートを着た女の子が1人来た。

『このバスで良いでしょうか???』
と女の子に訊ねてみた。

(2話につづく)

/////////////////////////////////////////

今日から始まりました、
「NY奮闘記2012」。
よろしくお願い致します。

現在は体調も回復し、
元気に日常生活を送っております。
ありがとうございました。

「新素朴派宣言」の方も、
「いいね!」が予定の「500」を超えました。
こちらもありがとうございます。

「水彩を通じて明るい未来を共有する。」ために、
「新素朴派宣言」を潮流とするために、
「全ての人に」届けるために・・・

多くの方にお願いしています。

特に嬉しかったのは「Artes Prato」
という音楽の啓蒙活動を行っている所の方が・・・

We love to condivide this notice
from the "Samurai Don Quixote" Iwasaki Nagi.
Nothing happens by chance:
in the moment we are planning to play works
by Toru Takemitsu we receive good news
from the japanese artist.

我々はサムライ・ドンキホーテである、
岩崎ナギからの知らせを喜んで共有します。
この日本人芸術家からの良い知らせは、
我々が武満徹(氏)の作品を演奏しようとしている時に、
届けられました。
何事も偶然には起こらないものです。

・・・と高名な武満さんと比肩して、
紹介してくださった事。

でもそういう所も、
フェイスブックを始められたばかりの方も、
お願いできるのは同じ1票でしかない。
とても民主主義的で良いと思います!

今まで「いいね!」頂いた方、
本当にありがとうございます!

そして「いいね!」これからしよう!
という方は・・・
よろしければ「いいね!」に加わって頂ければ、
とても嬉しいです。
リンクはコチラです。)

日本人の方にも多く「いいね!」頂き、
フェイスブックも4年目にして、
本当に母国の方にも、
多く参加頂けていると実感します。

最初フェイスブックには、
「Kobe, Japan」という表記も無くて
(勝手に書いていましたけれど)、
神戸は京都にあることになっていました
(もちろん兵庫県です)。

それをフェイスブック側に要望を出し、
兵庫県に直し、
かつ「Hyogo, Japan」
(今度はその表記しか選択不可になりました)ではなく、
「Kobe, Japan」という表記を認めて頂きたいと、
また要望を出しこれも通ったりして、
段々今の形になってきました。

これからは主要な記事は、
日本語でも発信して、
もっと日本の方にも、
活動を知って頂きたく思っています。
改めましてよろしくお願い致します!


次回は1月27日(金)に更新致します。
ではまた!
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2011アリゾナ奮闘記・第8話「日本人の挑戦」 [旅(Travel)]

65・暁光のPX空港・510.jpg

フェニックス空港での夜明け。
The daybreak in Phoenix airport.

○2011アリゾナ奮闘記・第8話「日本人の挑戦」

マシューの仕事場では作品を、
家では荷物を下ろし、
その足でキャッシーのギャラリーに、
食事を食べに行く。

やはりFBで友人になっていた、
ジェイソンと前出のダンも一緒だ。

63・Dan&Jason&Kathy&Nagi・510.JPG

ジェイソンはとても良い絵を描く。

「専門の教育を受けた訳じゃないんだ。」
「それは大した問題じゃないよ。」

「キャッシーは初めて僕の絵を、
展示してくれた人なんだよ。」
「優れた審美眼を持っているんだね。」

お土産に風月堂のゴーフルを渡す。
西神中央駅でデッサン講座の日に、
5個まとめて買って、
各所でのお土産としたが、
どこでも喜ばれた。

お返しに、という訳ではないが、
ジェイソンが絵の複製を用意してくれていた。

「本物は今日持って来られなかったから、
郵便で送るよ。」
「ありがとう!」

68・ジェイソン作品・510.jpg

©Jason Nye "Sun"

キャッシーも自分の絵の複製に、
サインをしてお土産にしてくれる。

67・キャッシー・コーン作品・510.jpg

©Kathleen D. Cone "Formation"

前回の訪問で、
マシューの長広舌には懲りていたので、
「じゃもう帰ろうか?」
と促して扉まで出る。

しゃべり足りないマシューは、
車の近くに来てもまだしゃべる。
扉を開けて先に乗り込み、
「また会おう!」
車は走り出す。

話の尽きないマシューは、
道すがら一軒のビルを見せてくれる。

「これは何の建物?
所有者はお父さん?」
「いや、これは僕の未来のオフィスだ。」

相変わらず夢の多い男だ。
まだ借りてもいないビルの、
各部屋の使用予定を細かく話す。
しかし誰がそれを笑えるだろう?

鼻風邪を引いたらしい、
グズグズと鼻水が出る。

「グリアーとここ(フェニックス)では、
全然気温が違うから
(20度ほどの気温差がある)、
体がついて来なかったんだろう。」

マシューが薬を買って来てくれた、
そのお陰だろう。
次の日の明け方には、
風邪はあらかた治っていた。

64・夜明けのPX・510.jpg

朝5時のフェニックスの街を走り、
4番ターミナルに到着する。

「来年はアリゾナ州も広報してくれる、
もっと人が来るさ。」
「その通りだ!」
握手を2度握り直し別れる。

帰りの飛行機については省略したい。
ただ無事の着陸が嬉しかった。

マシューは10月7日(金)に、
売り上げの入金を済ませてくれた。

しかし口座名の間違いと
住所の間違いがあり、
1度アメリカに返金され、
実際に入金されたのは、
2日前の10月19日(水)で、
最終的に払出が可能になったのは、
なんと今日10月21日(金)午前9時11分。

ついさっきの事だ。

米国側「東日本大震災」領収書・510.jpg

「東日本大震災」払出明細票・510.jpg

義捐金の払出領収書
The receipt of the donation.

前回の日記で描いた通り、
ナギが震災への寄付を行ったのは、
振込窓口となる商工会議所の都合上、
9月22日(木)だったから、
その間のほぼ1ヶ月は、
先払いだったのだ。

キャッシーの
『彼は正直な人物だ』
という一言だけで決定した旅であり、
結果としてその通りだった訳だが、
ナギの帰国後は、
マシューも眼前の仕事に忙殺され、
振込が後に後にとなり、
ずいぶん心配した。

「回収までが仕事」
その鉄則を頭で解ってはいても、
実際に国外から回収するのは、
押したり引いたり本当に困難だった。

最終的には約束を守れる人にしてそうだから、
今回は国外交渉の試金石として、
すごく良い勉強になった。

2010年のニューヨーク初展示では、
「指1本」だけしか掛からなかった、
国外挑戦の岩壁に、
今度は「手のひら」までは掛かり、
苦しみながらも手掛かりを得た。

まだ中空で足をブラブラさせ、
いつ落っこちるとも知れない、
危うい登攀行だ。

ただナギの様に、
否応なく国際競争に押し出されるか、
自発的に参加するかは別にして、
今まで主として大企業や、
貿易を主眼とする企業しか、
関係の薄かった国際競争が、
中小はもちろんナギのような零細にも、
例外を作る事なく波及するだろう。

すぐそこの明日に対して、
あるいはもう来ている今日に対して、
真摯に対応して行きたい。

今この挑戦が愚かで、
滑稽であるとしても、
明日は我が身かも知れない。

このジタバタした苦闘から、
何か手掛かりを掴まれた方は幸いである。

今度はあなたの奮闘を、
ぜひお聴かせ頂きたい。

そこから何か手掛かりを得て、
また新たな挑戦を始めよう。

それが自分達から始める、
「日本人の挑戦」だ。

66・サンフランシスコから東京・510.JPG

(了)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

この日記で「2011アリゾナ奮闘記」は終了です。
お読み頂きありがとうございました!

バックナンバーは以下です。

第1話「過去に戻る

第2話「白紙に戻る

第3話「招かざる客

第4話「チチ・バー

第5話「荒野を横切る

第6話「バーンアートショー

第7話「FBI

この展覧会の後、
ニューヨーク・シラキューズで、
「スティーブ・ジョブス」追悼展の参加が決まりました。
場所は「The Tech Garden」です。

10月中参加を受け付けており、
11月15日に作品必着と急ですが、
参加無料で(輸送費は自分持ち)、
売れた場合も100%受け取れるので、
ご興味のある方は申し込まれて下さい。

この展覧会には「それゆけ甲子園!」
1点だけしか出しませんから、
売れないと思いますけど、
売れた場合は同テック・ガーデンの、
志ある学生に10%、
東日本大震災に5%、
寄付する事をすでに伝えてあります。

これはヲウチギャラリーの「100人展」と、
同時期ですので、
シラキューズも交通手段があれば、
頑張って行ってきたいと思います。

次回のブログは、
10月29日(土)に更新します。
よろしくお願い致します。

では!
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2011アリゾナ奮闘記・第7話「FBI」 [旅(Travel)]

58・Somthing Bird・510.jpg

何らかの鳥。
Some kind of bird.

○2011アリゾナ奮闘記・第7話「FBI」

鳥が飛んでいる。
ニーナに鳥の名を訊くと、
「ウーチャー」と発音した。
ついに何か判らない。

そのままマシューの婚約者ニーナ、
その娘ソフィーと一緒に、
ニワトリの卵を獲りに行く。
しかしニワトリは卵を産んでいなかった。

54・Chicken & Sophia・510.JPG

他に鳥と言えば、
ミミズクも見かけた。
朝の光の中でジッと動かない。

50・Horned Owl・510.jpg

ミミズク
Horned owl

ニーナは私有地専用の、
「ポラリス・レンジャー」に載って、
別荘内を案内してくれる。

53・Nina & Sophia & Lake・510.jpg

気を遣っているのだろう、
方々で「写真を撮りなさい。」
と勧めてくれる。

納屋前の湖ではなく、
別荘前の小池に到着する。

「ボートに乗りましょう。
最初は見本を見せるわ。」
と言って漕ぎ出す。
こんな感じだ。

55・Nina rows a boat・510.JPG

こういうカヌーは経験が無いが、
波もない小池だから、
ひっくり返っても泳げるだろう。

くるくると1~2周回る。
案外オモシロイ。
高原の風が心地よい

57・Nagi rows the boat・2・510.jpg

待っているニーナとソフィーに気を遣い、
そこそこに切り上げて引き返す。

別荘に帰るとマシューが、
「腹が減ってないか?」
と訊いてくれる。

「食べるよりも先に走っておきたい。」
「よし、じゃあ出発は1時半だから、
それまでに用意を済ませておいてくれ。」

・・・という事で思い切り走る。
酸素の薄いのにも慣れて、
苦しみも少ない。

トレーニング後は、
ソフィアがノートPCで、
教育アニメを見ている横で、
ベーグルを食べる。
にわか雨が湖面を叩いている。

フェニックスに帰る前に、
バーンアートショーで借りた備品を、
マシューと共に返しに行く。

お借りした施設(たぶん診療所)へと、
長椅子を運び込み、
2人で「サンキュー!」と言って出てくる。
部屋には「FBI」の帽子が置かれていた。

「FBIの帽子があっただろう?」
「それで??」
「フリー・ビジネス・インターナショナル!」
「アッハッハ! イエス!」

続けて休暇を取るニーナと、
ソフィア達を残して、
来た時とは逆順で帰る。

即ち「森林→灌木→荒野→サボテン」だ。

59・Woods Again・510.JPG
61・灌木地帯再び・510.JPG
60・Geronimo Pass & Nagi・510.jpg
62・サボテン再び・510.jpg

「サボテン」が見えたら、
我が懐かしき「フェニックス」もすぐそこだ!

63・フェニックス再び・510.jpg

フェニックス再び!
Phoenix again!

(つづく)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

次回のブログは、
10月21日(金)に更新します。
よろしくお願い致します。

では!
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2011アリゾナ奮闘記・第5話「荒野を横切る」 [旅(Travel)]

14・ハーレー・ママ・原寸・510.jpg

「ハーレー・ママ」とマシューが言った。

Matthew said, "Harley Mama."

○2011アリゾナ奮闘記・第5話「荒野を横切る」

ヘルメット無しのハーレー乗りが、
自分達の車を追い越していく。

周りはサボテンが林立する、
赤土の渓谷だ。

「ハーレー・ママ」、
後席に跨る女性を評して、
マシューが言う。

サボテン・サボテン・サボテン・・・
赤い砂、赤い土、赤い石。
こういうのを「荒野」と呼ぶのだろう。

鳥が飛んでいる。
「タカかなワシかな?」
「いやあれはレイブン(渡鴉(ワタリガラス))だ。」
2、3匹の群れが飛ぶ。

不機嫌なウェイトレスのいる、
ドライブ・スルーで食料を買い、
車は更に進んでいく。

2時間も走ると木が見えだす。
標高が少し上がったのだろう。

そこからひたすら車は登り出す。
標高は1000メーターを越えた。

4時間か5時間か、
時間の感覚が失われたころ、
グリアーに到着する。

完全な森林地帯だ。
標高2000メーター以上。

湖さえ併せ持つ、
巨大な別荘は、
馬が草を食んでいたり、
本当に素敵だ。

17・スペードランチ・510.jpg

美しい納屋とこの展覧会の企画者マシュー。

Beautiful Barn with Matthew who held the show.

一旦泊まる棟に荷物を置き、
早速「納屋(バーン)」に入って、
作品の飾り付けを開始する。

他の作家も次々に到着し、
「ナイス・トゥー・ミー・チュー!」
と言い交わしながら、
テキパキと作業は進んでいく。

それぞれ良い作品を持つ作家達だ。
全員展示にも手慣れている。
自前の「ついたて」をパタパタと組む。

26・Jonson Yazzie・510.jpg

ジョンソン・ヤジーとその作品。

Johnson Yazzie and his works.

「ナギはこの一角を全部使ったらいい。」
最奥の広い場所を示されるが、
困ったのは展示方法だ。

事前に、
「馬の柵を使えばいい。」
と聞いてはいて、
ハリガネで括れば何とかなるだろう・・・
と思っていたのだが。

実際は括りつけると、
画面は「下」を向いてしまう。
まるで枯れかけのヒマワリだ。
これには冷や汗が出た。

良い作品やシッカリした展示は、
他の作家にも歓迎される。
相乗効果で自作も良く見えたり、
良く売れたりするからだ。

悪い作品や汚い展示には、
この正反対の事が言える。

本気で売りに来ている他の作家に、
迷惑を掛ければ他国人だけに、
その怒りはより激しいだろう。

苦肉の策でハリガネの隙間を、
エア・キャップを丸めて加減すると、
何とか「ツラ」が正面を見た。

しかし作品数が作品数だけに、
角度の調整を含むと、
莫大な時間が要る。

「マシューちょっと手伝ってくれないか?」
「よし!」
と言う訳で2人して試行錯誤する。

ハリガネを強く縛ってみたり、
色々試す内に、
「テープを使えば良いんじゃないか?」
マシューが思い付き、
貼ってみるとこれが一番早い。

次々に貼り付けて展示を完成。
他の作家達も、
「グッド・プレゼンテーション」
と認めてくれた。

28・ナギと作品・510.jpg

ナギ(自分)と自作品。

Nagi(me) and my works.

惜しむらくは納屋の割り当て位置や、
柵とはどのようなもので、
高さ長さはどうなっているのか?
という事が事前には全く解らず、
計画ナシに即興になった事だ。

今年はしょうがない。
だが来年を考えて、
柵の高さ、長さ、構成を、
手帳に控えておく。

25・馬柵寸法720・510.jpg

馬柵(うませ)の寸法
The sizes of the horse rails.

ともあれ展示を終え、
宿泊用の山荘に帰る。
割り当てられた部屋も豪華だ。

18・山荘室内・510.JPG

山荘内部
The inside of the mountain villa.

夜食事をしてから、
もう9時過ぎだが、
山荘の周りを走る。

日本を発ってからバタバタと忙しく、
トレーニングの時間が取れなかった。
2日間鍛えない日が続いている。

3日連続は絶対に許されない。
1日目は通常の休息であり、
2日目はオマケだ。
だが3日目は衰退期の始まりだ。

食べたばかりで苦しいが、
ヒタスラ走る。
星空が驚くほど美しい。

息が切れたので、
いよいよナマケのツケが来たかと思ったが、
よく考えれば道理だ。

ここは2000メーターを楽々と超える、
高地に位置するのだ。
下手すれば酸欠になりかねない。

酸素不足の苦しみの中で、
輝度の高い星々が明滅する。

夜は死んだように眠り、
朝は午前4時に起きる。

今日はいよいよ展覧会の始まりだ!

(つづく)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

明日は小磯記念美術館での講義、
「大下藤次郎と現代作家にまなぶ透明水彩」を、
行います。

ご予約された方は、
お忘れなくお越し頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。

次回のブログは、
10月3日(月)に更新します。

よろしくお願い致します。

では!
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2011アリゾナ奮闘記・第4話「チチ・バー」 [旅(Travel)]

08・リッチーさん・510.jpg

神戸市東灘区に住んだ事のあるリッチーさん。
東灘区はナギの地元です。

Rich-san who had lived in Hagashinada-Ku Kobe, Japan.
That place is my neighborhood.

○2011アリゾナ奮闘記・第4話「チチ・バー」

カフェの客の1人が、
「どこから来たんだ?」
と訊ねてくる。

「フロム・神戸・ジャパン。」
と言うと驚いた様子だ。
何故だろう???

「俺は神戸に住んでいた事があるんだ。」
「えー!本当!?」

話を聞くとリッチーさんは、
(「ワタシHAリッチーSANデース!」との事)
東灘区岡本に住んでいたと言う。
ナギの家のすぐ近くだ!

しばらく談笑し、
記念撮影する。

店の中も誰かが、
「コウベ・ジェントルメン」
と言って何となく落ち着く。

(ちなみにアリゾナでは、
ジェントルメン、レディ、
という言葉をよく聞いた。

これらはアリゾナでは死語ではなく、
「規範」なのだ。)

翌日も朝からマシューのお父さんの、
市内での邸宅(本当に邸宅!)で、
展示の仕込みをしたりして、
忙しく過ごし、
夜はコーン・アーツ(画廊)を営む、
キャッシー・コーンを訪問した。

キャッシーは前述通り、
FBで2年くらい交流がある人物で、
写真などで顔をよく見ていたのだが、
実際に会ってみると、
思ったよりもずっと小柄な、
若々しく(年齢は60代)可愛らしい女性だった。

再婚した(事実婚の?)ダンと一緒に、
歓迎してくれる。

そのビルはギャラリーや制作室の、
集合体のようなビルで、
どの部屋も別々のギャラリー、
もしくは制作室であるようだった。

件の「コーン・アーツ」も、
画廊兼制作室であり、
キャッシーは一人の優れた作家として、
人の心に迫るような作品の数々を、
事細かに説明してくれる。

どれもが彼女の人生の、
個人的な結晶であるようだった。

教条的な父親と、
混乱した自分と2人の姉妹、
そしてその表象としての作品。

更にグラフィック・デザイナー時代の作品も。
驚いた事に彼女は、
サンフランシスコの日系企業に、
勤めたことがあるらしかった。

上司はヨウイチ・某氏。
『キャッシーさん、言ったでしょう!』
彼女は抑揚の可笑しい日本語で、
当時の上司の口まねをする。

恐らく彼女は会社には合わなかっただろう。
ましてや日本の会社には。

彼女のギャラリーには、
「隠し部屋」があり、
普段はタンスによって塞がれている。

11・キャッシーと隠し部屋・510.jpg

その「隙間」で記念撮影をし、
さぁ帰ろうかとリュックを担いだ所で、
マシューの新たな長話が始まる。

第2話でも触れたとおり、
マシューは自然体で、
ひたすら喋りまくる人物で、
良くも悪くも途切れるという事がない。

しかしものには頃合いというものがある。
皆もう片付けて寝ようか・・・
といった感じだっただけに、
再開された長話に辟易する。

更に30分くらい喋るまくるので、
ダンはこっそり奥に引っ込み、
キャッシャーは先導して、
静かに帰り道の扉を開ける。

扉を出かけると、
さりげなく戻ってきたダン、
それにキャッシーと握手する。
キャッシーは涙ぐんでいる。

しかしまたもマシューが喋り始め、
みんなでゲンナリする。

先回りして車に乗り、
キャッシーに手を振って別れる。
ダンは用心して近づいて来ない。

帰りの道中でもマシューはまだ喋る。
「キャッシーは本当に素敵なレディーなんだ。」
何も気付かない所が彼の善良さだ。

「ところでチチ・バーに行かないか?」
「チチ・バーってナニ?」
「裸の女性が踊るんだ。」
「アー、トップレス・バー?」
「ゼイ・アー・セイム」
「エニウェイ・ノー。」

「Titty」とは「おっぱい」の事。
日本語の「チチ」と似ていて面白い。

「本当に行かないのか??」
「ノ!」

明日はいよいよ「グリアー」に向けて出発だ!!

(つづく)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「アリゾナ奮闘記」お読み頂いて、
ありがとうございます。

日本の自然を描く展」の西日本展、
9月19日で終了しました。
お出かけ頂いた方、
ありがとうございました。

西日本展「ナギ展示」2011・510.jpg

風を聞いて「ヒサエ」
作者・岩崎ナギ

I heard the wind. "Hisae"
Artist / IWASAKI, Nagi

「日本の自然を描く展」は、
自分が出したから言うのではないけれど、
面白い作品が多かったですね。

「登竜門」なので、
固まっていない作品も多い。
その固まっていない、
放縦な迫力に元気をもらいました。

固まりすぎると安心して観られる代わり、
絵の迫力には乏しくなる傾向もあります。

話変わって現在展示中の、
かほりクラフト」に、
「それゆけ甲子園!」を、
追加展示してきました。

「甲子園展示」お客さんと・510.jpg

「それゆけ甲子園!」
作者・岩崎ナギ

"KBP A Go Go!"
Artist / IWASAKI, Nagi

写真に写っているお客さんにも、
「凄いねー!」
と誉めて頂き、
展示も手伝って頂いて、
とても良かったです。

岩崎ナギ水彩展」は、
9月30日(金)までです。

さて次回のブログは、
9月25日(日)に更新します。

よろしくお願い致します。

では!
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2011アリゾナ奮闘記・第3話「招かざる客」 [旅(Travel)]

06・フェニックス美術館前・510.jpg

フェニックス美術館前
In front of the Phoenix Art Museum.

○2011アリゾナ奮闘記・第3話「招かざる客」

とにかく隣州のコロラド州まで、
件の火事の煙が流れて、
「こげ臭い」というのだから凄まじい。

同コロラド州のFB友人が、
「本当に開催できるのか?」
と訊ねてくる有様だ。

とりあえず7月は、
パラダイス・バレーで行う事にする。
問題の8月はどうなるか判断が付かない。

「もう航空券の取り直しは出来ないので、
何とかならないか?」
とマシューに訊ねる。

「とにかく現場を見て来るよ。」
マシューがフェニックス市内から、
5時間かけて、
農場のあるグリアーを見に行く。

「父親は出来ると言っている。」
マシューが言ってきたのは、
しばらく経ってからだ・・・

・・・背の高い椰子の木を両側に見ながら、
車はフェニックス市内を走る。
マシューはまだ話を続けている。

周りはどの家も、
日本の基準からすれば、
高級住宅ばかりだ。

「どの家も結構安いんだよ。」
・・・とてもそうは思えない。

マシューの家の門をくぐり、
婚約者ニーナと、
2歳の女の子ソフィアに挨拶する。

05・マシュー家前・510.JPG

マシューの家付近。
The neighborhood of Matthew's house.

なぜ子供がいるのに婚約者か?
そう思わないでもないが、
そこは個人の自由なので干渉しない。

部屋も中々立派な部屋だ。
宿泊料も要らないが、
外で食べた時は自分で払う約束だ。

「それはそれぞれの胃袋次第だから。」
と米国人らしい表現を使っていたが、
実際には奢ってくれる時も多かった。

着いた日はとりあえず、
アリゾナ美術館に行く事にする。

とにかく広い美術館で、
質はともかく量はたくさんある。
それでも世界的な作家の作品も、
ちゃんと何点かは持っている。

日本人の作品では、
草間彌生(くさまやよい)さんや、
森村泰昌さんらの作品がある。

草間さんのは真っ暗な部屋に、
小さな灯りが無数に吊されている、
蛍が明滅しているような、
実際に体験すると、
衝撃を受ける作品だ。

森村さんの作品は、
モナリザに扮した同氏が、
それぞれ異なる文脈の背景に埋め込まれた、
2点の大きな作品だ。

「彼を知っているか?」
とマシューが訊ねるので、
直接は全く知らないが、
同じ大学の先輩に当たると言うと、
「すごい偶然だな!」
と驚いていた。

「しかしまあ作品は好きじゃないな。」
というと大笑いだ。

次の日は朝からマシューの仕事場で、
「パン集」を荷解きし、
一点一々スキャンしていく。
(彼は美術品専門の印刷業者だ。)

他の作家の出品作品も仕上げる。

09・「マシューの仕事場」・510.JPG

マシューは仕上げワックスを、
バヘ・ワイトソン・ジュニアの印刷作品に掛けていく。
Matthew was painting a finishing wax
in Baje Whitethorne Jr.'s print work.

何しろ「パン集」だけで39点あるから、
完全に1日仕事だ。

昼ご飯(と言っても午後5時頃だが)には、
芸術家がたくさん集まるという、
カフェで食事をする。

珍しく東洋人が来たので、
南西部のこの食堂には、
何となく緊張が走った・・・。

(つづく)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

前記事のCD「だから今日希望がある」は、
現在までに3名の方にご希望頂き、
1500円でお届け出来る事が、
確実になりました。
ありがとうございました。
引き続き20日(火)まで、
ご希望を伺いたいと思います。

次回のブログは9月19日(月・祝)に、
更新します。

よろしくお願い致します。

では!
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2011アリゾナ奮闘記・第2話「白紙に戻る」 [旅(Travel)]

04・PX市内・510.JPG

車はフェニックス市内を走る。
We drove Phoenix city.

○2011アリゾナ奮闘記・第2話「白紙に戻る」

「フェニックス行きはここですか?」
と係員に訊ねるが通じない。

切符を見せると、
「オー、フィーニックス!」
と理解してもらえた。

「フェニックス」ではなく、
「フィーニックス」だ。
発音を修正する。

ここからはアメリカ国内線となる、
機体も細く小さく、
おまけに機外に通じる乗降口さえ、
スチュワーデスが「ばたん!」
と閉じるのだ。

乗員もまるで「農協(現JA)」の乗り合いみたいに、
のんびりした感じだ。

いや実際に「感じ」だけではなく、
左隣のおじさんは「農業大全」を読んでいる。

スチュワーデスは40代中盤~50代前半の、
南部的な白人女性だが、
差別などは無さそうで、
とても感じの良い女性だった。

フェニックス便は5月に予約したからか、
座席番号は「01A」。
つまり操縦席の真後ろだ。

もちろん扉が客席と隔てているのだが、
なにぶん小さな飛行機だから、
その扉の真後ろに件の白人女性が、
常に扉側を向いて立ち、
更に1メーター後が自分。

特に見るでもなく、
彼女のお尻を見たまま、
機はフェニックスまで飛んで行く。

同空港ではサンフランシスコで入国審査を、
すでに済ませてあるから、
簡便な手続きで外に出る。

外に出た瞬間、
サングラスの白人男性が、
手を差し出してきて握手となる。

『またボッタクリか?
何かの勧誘か?』

と緊張が走るが・・・

「アイ・ノー・ユー!
アイム・マヒュー!」
「オー!」

・・・という事で、
頼みの綱の友人と会えて、
意外にも順調にフェニックス市内に、
入って行く事となった。

社内でマシュー(実際の発音はマヒュー)は、
ひたすら喋り続ける。

無理に喋っているのではなく、
元々がこんな感じの人柄のようだ。

話が途切れて気まずい、
そういう事がほぼ無い。

とは言え・・・
彼の英語の6割は解らない。
そもそも実際に会うのも初めてだ。

最初はフェイスブック(以下FB)で、
『アリゾナのギャラリーに展示しないか?』
という誘いを受けたのが始まりだ。

しかし本当に信用できる話なのか???

そこで更に2年ほど前から、
FBで交流のあった、
別ギャラリーの経営者キャッシーに・・・

「彼はあなたの知り合いだと言っているが、
信用できる人物か?」
「そうだ、彼は正直な人物だ。」

・・・結局は利益があるかどうかより、
人が信用可能かどうかが問題だ。
それで話は受けることにした。

しかし最初に声を掛けられたギャラリーは、
財政上の困難から話を降り、
話の行きがかり上、
マシュー自身が父親の農場を借りて、
展覧会を行う事になった。

環境が全く違う所、
つまり外国での展示を行う場合、
何とか現場に行く事を、
ナギはとても重要視している。

そこでは言葉が違い、
価値観が違い、
したがって観覧者の感じる感想もまた、
違ったものが出てくる。

言葉としての正直な感想は、
中々出て来ないが、
何となく「空気を聴く」のは大事だ。
それが新たな成長を産むのだから。

そう腹が決まれば、
次は航空券だ。

格安航空券はすぐに売りきれる。
善は急げと間髪入れずに探すが、
それでもどこも高い!

10万円以下の券が全然ないのだ!
中国との関係が悪くなると、
こういう時に困る。
本当に安い券が回って来なくなる。

日本の航空会社は確かに安心だが、
ANAの15万円の券が最も安く、
「格安」とはとても言えない。

しかし背に腹は変えられず、
結局、予約と入金を行った。

ところが!
件の券に入金が完了した直後、
アリゾナで史上3番目という、
凄まじい山火事が発生し、
展覧会の話は白紙に戻ってしまったのだ・・・

(つづく)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

続いておりますアリゾナ奮闘記、
いかがでしょうか?

実際的な話に戻りますと、
神戸市「西区民センター」で担当の、
火曜「デッサン講座」。
おかげ様で「朝・昼・夜」、
3講座とも無事開講となりました。

いつもご指導頂き、
ありがとうございます。

「昼(火・午後2時~午後4時)」と、
「夜(火・午後6時~午後8時)」の講座は、
まだまだ空きがありますので、
ご興味のある方は、
直接、西区民センターに、
お問い合わせ下さい。

次回のブログは9月12日(月)に、
だから今日希望がある」のCDが、
いよいよ発売となりましたので、
その記事を掲載いたします。

よろしくお願い致します。

では!
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