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2011アリゾナ奮闘記・第8話「日本人の挑戦」 [旅(Travel)]

65・暁光のPX空港・510.jpg

フェニックス空港での夜明け。
The daybreak in Phoenix airport.

○2011アリゾナ奮闘記・第8話「日本人の挑戦」

マシューの仕事場では作品を、
家では荷物を下ろし、
その足でキャッシーのギャラリーに、
食事を食べに行く。

やはりFBで友人になっていた、
ジェイソンと前出のダンも一緒だ。

63・Dan&Jason&Kathy&Nagi・510.JPG

ジェイソンはとても良い絵を描く。

「専門の教育を受けた訳じゃないんだ。」
「それは大した問題じゃないよ。」

「キャッシーは初めて僕の絵を、
展示してくれた人なんだよ。」
「優れた審美眼を持っているんだね。」

お土産に風月堂のゴーフルを渡す。
西神中央駅でデッサン講座の日に、
5個まとめて買って、
各所でのお土産としたが、
どこでも喜ばれた。

お返しに、という訳ではないが、
ジェイソンが絵の複製を用意してくれていた。

「本物は今日持って来られなかったから、
郵便で送るよ。」
「ありがとう!」

68・ジェイソン作品・510.jpg

©Jason Nye "Sun"

キャッシーも自分の絵の複製に、
サインをしてお土産にしてくれる。

67・キャッシー・コーン作品・510.jpg

©Kathleen D. Cone "Formation"

前回の訪問で、
マシューの長広舌には懲りていたので、
「じゃもう帰ろうか?」
と促して扉まで出る。

しゃべり足りないマシューは、
車の近くに来てもまだしゃべる。
扉を開けて先に乗り込み、
「また会おう!」
車は走り出す。

話の尽きないマシューは、
道すがら一軒のビルを見せてくれる。

「これは何の建物?
所有者はお父さん?」
「いや、これは僕の未来のオフィスだ。」

相変わらず夢の多い男だ。
まだ借りてもいないビルの、
各部屋の使用予定を細かく話す。
しかし誰がそれを笑えるだろう?

鼻風邪を引いたらしい、
グズグズと鼻水が出る。

「グリアーとここ(フェニックス)では、
全然気温が違うから
(20度ほどの気温差がある)、
体がついて来なかったんだろう。」

マシューが薬を買って来てくれた、
そのお陰だろう。
次の日の明け方には、
風邪はあらかた治っていた。

64・夜明けのPX・510.jpg

朝5時のフェニックスの街を走り、
4番ターミナルに到着する。

「来年はアリゾナ州も広報してくれる、
もっと人が来るさ。」
「その通りだ!」
握手を2度握り直し別れる。

帰りの飛行機については省略したい。
ただ無事の着陸が嬉しかった。

マシューは10月7日(金)に、
売り上げの入金を済ませてくれた。

しかし口座名の間違いと
住所の間違いがあり、
1度アメリカに返金され、
実際に入金されたのは、
2日前の10月19日(水)で、
最終的に払出が可能になったのは、
なんと今日10月21日(金)午前9時11分。

ついさっきの事だ。

米国側「東日本大震災」領収書・510.jpg

「東日本大震災」払出明細票・510.jpg

義捐金の払出領収書
The receipt of the donation.

前回の日記で描いた通り、
ナギが震災への寄付を行ったのは、
振込窓口となる商工会議所の都合上、
9月22日(木)だったから、
その間のほぼ1ヶ月は、
先払いだったのだ。

キャッシーの
『彼は正直な人物だ』
という一言だけで決定した旅であり、
結果としてその通りだった訳だが、
ナギの帰国後は、
マシューも眼前の仕事に忙殺され、
振込が後に後にとなり、
ずいぶん心配した。

「回収までが仕事」
その鉄則を頭で解ってはいても、
実際に国外から回収するのは、
押したり引いたり本当に困難だった。

最終的には約束を守れる人にしてそうだから、
今回は国外交渉の試金石として、
すごく良い勉強になった。

2010年のニューヨーク初展示では、
「指1本」だけしか掛からなかった、
国外挑戦の岩壁に、
今度は「手のひら」までは掛かり、
苦しみながらも手掛かりを得た。

まだ中空で足をブラブラさせ、
いつ落っこちるとも知れない、
危うい登攀行だ。

ただナギの様に、
否応なく国際競争に押し出されるか、
自発的に参加するかは別にして、
今まで主として大企業や、
貿易を主眼とする企業しか、
関係の薄かった国際競争が、
中小はもちろんナギのような零細にも、
例外を作る事なく波及するだろう。

すぐそこの明日に対して、
あるいはもう来ている今日に対して、
真摯に対応して行きたい。

今この挑戦が愚かで、
滑稽であるとしても、
明日は我が身かも知れない。

このジタバタした苦闘から、
何か手掛かりを掴まれた方は幸いである。

今度はあなたの奮闘を、
ぜひお聴かせ頂きたい。

そこから何か手掛かりを得て、
また新たな挑戦を始めよう。

それが自分達から始める、
「日本人の挑戦」だ。

66・サンフランシスコから東京・510.JPG

(了)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

この日記で「2011アリゾナ奮闘記」は終了です。
お読み頂きありがとうございました!

バックナンバーは以下です。

第1話「過去に戻る

第2話「白紙に戻る

第3話「招かざる客

第4話「チチ・バー

第5話「荒野を横切る

第6話「バーンアートショー

第7話「FBI

この展覧会の後、
ニューヨーク・シラキューズで、
「スティーブ・ジョブス」追悼展の参加が決まりました。
場所は「The Tech Garden」です。

10月中参加を受け付けており、
11月15日に作品必着と急ですが、
参加無料で(輸送費は自分持ち)、
売れた場合も100%受け取れるので、
ご興味のある方は申し込まれて下さい。

この展覧会には「それゆけ甲子園!」
1点だけしか出しませんから、
売れないと思いますけど、
売れた場合は同テック・ガーデンの、
志ある学生に10%、
東日本大震災に5%、
寄付する事をすでに伝えてあります。

これはヲウチギャラリーの「100人展」と、
同時期ですので、
シラキューズも交通手段があれば、
頑張って行ってきたいと思います。

次回のブログは、
10月29日(土)に更新します。
よろしくお願い致します。

では!
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コメント 5

匁

ご苦労様です。
またの記事を楽しみにしています。
by (2011-10-23 08:53) 

裏・市長

いつもご訪問ありがとうございます。
ついに奮闘記・完結!。
こぼれ話なんかも追加されたら、
ちょっとした冊子が作れそうですね。

なにはともあれお疲れ様でした、
次回、新シリーズの更新楽しみです。
by 裏・市長 (2011-10-23 23:23) 

みなりん

絵のお土産を頂いたり、風邪薬を買ってきてくれたり
周りの人達の心遣いに感謝ですね。

回収までが仕事!

これは、うちの営業にもいつも言っている台詞です。
売上があがっても売掛金の回収が終わらなければ
売上にはなりません。
by みなりん (2011-10-24 12:32) 

ララアント

「アリゾナ奮闘記」 まさに奮闘でしたね!
しかし 得るものが大きかったようで 胸いっぱいにしながら
読ませていただきました。
「お疲れ様でした・・・とともに羽ばたきを期待します」
by ララアント (2011-10-27 16:53) 

岩崎ナギ

匁さん→ありがとうございます。
また改めて挑戦を始めます。
今度は佐渡への旅を、
新たに載せる予定です。
よろしくお願い致します。




裏・市長さん→こちらこそいつもお越し頂き、
ありがとうございます。
今回の奮闘記もお読み頂いたようで、
こちらもありがとうございます。
そうですね、
思い切って冊子を作るのも、
自分を突き放して理解できて、
良い効果があるかも知れませんね。

ありがとうございます。
次は佐渡への旅行記を載せるか、
新年NYのを載せるか、
どちらかにするつもりです。




みなりんさん→ほんとうですね。
アメリカ人は実際に現地まで行くと、
色々と頑張ってくれる人が、
多いように感じます。
本当に感謝の2文字です。

そうですね回収。
おっしゃる通り、
景気よく契約を取り付け、
引き渡しを無事終えたとしても、
回収ができなければ、
何にもなりません。
より交渉力を高められるよう、
向上して行きたいと思います。
ありがとうございます。




ララアントさんさん→ありがとうございます。
おっしゃる通り現地に行った事で、
無駄も多かったですが、
得るものも本当に大きかったです。
マシューやキャッシー、ジェイソンにしても、
文字のやり取りだけでは、
本当はどんな人物なのか、
中々解りませんしね。
良い人たちでホッとしています。
またこれからも頑張っていきますので、
ご指導の程よろしくお願い致します。
by 岩崎ナギ (2011-10-29 05:52) 

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