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NY奮闘記2012・3話「音速領域」 [旅(Travel)]

008・グッゲンハイム・00831・510.jpg

グッゲンハイム前のナギ
Nagi was in front of Guggenheim.

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『15ドルで13:45位に来ます。』
・・・と意外にもサクサク話が進む。

今回の旅後半の困難の大きさを考えると、
前半はウソのように、
何もかも順調に進んだ。

物事の進行とは多くはそうしたものだ。
前半が上手く行く時の後半は危うく、
前半の困難は後半で乗り越えられる。

それはともかく通関したのが13:25で、
バスが実際に来たのが13:35。
緑のターバンを巻いた、
バングラデシュ人が運転手だ。

『何分ぐらいで市内に着きますか?』
『先に他のターミナルの客を集めないと。』
『ラガーディア(空港名)も回るんですか?』
『いやJFKだけ。』

別の搭乗口に車が停まり、
待つ内に続々と他の乗客が乗って来て、
ギュウ詰めになる。

ところが肝心の運転手が、
中々戻って来ない。

ようやく戻ってくると、
誰かの予約票を叩いて怒っている。

どうやら1人のおじさんが、
予約の場所で待たず、
勝手に車の所まで来て、
先に乗ってしまっていたらしい。

車に乗っても運転手は、
そのおじさんの予約票を振り回し、
『約束の場所で待ってないと駄目じゃないか!』
とかなりの剣幕で怒る。

怒られたアメリカ人のおじさんは、
『東洋人はみんな殺し屋さ!』
と隣の奥さんに結構な声で告げ口する。

そんなやや険悪な雰囲気の中で、
更に別の場所で乗客を集め、
限界までギュウギュウ詰めになってから、
NY市街に向けて出発する。

006・NY到着・00824.JPG

そんな事があったからか、
バングラデシュ人のおじさんは、
ナギには優しく、
『駅に行くので良いのか?
列車に乗るのか?』
と訊いてくれる。

『地下鉄で96丁目まで行きます。』
「OK!」

道が空いていたからか、
それほどの時間乗ることもなく、
『ここがグランド・セントラルよ。』
と隣の金髪の女の子が教えてくれて、
駅に到着する。

007・グランド・セントラル00827・510.jpg

運転手のおじさんに15ドル+チップ1ドル、
合計16ドルを渡し駅に入る。

緑の6番アップタウン方面で、
96丁目まで上がり、
旅館まで歩いて行くと、
宿の責任者のNemotoさんが、
寒いのに道まで出て待っていてくれた。

ガッチリ抱擁を交わし再会を祝する。

部屋に案内して頂いて、
精算を済ませた後、
グッゲンハイムまで、
同道して頂ける事になる。

同美術館への道は、
去年来て知っているのだが、
今回は96thを横切る、
バスに乗せてくれるという。

バスも地下鉄も、
同じ「メトロ・カード」で精算できる。

そう言えばグランド・セントラルで、
親切な白人青年に教えてもらいながら、
カードに20ドル追加しておいたので、
この旅中は困る事はないだろう。

バスには前から乗り、
メトロ・カードを縦に差し込んで、
先払いする。

ほとんど走る間もなく、
セントラル・パークに到着し、
下車して美術館へと南下する。

もともと歩いていける距離だが、
Nemotoさんの
『バスにも乗せてあげよう!』
という好意を無碍にも出来ず、
96thをバスで横断した。

この日は寒い。
震え上がるような朔風が吹き付ける。

「昨日まで温かかったんですけど、
今日から急に寒くなったんです。」
Nemotoさんの説明を聞きながら、
肩をすぼめて歩く。

美術館前でNemotoさんと別れ、
「Maurizio Cattelan」展を観る。

同マウリツィオは、
ローマ法王が隕石の直撃を受けていたり、
刺激的な彫刻で知られる。

今回はその彫刻(?)群を、
全部天井からブラ下げて、
グッゲンハイムの螺旋を登りながら、
鑑賞して行く方法だ。

008・グッゲンハイム01・00832・510.jpg

008・グッゲンハイム02・00841・510.jpg

008・グッゲンハイム03・00842・510.jpg

マウリツィオ・カテラン展
Maurizio Cattelan's show

面白い展示方法で、
挑発するような題材選択だが、
内容が暗い気がする。

これはマウリツィオだけでなく、
ニューヨークの他のギャラリーも、
巡ってみて思うのだが、
多くの作家が話題作りのため、
反社会的なものを多く作っている。

それも悪くないが、
そろそろ明るいものが見たいと思い、
新素朴派宣言」を出して、
「水彩を通じて明るい未来を共有する。」
ことを制作目的に置いた。

『人は人。』
そう思いながらグッゲンハイムを去り、
近くの湖のほとりで、
10往復ダッシュを行う。

009・Cパーク01・00845.JPG

『おい音速領域(サウンド・エリア)だな!』
白人のおじさんがナギの走りを褒めてくれる。

別の公園奉仕団体のおばあさんも、
『あなたの走り方は興味深いわ。』
と草を引き抜きながら、
興味津々だ。

『あなたの奉仕活動も素晴らしいですよ!』
と褒め返して宿に帰り、
夕飯を食べる。

010・サード・DSC00846.JPG

40時間以上起きているので、
「もち」を食べていると、
眠気で体が傾いてしまう。

茶碗を落っことしそうになって、
ようやく目が覚め、
強烈な眠気と闘いながら、
何とか完食する。

ベッドに潜り込むと、
殴られたような眠りが来る。

本当にあった事かどうかも、
ハッキリ思い出させない不安定な記憶が、
一瞬脳裏を叩き直すが、
底に沈むような眠りに呑み込まれる。

朝3時、
「今日はパーティだ!」
と飛び起きた!

(4話につづく)



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この日は本当に寒く、
旅館にコートを置いてきて、
すぐに後悔するハメになりました。

次回は2月10日(金)にデッサン指導案を、
更新致します。

では!
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コメント 5

tromboneimai

グッゲンハイムは随分前に訪ねましたが、展示物よりも
やはり建物の印象が強く残っています。
休みが取れれば明日からでも行きたいですね、NY(笑)
by tromboneimai (2012-02-07 00:50) 

カズノコ

10往復ダッシュをしていて、
気楽に声を掛けられるなんて
とてもいいことですねー!

この日は、眠るように寝いった。
いい夢を見たのではないですか!
by カズノコ (2012-02-07 09:24) 

みなりん

天井からブラ下げているものを、螺旋の階段を登りながら
鑑賞するなんて、その発想が凄いですね。

実際に私が見たら、キャーキャー言っちゃいそうです(笑)
by みなりん (2012-02-07 12:47) 

匁

無事、着きましたね。
いよいよこれから
何かが起こりそうで、心配に
なって来ました、今日は社会派の絵が多いことと
新素朴派宣言そして
未来が明るくなると良いですね。
40時間起きていると眠くなりますね。
お休みなさい。
by (2012-02-09 20:39) 

岩崎ナギ

tromboneimaiさん→ライトの印象的な建築と、
対等以上に渡り合うには、
相当な作品群でないと難しいですね。
そういう意味でマウリツィオは、
内容の好悪はともかく、
視覚的には十分渡り合っていました。
NYは何度でも訪れたくなりますね。
コメントありがとうございました。





カズノコさん→本当ですね。
NYの治安は現在、
ずいぶん良くなっていて、
気楽に話しかけてくれる方も、
結構おられます。
それも楽しみですね。

夢を見た事も憶えていない、
短く深い眠りでした。
そう言えば一度、
間違い呼び出しベルに起こされました。
コメントありがとうございます。




みなりんさん→おっしゃる通り、
発想が素晴らしいですね。
難しい螺旋の展示場を活用した、
一つの理想例と思います。
2度同じ手を使うことは、
出来ませんが。

幅広い年齢層の方を集め、
盛況な展覧会でした。
コメントありがとうございます。




匁さん→おかげ様で、
無事に到着する事ができました。
色々面倒も起こりましたが、
振り返れば楽しい旅だったと思います。
一度離れると、
何でも楽しかったと思うのかも知れませんが。
社会的な絵は多いですね。
そこまで本当に社会を考えているのかな?
考えているかもしれませんが、
暗い告発は何度も見られないですね。
今は普通に眠っています(笑)。
ありがとうございます。
by 岩崎ナギ (2012-02-10 06:02) 

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