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水彩完成「南瓜と西瓜」 [水彩+色鉛筆]

003・水彩完成「南瓜+西瓜」・510.jpg

題・「南瓜と西瓜」
作者・岩崎ナギ
技法・水彩
大きさ・318×410(ミリ)6号P

Title / "Pumpkin & Watermelon"
Artist / IWASAKI, Nagi
Technique / Watercolor
Size / 410mm×31mm8 (16.4"×12.7")

◎神戸市・西区民センター「デッサン講座」と「色鉛筆講座」、
芦屋青少年センター「デッサン・水彩講座」用、
水彩画の指導案です。

画題は「西瓜(スイカ)」でお出ししました。
自分で描く時には西瓜だけだと、
画面的に少し寂しいので、
南瓜をつけました。

米国では西瓜は「黒人のもの」という、
差別的印象があり、
パンプキン・ヘッドというと馬鹿等の、
悪意ある英語になりますが、
そういう含意は全くありませんので、
その点は悪しからずご了承ください。
単純に綺麗だから描きました。

今回はラッピングしてあるのが、
綺麗でもあり、
やや難度を高くしてもいました。

しかし結局は明暗を偏見なく見て、
ただ真摯に描くだけです。

また今回は西区民センター講座生の方の、
代表作品もご紹介します。

その「神戸市・西区民センター」では、
「デッサン講座」および「色鉛筆講座」とも、
10月28日(火)に始まる、
「秋季講座」の募集を9月5日(金)まで行っています。

ご興味をお持ち頂けた方は、
ぜひよろしくお願い致します。
講座説明URLは以下です(↓)。

https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=430
https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=431

上がデッサン、下が色鉛筆となっています。

芦屋市・青少年センターの方は、
同センターの規定が変わった事を受け、
11月1日(土)の開講を目指しています。

曜日が「土曜」になった事、
受講可能対象が「一般の方にも」広がった事が、
大きな変更点です。

まだ開講可能かどうかハッキリ解りませんので、
ご希望の方はなるべく早い段階で、
直接お問い合わせください。

では以下指導案と生徒さん代表作です。
よろしくお願い致します。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

001・十字線の意味.JPG

1・改めて十字線を問う

十字線を画面に引くのは基本。
しかし枚数を重ねるにつれて、
基本が疎かになり引かなかったり、
引いても機械的に引くだけで、
活用していなかったり、
そんな状態になっていませんか?

上達してくれば画面に入る範囲が、
何処までかは早い段階で解ります。

では、その範囲の真ん中を捉え、
構図をシッカリ確立するのは、
もう一段階向上するのに必須、
と言えるのではないでしょうか?

構図と描画は一体不可分で、
構図が良ければ良い描画を産み、
悪い描画だと思われる時、
それは描画の手の入り方も含めて、
構図が悪い時だと言えるでしょう。

002・透明物も最初から.JPG

2・透明物を最初から描く

今回はラッピングされた野菜です。
中身を一番最初に描きますが、
覆ったラップも初期段階から、
ある程度意識して描いて行きます。

光る所は水筆や消しゴムで意識し、
影が濃い所は補色で明度を落とし、
本体の描画を最も大事にしつつも、
被膜で覆われている描写も、
同時進行で抜かりなく進めます。

覆われている事によって見え方が、
大きく異なる所に特に注意します。

003・水彩完成「南瓜+西瓜」・510.jpg

3・背景の利用

先行した課題でも述べましたが、
画面において強調すべき所は、
ものの端や力が集中する箇所、
題材の特徴を表す所などです。

そういった強調すべき点が、
非常に明るかったり、
逆に暗かったりする場合、
題材が明るい場合は背景を暗く、
題材が暗い場合は背景を明るくし、
背景を利用して強調する事も、
一案と言えます。

この作例ではラップの掛かった、
南瓜と西瓜のヘタの部分が、
南瓜ヘタは暗いため背景を明るく、
西瓜ヘタは明るいので背景は暗く、
それぞれ強調し完成としています。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

では続けて4月~6月の分と、
6月~8月の分の生徒さんの代表作を、
ご紹介いたします。

デ1・青野喜代子「人物画」.JPG

題・「人物画」
作者・青野喜代子さん
講座・デッサン講座

Nagi's Drawing Class Student Work.
Artist / AONO Kiyoko
Title / Portrait

青野さんの1作目です。
線が柔らかく、
短時間で対象となった方の、
雰囲気を良く捉えています。

身体の釣合が上手く掴めているため、
安心して見られる内容です。
特に鉛筆を持った手などが、
良く表されています。

改善できる点としては、
顔がやや正面顔になってしまい、
鼻が顔の角度から判断すると、
もう少し観者から見て、
左であり倒れる向きも、
右から左であろうと、
判断できる点です。

口と目もそれにつれて、
位置が少し動くと思います。

ともあれ1作目でこれだけ描ける方は、
中々おられませんので、
弛まず続けて頂きたいです。

デ2・山口栄子「人物画」.JPG

題・「人物画」
作者・山口栄子さん
講座・色鉛筆講座

Nagi's Colored Pencil Class Student Work.
Artist / YAMAGUCHI Eiko
Title / Portrait

山口さんは使っておられる、
色が綺麗です。

いわゆる綺麗色を使ったから、
綺麗だというのではなく、
たとえば青いブラウスに少し混じった、
赤茶の色など、
微妙な混色で美しく描画されています。

全体の釣合も、
大体は合っています。

改善点としては、
山口さんの絵も顔を傾けているのに、
鼻がやや正面に来ているので、
もう少し観者から見て、
右側に移動させるべきだと、
いう点でしょうか。

このように代表的に認識される、
ものの見え方と異なっているにも関わらず、
ご自身の知覚に刷り込まれている、
「知覚の恒常性」によって、
代表的な位置関係で描いてしまう、
というのはよく起こりがちな事です。

基礎的なデッサンというものは、
この知覚の恒常性を修正し、
「恒常零度」に近づける訓練であると、
換言して言う事が出来るでしょう。

デ1・隅野茂「街路樹のある歩道」.JPG

題・「街路樹のある歩道」
作者・隅野茂さん
講座・デッサン講座

Nagi's Drawing Class Student Work.
Artist / SUMINO Sigeru
Title / Avenue

隅野さんは透視図法的に、
しっかりした画面を作られるのが、
とても巧みで、
かつ絵としても、
超前景に葉を持って来られたりして、
おもしろい構成になっています。

色鉛筆の混じり方、
特に街路樹の表現が見事です。

写実という点で言えば、
さきほどお伝えした「恒常零度」の点で、
授業時間の短さも考慮すれば、
全く問題がない作品です。

ただ完全な写実から離れるとすると、
透視図法は正確に取り過ぎれば、
逆にぎこちない印象も与えますので、
上手く恣意的に恒常零度を崩されるのも、
今後のより高い次元での挑戦には、
必要かも知れません。

デ2・出村園栄「風景いこいの場」.JPG

題・「風景いこいの場」
作者・出村園栄さん
講座・色鉛筆講座

Nagi's Colored Pencil Class Student Work.
Artist / DEMURA Sonoe
Title / The scene of relaxing

出村さんの作品は、
商業施設の渡り廊下から、
下の階を見下ろす、
面白い視点で描かれています。

珈琲店前の何気ない人の行き来が、
まさに「いこいの場」という、
楽しい感じを画面から発しながら、
明るい色彩で表現されています。

珈琲店の壁の感じと色、
それと対比する青い日よけが、
画面の中で良く効いています。

人物の描写がもっとこなれてくれば、
より高い次元で画面を作り込める、
そんな期待を感じさせる作品です。

デ2・岸田令枝「ペチュニア」.JPG

題・「ペチュニア」
作者・岸田令枝さん
講座・色鉛筆講座

Nagi's Colored Pencil Class Student Work.
Artist / KISHIDA Norie
Title / Petunia

代表作は通常1講座1点ですが、
展示場所が一つ余っているため、
特に良いものがあれば選ぶ事があります。

岸田さんはデッサン講座から、
お取り頂いていた方ですが、
デッサンで培われた能力が、
矛盾なく色鉛筆にも活かされ、
何かしら開眼された描写を感じます。

パーーっと画面から光が発するような、
明るく美しい色彩で、
沢山の花を付けるペチュニアの、
特徴を丁寧に捉えておられ、
非常に上手く描写されています。

一茎を設置面に落とした構成も、
画面に動きを与え、
硬直した感じから解放しています。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

・・・でした。
いつもご覧いただき、
ありがとうございます。

次回は8月25日(月)に、
更新予定です。
よろしくお願い致します。

では!
タグ:南瓜 西瓜 Pumpkin Watermelon https://www.kobe-bunka.jp/course/center-list.php?cid=7&q=&p=1 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=422 https://www.kobe-bunka.jp/course/detail.php?csid=423 アゼルバイジャン Azerbaijan トルコ Turkey アート 芸術 美術 岩崎ナギ サロンドートンヌ パリ Salon d'Automne Paris NY個展 100人展 ニューヨーク  Solo exhibition Ouchi Gallery ヲウチギャラリー ノエビアスタジアム神戸 川田画廊 KAWATA GALLERY  個展 private exhibition The New Primitive Declaration 新素朴派宣言 フェイスブック潮流 「岩崎ナギ目的」 世界一明るい水彩を通じて、 世界一明るい希望を共有し、 自己、他者、社会を心から明るくする事で、 世界一の愛を3者で実現していく。 アゴラギャラリー 日本水彩画会 100周年記念 デザイン道場 LIVING & DESIGN 2012 ACDC Gallery Re:novel 実用新案 patent   インボルダ  iNbolda bolda ボルダ 丸一興業 http://bolda.jp/case/【折りたためる額縁】インボルダ 第25回 日本の自然を描く展 優秀賞 http://renovel.org/works/iwasaki.html http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=20171 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=25194 http://www.kcua.ac.jp/information/?mp=32019 デッサン 鉛筆画 素描 dessin sketch 色鉛筆 水彩 colored pencil watercolor 神戸市 西区民センター 色鉛筆講座 デッサン講座 美術教室 芦屋青少年センター http://iwasakinagi.wix.com/iwasaki-nagi-web http://www.koiso-museum.jp/2011/09/開催中の大下藤次郎/
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カズノコ

ラッピングされている西瓜と南瓜、タダでさえ難しいのに、
明暗、光具合が複雑になってきますから大変ですね。
とってもいい、勉強になるかも!
生徒さんのデッサン、見事ですね!とても、人物を描かれた
お二人にはかないませんね。
デッサンは「恒常零度」を目指すこと、、言葉ではよくわかります。
如何に、いい加減にものを見ていて、見ているよ、と言っている
のが。ナギ先生のご指摘も流石プロですね!

by カズノコ (2014-08-12 00:49) 

匁

スイカと南京おいしそうです。

生徒さんの作品、人物、風景、静物どれも都会的でいいですね。
感心しています。
by (2014-08-12 06:49) 

岩崎ナギ

カズノコさん→いつもお読み頂きありがとうございます!
西瓜と南瓜、
難しいですけど描き甲斐のある題材です。
おっしゃる通りとても勉強になりました。
生徒さんの作品どれも良いです。
こちらもとても勉強になる所が、
毎回必ずあります。
恒常零度、難しいですけど、
一度手に入れて、
今度はそれを自分の絵に丁度いい程度に離してみる、
というのが良さそうですね。
by 岩崎ナギ (2014-08-18 21:04) 

岩崎ナギ

匁さん→ありがとうございます!
そうおっしゃて頂けて描いた甲斐がありました。

生徒さんの作品、都会的ですか?
それは興味深いご指摘です。
人の見方は良くも悪くも偏っていないようでいて、
自分が属する環境から、
逃れられないものですね。
面白いご指摘ありがとうございました。
by 岩崎ナギ (2014-08-18 21:11) 

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