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佐渡のたらい舟・2話「湯ノ沢旅館」 [旅(Travel)]

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バスはどこだ?
Where is the bus station?

◎佐渡のたらい舟・2話「湯ノ沢旅館」◎

2人連れの中年男性に訊くと、
「向こうですよ。」
と親切に連れて行ってくれる。

ギリギリに「相川行き」に飛び乗り、
いざ目的地「金井(かない)」へ!

金井は佐渡の中心部にあたり、
市役所などもある。

バスには地元の高校生もいるが、
全国的に均質化された、
今時のしゃべり方と服装だった。

20分ほどバスに乗り金井で降りる。
旅館に電話すると、
道が判りにくいので、
車を出してくれると言う。

待つ程もなく車が来て、
優しい感じの「おじさん」が、
車の中から降りて、
出迎えてくれる。

これにはやや意外に思う。
というのも旅館はいつ電話しても、
「おばさん」しか出なかったからだ。

てっきりこの旅館は、
おばさん一人で切り盛りしているとばかり、
思っていたのだがそうでもないらしい。
この疑問は最終日に明らかになった。

車は脇道に入り、
街灯のない、
暗い路地を疾走する。

けっこう距離がある。
これが歩きだったら、
かなり大変だっただろう。

旅館は奥まった所にある。
古めかしい旅館だ。
小さなネコが一匹逃げる。
「湯ノ沢旅館」と看板が出ている。

玄関を上がるとおばさんが出て来て、
「まあまあいらっしゃい!
お風呂にお入りになって。」

おじさんも唱和して、
「遠い所からお越しになったんだから、
まずお風呂に。」
と勧めてくれる。

これが日本の古くからの伝統だろう。
今の時代に聞くと、
「そんなに汗臭いのか?」
と思ってしまう。

狭く急な階段を昇り、
格子戸の戸を開き、
8畳ほどの和室に入る。

窓の外は真っ暗で何も見えない。
荷物を置いて風呂に行く。

扇状の小さなお風呂だけど、
ちゃんと温泉だ。
深さも深い。

部屋に戻ると食事が出ている。
ずいぶん安く泊まっているのだが、
その割にしっかりした料理だ。

明日は「たらい舟」だから、
朝一番の「6時46分」のバスに乗る。

それをお膳をしてくれていた、
おばさんに伝えると、
「じゃあ6時20分に車を出しましょう。」
と言ってくれる。

たらい舟を見てどうするのか?
と問われるので、
「絵を描くんです。」
と答える。

「じゃあ画家さん?」
「そうです。」

こんな時にはカタカナで肩書きを付けなくて、
本当に良かったと思う。
判りやすいのが一番だ。

夜は静かだ。
時々ゴボゴバという、
正体不明の音が聞こえるだけだ。

音の正体は朝が来て、
カーテンを開いた瞬間に判った。

(つづく)

++++++++++++++++++++++++++++++

「佐渡のたらい舟」第2話です。、
お読み頂いてありがとうございます。

バタバタと色々な方とお話しし、
精力的に絵を描いております。
成果の出る出ないは気にし過ぎず、
無駄を怖れる事なく挑戦して行きたいです。

次回は6月25日(月)更新予定です。
よろしくお願い致します。

では!
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コメント 3

カズノコ

みんな親切な人ばかりですね!
続きのお話が待ち遠しいですね。
by カズノコ (2012-06-23 22:08) 

匁

次回の展開が気になります。
昔、子供の頃、紙芝居屋さんの物語の次が
気になって寝れなかったことが有ります。
そんな気分です。

甲子園球場からフアンの悲鳴が聞こえ無かったですか?
41,000人も観衆を集めて、横浜Dに3安打完敗でした。
なんとかしてもらいたいです。

by (2012-06-24 20:28) 

岩崎ナギ

カズノコさん→本当に佐渡は人が温かく、
行って良かったなと思います。
お読み頂き、ありがとうございます。





匁さん→ありがとうございます。
紙芝居は一般的な娯楽だったんですね。
絵が動く訳じゃないから、
そこに想像が働く部分がある。
それが良いですね。

阪神は基本弱いですが、
昨日、一昨日は勝ちましたね。
少しは目を覚まして欲しいもんです。
努力、努力ですよ。
努力が苦手なチームですから。
by 岩崎ナギ (2012-06-25 08:21) 

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