SSブログ

NY奮闘記2012・8話「前例無き前例を作る」 [旅(Travel)]

NY奮闘記2012・8話「前例無き前例を作る」

020・マンハッタン・昼・510.jpg

+マンハッタン、それでは!
+See you Manhattan!

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
JFKに着く頃に、
1日がようやく明け始める。

020・ザ・マンハッタン・510.jpg

020・JFK・510.jpg

+NYの夜明け
+Dawn at NY

マンハッタン島の碁盤目が、
光によって明確に示される。

午前7時前にJFK着。
すぐに手荷物案内に行き。
夜間に荷物が届いていないか、
確かめるもやはり無い。

荷物遅延の保険は、
高々250ドル(2万円弱)だから、
免税品店の高額商品は買えず、
かと言って「I LOVE NY!」みたいなのは、
コンリンザイ着ないだろうから必要ない。

要するに「使えない」金額なのだ。
多分そう設定されているのだろう。

次の上海行き(例によって乗り継ぎ便)の、
離陸時刻は15時35分。

ところが発券所に4時間前の、
11時45分に行ってみると、
すでに長蛇の列だ。

『いったい何時から受け付けてるんだ!?』
と驚かざるを得ない。

その上海便は定刻通りの出発。
隣の野球帽を被った女性が、
通路側の席まで足を放りだして、
熱心に窓外を眺めている。

「エクスキューズ・ミー・ミス?」
軽く注意を促すと、
こちらを振り向いて明るい声で、
堰を切ったようにしゃべり出す。

但し中国語なので一言も解らない、
『申し訳ないですけど、
中国語は解りません。』と言うと・・・

「オー・アイム・チャイニーズ」
と解ったようなそうでないような、
中間的な返事をする。

「アイム・ア・ジャパニーズ」
「オー・アイム・チャイニーズ!
ユアー・ジャパニーズ!」と、
嬉しそうにハシャいでいる。

この女性は「リリー」という、
とても陽気な女性だった。
旦那さんは肖像画家で、
自分自身も趣味で写真を撮るのだと言う。

そう前置きしてナギのカメラを借り、
眼下に見えるマンハッタンを数枚撮影してから、
「メール」で送って欲しいと頼んでくる。
(一番上の写真は「リリー」が撮った)

英語を勉強中との事で、
発音の可笑しい英語がポンポン出て、
基本的な人の良さも伝わってくる。

ナギは例によって席には殆ど座らず、
機体最後部の空いた場所で、
ひたすらこの旅行記を取り続ける。

余りにもずっと描いているので、
興味津々の搭乗員が、
中国語で『これは何か?』と訊いてくる。

「ダイアリー(日記)」と答えるが、
その女性搭乗員には解らないようで、
別の男性搭乗員が中国語で説明し、
納得したようだ。

更に別の男性搭乗員が覗き込んできて、
「アー・ユー・ジャパニーズ?」と驚く。

「イエス。」と答えると、
「わたしはニホンゴ解りません。」
と笑いを取ってくる。

全体に東方航空の従業員は、
なつっこい人が多く、
従業員同士でもわいわい喋りあっている。

良く言えば人当たりが明るく健康的、
悪く言えば田舎臭いが、
険のあるところは無く、
好感が持てる。

田舎臭いと言えば、
やはり行き同様トイレで隠れて、
タバコを吸う人がいて、
今度は警報が鳴り、
犯人(?)の若い中国人男性が、
若い中国人搭乗員に、
かなりの剣幕で怒られ出した。

中国語なので意味は解らないが、
両手を天に振り上げ、
『落ちたらドウするつもりなんだよ!えっ!』
と言ったようで(えっ!は実際に発音)・・・

・・・喫煙男は尾を垂れた犬のように、
スゴスゴと引き下がり、
その他は問題なく上海に着いた。

またラマダ空港ホテルで一泊。
朝イチに出て昼には日本・・・

・・・のはずが機体の不具合で、
午前11時離陸に変わった。

空港で待つ間に、
「5分で印鑑が彫れます。」
と日本語で掲げてあるのを発見。
人民元を使う事も少ないし、
「岩崎」と彫ってもらう事にする。

一番小さい石で「120元(約1500円)」。
本当に5分で彫ってくれて、
中々出来も良い。

彫ってもらう途中で、
日本人の若い男女が来て、
「SEAL」の表示を指さし・・・

「あれ『セール(SALE)』って、
綴りが間違ってない???
SALEだったSAELだった???」

・・・と大きな声で指摘してくる。
「SEAL」は「印鑑」という意味。
間違っていないし、
おじさんは中国語(母国語)も英語も日本語も解る。
日本人の教養は明日にも中国人に抜かれるだろう。

関空まではわずか2時間だ。
気温は+10度。
ニューヨークは-2度、
シラキュースは例外的に温かかったとは言え、
+5度だった訳だから、
母国がとても温かく感じる。

020・神戸・510.jpg

+神戸へ
+To Kobe.

失われた荷物は結局、
「バルバドス」に行っていた。
何とカリブ海周辺だそうだ。

保険の250ドルは、
「そごう」で紳士服を買い、
着ていった服をクリーニングするのに使った。
保険は下りたがまだ払い込まれてはいない。
交渉は結構長くかかった。

ヲウチギャラリーのWEBコンテストは、
結局2位だった。
個展は当初どおりの2013年9月のみだ。

今は確定申告の準備に追われている。
本当にギリギリ出す事になりそうだ。

そう言えば「リサ」は写真のお礼に、
中国の上空から撮ったらしい、
蛇行する川の写真を送ってきた。

021・リサ・ワン撮影「中国」・510.jpg

+たぶん中国???
+Maybe China???

この旅も忙しい旅だった。
1週間に6回飛行機に乗り、
荷物が無くなり、
そして返ってきた。

今日本は大震災から1年が経ち、
再出発を切ったばかりだ。

自分もこの旅で得た無形の力を咀嚼し、
更に大きく伸びたいと強く願う。

前例の無い事が打ち続く時代、
試さないで何が解るだろう?

得たものがあり、
失ったものがあるにしても、
前進を止める訳にはいかない。

未知の人生には、
生きる事によってしか、
「前例」を作る事ができないからだ。

(おわり)

/////////////////////////////////////////

「NY奮闘記2012」お読み頂き、
ありがとうございました!
またご感想をお聴かせ頂ければ、
嬉しいです。

以前の記事の「リンク」は以下です。

1話「リンゴを囓りビックアップルに」
2話「牛肉と豚肉どちらが良いですか?」
3話「音速領域」
4話「キスの秘密」
5話「マルベリーを左に曲がれ」
6話「ロスト・バゲッジ!」
7話「ジョブス追悼展」

/////////////////////////////////////////

次回は3月19日(月)に、
更新予定です。
改めてよろしくお願い致します。

では!
nice!(14)  コメント(3) 
共通テーマ:アート

nice! 14

コメント 3

カズノコ

ナギさんのいつも明るい前向きの
姿勢に頭が下がります!

by カズノコ (2012-03-14 00:06) 

匁

機内で日記を書くってすごいですね。
予期せぬ出来事。
想定外。
前例なし。
未知の世界。
再出発の日本がよく読み取れます。

がんばってください。
by (2012-03-14 08:38) 

岩崎ナギ

カズノコさん→ありがとうございます!
苦しみの中にも明るい希望を見つけ、
その実現のために頑張っていきたいと思います。
またこれからもよろしくお願い致します。




匁さん→飛行時間が15時間ですからね。
もぅ時間が余って余って仕方がないです。
かといって出来る事は限られますし、
忘れない内に旅行記を取るのが一番です。
記憶は風化してしまいますから。
なだらかで順調な推移でない、
非連続の時代にあっては、
前例なき挑戦も止む無しです。

ありがとうございます。
勇気を持って頑張ります!
by 岩崎ナギ (2012-03-19 05:46) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。