２０１１・ニューヨーク奮闘記・０４「ボッタクリタクシー、再び」

ＮＹアパートの暖かな光。

The warm light in NY apartment.

◎スーツケースを押しながら歩く。
前回の係官に教えられた道を行く。
パスポートは手にまだ持ったままだ。

すると白人男性が近寄ってきて、
「タクシーか列車か？」
と訊く。

「タクシーだイエローキャブだ。」
「イエローキャブならコッチだ。」
「サンキュウ！」

「パスポートはもう仕舞った方が良いぞ。」
「オーサンキュー！」
「名前は何て言うんだ」
「イワサキだ。」
「よーしコッチだ。」

バッジを付けた職員が、
男に何か訊くが、
そのまま立ち去って行く。

「あれは俺の上司なんだ。」
「へぇーそうか。」
空港職員なんだなと解釈する。

男は携帯電話を掛けながら、
「イエローキャブ・・・イワサキ・・・」
などと言っている。

「ほら！タクシーって書いてあるだろう。」
「ほんとだサンキュー！」
確かに『ＴＡＸＩ』とあり絵もある。

上がっていくとイエローキャブが、
出入りしている箇所がある。

「あれはダウタウン行きだ。
アップタウンはアッチだ。
乗り場を分けているんだ。」
「サンキュー！」

「ほらあそこに『ＶＩＳＩＴＯＲ』って、
看板が出ているだろう。
さあ着いた！
３分で来るから待ってな。」
「親切にありがとう！」

しかし男が行ってしまってから、
「嫌な予感」がする。
海外での「嫌な予感」は大抵アタる。

『ＶＩＳＩＴＯＲ』とは外来者の事。
空港を使うものなら誰でも良いんじゃないか？

大体イエローキャブは予約制じゃない？？

スーツケースを押しながら引き返し、
通りかかった黒人のおじさんに訊ねる。

「イエローキャブの乗り場はどこですか？？？」
「アッチだよ。」

・・・と件の男が「ダウタウン行き」、
と教えた方を指す。
やっぱり！！！

そこに黒い四輪駆動が来て、
「イワサキ？」
と訊ねる。

ご丁寧に「ナンバープレート」だけ「イエロー」だ。

「ノー！」

立ち去ろうとすると、
クラクションを鳴らす。

道を訊いた黒人のおじさんが、
「彼はお前の客か？」
みたいな事を運転手に訊いている。

「イワサキ！」
ビィィィイ！っと、
クラクションを鳴らしながら、
運転手が「タクシー明細表」を振る。

それは見た事がある。

去年「ボッタクリタクシー」に乗った時、
違法運転手が書いたものと同じだ。
正規のタクシーはそんなもの書かない。

「ユー・アー・イリーガル・タクシー！」
と決めつけて道を戻る。

黒人のおじさんに、
「もうちょっとで騙される所だった！」
「アハハ！」

最初の男がパスポートを仕舞えと行ったのは、
旅行者を連れていると見られないためであり、
バッジの空港職員には、
『旅行者を騙していないか？』
とでも尋ねられたのだろう。

黒人のおじさんに礼を言い、
空港職員に１００丁目でも行くか訊ね、
「イエローキャブ」に乗り込む。

タクシーは順調に進む。
途中でアパートに電話しておかないと、
鍵が開かないのを思い出し、
タクシー運転手に、

「悪いけれど後のバッグに、
携帯電話を入れたままなんだ。
どこかで停まれないだろうか？」

運転手は黙って自分の携帯を出す。
「サンキュー！」

アパート管理者のＮｅｍｏｔｏさんに連絡し、
着いた旨を報告する。

「お疲れ様です。
インターネットで延着は解っていましたよ。」
「ありがとうございます。
遅れて済みません。」
「全然大丈夫ですよ。」

もう一件アゴラに掛ける。
つなぐ場所を何番か選ぶように言われるが、
正確に英語の意味が解らない。

適当に「１番」を押す。

だれかよく解らない職員が出て、
「ようこそ！」
みたいな事を言ってくれる。

「済みませんがあなたはどなたでしょうか？」
「ごめんなさい、
私には正確にあなたが誰か解らないんです。」
以前会ったことのある職員ではなかったようだ。

ともあれ、
「今日行って作品を確認するつもりでしたが、
飛行機の延着で無理になりました。」
「オーじゃあ明日ですね。
お待ちしています。」

「あともう一つ、
日本人通訳の久保田さんは、
明日何時に来られますか？」
「５時です。」
「じゃあ４時に行きます。」
「４時に来られても、
本格的な準備が始まるのは５時ですよ。」

「わかりました。
でもとりあえず４時に行きます。
サンキュー！
シー・ユー・トゥモロー！」
「ユア・ウエルカム。
シー・ユー・トゥモロー！」

タクシーの規定料金は４５ドル。
それに橋の使用料を含めて５１ドル。

チップを加えても５５ドルくらいで大丈夫だが、
携帯電話を使わせて頂いたので、
「チップ込みで。」
と６０ドルを手渡すと・・・

「サンキュー！」
と非常に感謝してもらえた。
５ドルでも意外とＮＹでは食料品が買えたりするので、
１ドルの価値は即物的な変換レートよりも、
高い気がする。

タクシーを降りて、
向かい側に渡ろうとすると・・・

「イワサキさんですか？」
大柄な男性が立っている。
「はい。」

「やっぱり！
Ｎｅｍｏｔｏです。
たまたま買い物に外に出て、
お見かけしたのでそうじゃないかと！」

このアパート管理者のＮｅｍｏｔｏさんは、
とても親切な方だった。
その晩の食事の買い物まで、
付き合って頂いた。

アパートは心地よい暖かさで、
付近の治安も問題ない。

メールを見ると、
アゴラ日本語担当の久保田さんから、
また質問のメールが来ている。

お礼を言って回答し、
明日インタビューがあるかも知れないとお伝えし、
当日の午前中までに何とか、
文章を頂きたいとお願いする。

何やかやでもう午後１１時だ。
明日も早いし眠る事にする。

次の日は朝２時半に起きた。
さぁいよいよパーティーだ！

（つづく）

現在地震で不安な日が続いています。

昨日、石原慎太郎・東京都知事が、
「大震災は天罰。」
と発言しましたが、
ハッキリ言っておきます。

「地震はいかなる『罰』でも『ありません』。」

例え日本人がもしくは世界市民が、
どんなに悪いことをしても、
「罰」で地震が起こったりはしません。

では完全に一生懸命に生きていた人は、
何の「罪」で亡くなられたのですか？？？

フェイスブックでも外国人が、
「何の罪で日本にこんな事が起こったんだ？」
と発言していたので・・・

「いかなる罪も存在しない。
これは我々の地球上どこにでも起こりえる、
自然災害である。」

・・・厳しくたしなめておきました。

もう一度確かめておきますが、
「いかなる罰でもありえません。
これは誰の身にも起こりえる、
偶然の自然災害です。」

・・・次は３日後、
３月１８日（金）に更新します。
よろしくお願い致します。

タグ：アート 芸術 美術 岩崎ナギ アゴラギャラリー 日本水彩画会 ART IWASAKI, Nagi Agora Gallery Matrix of the Mind agora gallery representation artist　アゴラギャラリー選抜作家 ニューヨーク　チェルシー NewYork Chelsea 西区民センター デッサン講座 http://www.agora-gallery.com/artistpage/iwasaki_nagi.aspx

コメント 5

随分昨年の経験が役だったんですね。
凄いです。
順調に行きそうな予感します。

天罰なんか言う前に
大東京に40万人以上もいる避難者を
受け入れて貰いたいものです。
by 匁 (2011-03-15 19:56) 

実に見事な会話力ですね！
明日からのサプライズが楽しみですね。
｢天罰｣とは、これ如何に？
言葉には、気をつけたいものですね。

by カズノコ (2011-03-16 15:58) 

匁さん→ありがとうございます。
滅茶苦茶だった去年よりは、
わずかにマシでした。
とりあえず無事に旅が終えられた事に、
強く感謝したいと思います。。。

そうですね。
全員は無理でしょうけれど、
一部の方を受け入れて頂ければ、
皆さんとても助かると思います。

むしろ東京からも、
避難される方すらおらえるので、
兵庫県でもやはり全員は物理的に無理にしろ、
一部の方々をぜひお受け入れしたく思います。




カズノコさん→ありがとうございます。
しかしもう少しで騙される程度ですから、
残念ながら大した事ないです(笑)。

今回の旅の記事は、
この展覧会旅行で、
またまた他の事にしわ寄せが行き、
段々回らなくなってきていますので、
今日で終わろうと思っています。

石原氏の意見に百歩譲って、
もし物事の「原因」と「結果」に、
「因果関係」があるならば、
「罪」なり「罰」なりという考え方も、
感情的な是非はともかくあり得ます。

しかし今回の「地震」は、
人間が「原因」を作ったものでしょうか？
もちろんご存じの通り「いいえ。」です。
全く何の関係も無く誰にも防ぎようもない、
何処にでも起こり全てに被害を与える、
全けき「天災」です。
絶対に罰ではあり得ませんよね。
by 岩崎ナギ (2011-03-18 05:52) 

天罰はあり得ませんね、このタイミングであんな発言を
してしまう人柄が本当に信じられませんでした。
でも地震は真の天災ですが、環境破壊により引き起こされる様々な問題は、真剣に考えていかねば。

ぼったくりタクシー、実害なくて良かったですね。
僕も若かりし頃、ロス空港についたとき土砂降りの雨の中
タクシー待ちの行列に並びました。これがぼったくりタクシーへの行列でして、
街まで散々遠回りの挙句当時で、２万円くらいを請求されました＾＾；

by tromboneimai (2011-03-19 08:08) 

tromboneimaiさん→天罰はあり得ませんね。
石原さんは菅さんを通じて、
海江田さんの『処分する』発言を怒っていて、
それ自体は正当な事ですが、
直前には自分が天罰発言をしておられます。
どちらの方も普段から自分の見方を、
もう一度再検討して頂きたいと思います。
失言とはいえ、
普段の価値観が出るわけですから。

２万円はひどいですね。。。
しかしボッタクリタクシーに行列が出来るとは！
そっちの方にも驚かされます。
人が並んでいるからと言って、
信用できませんね。
情報ありがとうございます。
by 岩崎ナギ (2011-03-25 07:52)