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2010・ニューヨーク奮闘記・02・「ボッタクリ・タクシー」 [旅(Travel)]

到着の日・「宿から外を見る」・02.jpg

やっと到着した宿から外を見る。
隣のビルの一室が見えた。
大きなカウンターがあり、
その後に白人青年が立っている。

I saw the outside from the inn
which managed to arrive at.
That room had a view of a neighboring room.
It had a big counter,
and a white young man was standing behind that.

(01話からつづく)

イタリア系タクシー運転手は、
上機嫌で走っている。

時々両手をハンドルから放して、
振り回しながら楽しそうに話す。

「この仕事が終わったら、
ラスベガスに休暇に行くんだ。
最高だよ!」
みたいな話を足でアクセルを踏み、
身振り手振りを「手放し」で行う。

運転と言うよりはアクセルを踏んでいるだけだ。

車は黒のメルセデスベンツ。
タクシーらしいナンバーは付いているが、
やはり疑問に思い、
「タクシー?」「タクシー。」との事。

「おい、あれ見なよ『メン・イン・ブラック』って見たかい?
あの時のUFOだよ。」

指さす先には確かにあの映画で、
『実はUFOだった!』
と言う設定の塔が2本見えている。

「おい結婚してるかい?」
「いやしてない。」
「その方が良いよ、
俺は前に結婚してたけど、
人生最大の過ちだったね。
今は自由に走れて最高だ!」

またハンドルから手を放し、
両てのひらを天に向ける。

「値段は幾らだ?
高かったら払えない。」
「もう少しで会社から連絡が入る、
それまで待て。」

乗る前にも訊いたのだが・・・

「こんな悪天候の日に、
タクシーが拾えてお前はラッキーだった。」
「50ドルくらいか?」
「まぁそれくらいだ。」

・・・ところがいざ、
会社から通信が入ると、

「140ドル」と言っている!

ビックリして聞き違いかと思い、
「幾らだと言っているんだ?」
「140ドルって言ってる。
それにチップ20ドルだ。」

・・とタクシー明細表(どうせ違法だろうが)
を見せる。

「168ドルか?」
「170ドルだ。」

「おい現金は100ドルしかないぞ、
あとはTC(トラベラーズチェック)だ。」
「えっ何だって!
ウチはTCは使えない。。。
そうだきっと『日本円』を、
持っているだろう?」

「ある。お釣りは出せるのか?」
「それは出せる。」

スマートフォンを取り出し、
交換レートを調べている。
そこら辺は妙に手際が良い。

「おい日本円は強いな、
100ドルと1万円なら、
30ドル釣りを返すよ。」
「そのレートなら35ドルのはずだ。」

「解った40ドル、俺は人が良すぎる。」
人が良すぎるも何も相場の3倍も、
タクシー料金を取ればホクホクだろう。

その後はとにかく、
日本人を褒めちぎる。

休暇前に懐が暖かくなって、
嬉しいのだろう。
どうせいくら褒めたって、
言葉はタダだ。

いわく中国人のマッサージは汚いが、
日本人は清潔で器用だ。
俺には日本人の友人がたくさんいる・・・

・・・これが中国人を乗せていたら、
逆を言っていそうだ。

「ブラックピープル(黒人)に気を付けろよ、
男も女もだ。
買い物をする時サイフを外に出すな、
引ったくられるぞ。」

「帰りはタクシーなんか乗るな、
(勝手な事を言っている)
『スーパーシャトル』が良いんだ。
たったの21ドルだ。」

着いた時間が遅くなきゃ、
ナギもそれに乗るつもりだった。

「ニューヨークはチャンスの街だ。
お前にもチャンスが有る。
きっとニューヨークが好きになる。」

「イタリアでの故郷はどこ?」
「ミラノだ。
お前はイタリアもきっと好きになる。」

ミラノの神風タクシーがNYに来て、
更に儲けた訳だ。
確かにNYはチャンスの街だ。

カーナビを使って的確に場所を探し当て、
(そこら辺は手際が良い)
真ん前で降ろしてくれる。

今は眼鏡を外し、
ボクシング映画「ロッキー」での、
義理の兄役のような顔を、
夕暮れの街にさらしている。

「お前のタクシー料金は高すぎた。」
と肩を叩くと、

「そんな事は無い!
お前は俺みたいな、
良い運転手でラッキーだった。」
と両手を広げる。

ボッタクリには違いないが、
どことなく憎めない、
イタリア人運転手に、
お互い結局、

「サンキュー」
と言って別れる。

時刻は17:50。
ホテル受付は18:00まで。

遅延料金は取られずに済みそうだ。

最初からドタバタ劇のような、
NY滞在生活の始まりだった
(つづく)
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コメント 14

tromboneimai

ナギさん、ありがとうございました。また、とても
楽しく読ませていただきましたよ^^。
おっと、人の不幸を笑っちゃいけないですね。
なんとなくそのまま友達になれそうな運転手ですよね。
僕は行きも帰りもシャトル使いましたが、安心明朗会計
でしたよ。

自分は2/18-25までNYに滞在していましたのでちょうど
入れ違いくらいでしょうか。大雪が到来する日に去りました。
素晴らしい作品も拝見させて頂きました。
僕も遥か昔、美術部で絵を描いていましたが、とても明る
い画風に惹かれました♪


by tromboneimai (2010-03-13 08:27) 

toshiro

ニューヨーク、ニューヨークの始まりですね。
それにしても、ホテルに滑り込みできて安心。
by toshiro (2010-03-13 09:59) 

スマイル

ドラマ仕立てのようなほんとのお話・・・・・
ニューヨークって怖いイメージ通りのお話の始まり
やっぱり~怪しいタクシーの運転手
料金、大丈夫かしら?案の定ぼったくり・・・
いい加減な奴かと思いきや計算は速い。
しかも自分をよい運転手と豪語するところが
何だか羨ましいとさえ思える。
最後に目的地到着ときたらホテルの真ん前に横付け
これはプロの技でしょうか・・・・
何はともあれ10分前のご無事の到着で安心しました。
それにとってもわくわくのお話でもありました。
次回のノンフィクション楽しみにしています。
by スマイル (2010-03-13 11:01) 

カズノコ

予定の時刻前に、何とかホテルにご到着
本当にほっとされたことでしょう!その後は
ナギさんペースでニューヨーク生活を満喫
出来そうですね!
by カズノコ (2010-03-13 18:10) 

匁

無事到着そして帰れた今となっては
やれやれ
ですね。
それにしても、最初から2時間待ちの3倍タクシー料金ですか!?
NYもまともな神経では
行けませんね。
by (2010-03-13 20:36) 

michaela

初めまして・・・たどりついたら素敵なブログでした。
by michaela (2010-03-13 21:00) 

の

高いのか安いのか☜(・・;)。。。。それすら分かりませんデスゥ
が、、、記事を読んで「安い」事はないと理解出来ます~(^^)/
by (2010-03-14 01:56) 

岩崎ナギ

tromboneimaiさん→お越し頂き、
ありがとうございます。
ナギは25日に到着しましたので、
正に入れ違いです。
大雪に見舞われず幸運でしたね。

作品もご覧頂いて、
ありがとうございます。
tromboneimaiさんの写真も、
とても素晴らしいです。
ナギも帰りは宿を通じて、
スーパーシャトルを予約し、
無事に帰ることが出来ました(笑)。
by 岩崎ナギ (2010-03-14 06:15) 

岩崎ナギ

toshiroさん→本当にバタバタの始まりです。
ともかくホテルだけは間に合いました(笑)。
ありがとうございます。
by 岩崎ナギ (2010-03-14 06:15) 

岩崎ナギ

スマイルさん→ニューヨークは、
この話だけ読むと怖そうですが、
実はとっても安全な街でした。
十年一昔で今は治安が良くなってるんです。
ただこのタクシーの運転手は、
もちろんボッタクリで、
もしかしたらイタリアン・マフィアの、
下っ端かも知れません。
ともかく無事に着いたわけですから、
それだけはまぁ誰に感謝するのか、
良く判りませんが感謝ですね。
ありがとうございます。
気長にお読み頂ければ幸いです。
by 岩崎ナギ (2010-03-14 06:15) 

岩崎ナギ

カズノコさん→そうですね、
午後1時ごろの到着予定でしたから、
まさか6時を過ぎる可能性が出てくるとは、
全く思いもしていませんでした。
ともあれおかげ様で、
無駄なお金を使いつつ(笑)、
何とか無事に到着する事が出来ました。
ありがとうございます。
by 岩崎ナギ (2010-03-14 06:16) 

岩崎ナギ

匁さん→ほんとうにやれやれですね。
ありがとうございます。
入国審査はとても厳しく、
人はズラズラと並び、
うんざりさせられました。
今回の旅行では、
大分鍛えられましたよ。
by 岩崎ナギ (2010-03-14 06:16) 

岩崎ナギ

michaelaさん→初コメント、
ありがとうございます。
これからもよろしくお願い致します。
by 岩崎ナギ (2010-03-14 06:16) 

岩崎ナギ

のさん→高いですね。
とてつもなく高いです(笑)。
5千円~6千円くらいの相場で、
1万6千円~1万7千円くらい、
取られています。
ご理解いただき、
ありがとうございます(笑)。
by 岩崎ナギ (2010-03-14 06:17) 

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