オハイオ・パリ・ACDC・「2012年10月には」・6話 [旅(Travel)]
○From Puiseaux To Paris!
○ピュイゾーからパリへ!
オハイオ・パリ・ACDC・「2012年10月には」
6話「パリの地下鉄」
◎そもそも「サロン・ドートンヌ」とは、
マチスが開きピカソも出したという、
美術史上に残る展覧会だ。
そうは言ってもナギ自身が、
先年の2011年まで知らなかった。
『彼らは毎年2月に募集しているわ。』
そう言ってくれたのはシルビーだった。
教えてくれた頃には3月だったから、
ちょうど一年後に応募する事になった。
こういう毎年同じ時期に募集し、
最終的に会員になれる公募展は、
日本人にとって馴染み深いものだから、
もっと裾野が広がっても良いのだが、
二つの阻む「壁」があり・・・、
あるいは「あった」のだ。
「フランス語」での応募が、
その阻む壁の一つだ。
しかしコチラは英語応募が可能になって、
グッと軽減された。
残る一つは「輸送費」だろう。
『一体いくら掛かるのか?』
未経験であれば間違いなく、
不安にならざるを得ない事だ。
仲介業者の相場は往復10万円。
それに審査料を5万円付けて、
15万円くらいで請け負う所が多いようだ。
ナギは送る方はEMSを用い、
1万2500円で済んだ。
運賃は「重量」で決まる。
海外から「返送」に掛かる費用は、
通例EMSより3倍くらいは高い。
それでも軽量額「インボルダ」を、
丸一興業と共同開発したため、
2万1000円で済んだ。
合計3万3500円だ。
これならまぁまぁ何とかなる。
これに審査料が4万5000円
(これは高いがコチラでは変えられない
『展示』の所はもう少し安いようだ)。
全合計7万8500円。
だから10万円あればお釣り付きで、
サロン・ドートンヌに応募、発送、返送、
全てが出来る訳だ。
応募から搬入、返却まで、
一連の流れをつかんだので、
落ちた人には1万円返す事にして、
来年はごく僅かな人の依頼のみ、
希望があれば代行してみようか・・・
・・・そんな事を考えている内にも、
ピエールの運転する車は、
夜のパリ郊外を突っ走る。
日本の高速道路のような風景から、
道の両側に高い木が立ち並ぶ、
ホッベマの絵のような光景へ、
そして石畳と石壁の街が表れ、
ヨーロッパそのものの中に、
道は続く。
○From Paris To Puiseaux.
○パリからピュイゾーへ。
後の毛むくじゃら犬が首を舐めたり、
時々ちょっかいを出してくるが、
旅の疲れからいつの間にか眠ってしまう・・・
・・・グイと大きなカーブを切った車に、
席を揺られて起こされると、
そこはもう ピュイゾーの村だ。
○The church of Puiseaux.
○ピュイゾーの教会
鐘楼があり教会があり、
ピエールとシルビーの家がある。
○The house of Pierre & Silvie.
○ピエールとシルビーの家。
家に入ると猫が2、3匹出てくる。
建て替え中なのか家のアチコチで、
構造が剥き出しになっている。
ともかく温かいシャワーをお借りしてから、
ローストビーフ中心の夕食を振る舞って頂く。
パンは食卓に直接置くのが習慣だ。
○We took the dinner, anyway.
○ともかく夕食を取る。
食後は大学に入った末娘の部屋跡を、
寝室に割り振ってもらって、
日本の漫画が転がる部屋で眠りに就く
(「逮捕しちゃうぞ」のフランス語版だ)。
○Japanese MANGA : "You're Under Arrest".
○日本の漫画「逮捕しちゃうぞ」
明日はきっと困難だろう。
シルビーはパリまでは送ってくれるが、
会場までは付いて来てくれない。
知らない街で知らない所に行く。
フランス語だって解らない。
救いなのは作品が間違いなく、
会場に着いていて、
『額を組み立てるのは簡単だった』
とシルビーが言ってくれた事だった。
○Also Today I go to sleep for Tomorrow.
○明日のために今日も寝る。
『今度も落ちなかった・・・』
ギリギリの中で〆切を落とさず、
何とか斬り通った。
明日は明日で悩めば良い。
夜明けと共に置き。
今度はシルビーの運転で、
パリへの100キロを北上し、
名前も発音できない駅に着く。
○From Puiseaux To Paris!
○ピュイゾーからパリへ!
「じゃ私は仕事に行くから、
(午後)7:30にサロンの会場に迎えに行くわ。
そこから今日泊まる友人の家に行きましょう。」
「地下鉄の乗り方はどうするの?」
「切符は下の口から入れて、
上の口から取るのよ。
行き先表示に気を付けて。」
・・・意味が解らない所だらけだが、
忙しいシルビーを、
これ以上わずらわす事も出来ない。
乗った事も無いパリ地下鉄の構内へ、
初めて『おつかい』をする小学生のように、
強い不安に悩まされながら、
トコトコ階段を下りていった・・・
○パリの地下鉄
○The tube of Paris.
(つづく)
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パリの地下鉄は本当に不安でした。
ニューヨークなら英語圏だから、
何とかなるけどパリは・・・
次回は12月28日(金)に更新予定です。
では!
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