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オハイオ・パリ・ACDC・「2012年10月には」1話 [旅(Travel)]

001・伊丹「出発」.JPG

○伊丹空港
○Itami Airport

オハイオ・パリ・ACDC・「2012年10月には」
1話「落ちる」

◎2012年の10月には、
すでに狂ったような忙しさが、
バタンと音を立てて扉を開いていた。

実際には実用新案を取るために、
朝に三宮の「ひょうご産業活性化センター」や、
杭瀬の丸一興業に行き、
夜は「デザイン道場」のために、
天満の近畿経済産業局へ向かい、
1日2回4時間の話し合いをして、
しかも合間にサッカー場に出す「KSF」を描いたり、
神戸市・西区民センターの指導案を書いたりして、
東奔西走していた7月から、
扉は開き始めていたのかも知れない。

いや実際にはすでに年明けの・・・
・・・キリが無いからこの辺で止める。
見栄えのしない人生にも、
過去からの長い要因があり、
もの事の始まった本当の日時などは、
ハッキリと解らない用になったいるのだ。
いずれにせよ「扉は開いていた」。

その結果として実用新案を出願した9月13日の、
翌日14日に出願額「インボルダ」をサッカー場で公知
(特許や実用新案は「公知前」が原則)。

中身の絵「KSF」は9月8日、9日の、
「アニメフェア関西」出展中に描き進める。

9月21日に額を「ものづくり新撰」に応募。
10月1日にオハイオに同「インボルダ(額)」出荷。
(中身KFR(絵)はアリゾナから送ってもらった)
10月11日フランスに「インボルダ+KBP(絵)」出荷。

そして今日10月12日にオハイオに向け出発(自分)

・・・という風に開いた扉が空気を吸い込む勢いで、
ドンドン物事は進行していった。

常に貫いていたのは「落ちる」恐怖。
〆切を落とし「約束」を守れなくなる恐怖、
・・・だった。

社会的立場が弱いため、
「やる!」と約束した事が、
「落ちる」恐怖は凄まじいものがある。
「岩崎ナギならやる『だろう』」というだけで、
全ての計画が進んでいたからだ。

伊丹から飛んだJALはいつの間にか、
車輪を軋ませ成田に到着する。

すぐに国際線への「乗り継ぎ」。

002・羽田「出発前」.JPG

○成田空港
○Narita Airport

「ずーっと、ずーっっと歩いていった『端』ですよ。」
と日本人の係官が説明してくれた。
「77番搭乗口」は飛行場の最果てだ。

「最果て」に着くまでに、
AA(アメリカン・エアライン)の窓口に寄り、
「持病の痛風があるから、
通路側に席を替えて欲しい。」
と頼んだ。

理由は本当だ。
痛風は「ぜいたく病」ではなく、
「体質」によるものだそうだ。

普段はほとんど発症しないものの、
長時間、座り続けると「突然」、
予期せず理不尽な痛みに苦しむ事になる。

そのため自分は常に立っている。
トイレと夕食以外は立っている。
朝食と昼食も立って食べている。
動き続けないと呼吸できないサメのように。

だから「座る」という「異常事態」は、
確かに我慢すれば10時間以上でも、
耐えられない事は無かったが、
なるべくそうしたくは無かった。

有能そうな日本人男性の(あるいは日系人男性の)、
係官はテキパキと席を替えてくれる。
アメリカ系企業はこういう所は本当に良い。
「人権」に敏感なのだ良くも悪くも。
時には人権を理由に人が殺される位に。

機は日本発だから、
日本語を話す乗務員もいるし、
白人の乗務員も親切だったから、
何の不自由もなかった。

隣の中国系アメリカ人(だろう)の女の子が、
隣の隣の空席から
(ナギが本来座る席だったのかも知れない)、
毛布を取って貸してくれたので、
寒がりの自分でも震える事は無かった。
下はズボンの上からフリースを履き、
お腹には「貼るカイロ」だ。

時計を見て日本時間の22時丁度には、
眠りに就いた。
もっとも1時間おきに起きて、
機内を歩き回る事は忘れない。

日本時間で午前4時に、
機内に朝食が配られ始め、
起床する事にした。
6時間眠れば死ぬ事はあるまい。

顔を洗い機体後部の窓から見ると、
透明な陽光の下、
蛇行する川が見えている。

003・アメリカ上空「蛇行する川」.JPG

○蛇行する川が平野を貫いて流れている。
○The river runs meandering through fields.

バリンと気持が切り替わり、
突然元気になる。
なぜこの旅をしなくてはならないか、
唐突に理解出来たからだ。

10時間以上も狭い席に座り
(しかも1時間おきに起きて歩き回り)、
日付変更線をまたいで、
次の日が(時差で)また昨日であるような、
そんな苛酷な旅は、
年齢を重ねてからではもう無理だ。

どれほど勝機が少なくとも、
まだしも若さが残る内に、
挑戦せざるを得ないだろう。

年齢を経れば旅は、
ファーストクラスか少なくともビジネスクラス、
あるいは豪華客船ででも、
出かけるべきものであり、
エコノミークラスでは死にかねない。

私達は長い歴史の中で、
無謀な戦いが、
士気の高さのみによって、
形勢を逆転させた事例を、
多くはないが確かに目にしてきた。

高い士気を産み出す「大義」は、
これまたしばしば「勘違い」であり、
根拠も薄弱な場合が多いが、
効力を持つという点では「本質」だ。

ともかく「今は」元気が回復し、
激しく回る駆動機の音が、
体の底から響いていた。

いま機はシカゴ・オヘア空港に到着した。

004・シカゴ「オヘア空港」.JPG

○シカゴ・オヘア空港
○Chicago O'Hare International Airport

(つづく)

++++++++++++++++++++

バタバタしておりましたが、
ようやく「旅行記」が書けるようになりました。
長い間ご無沙汰しておりましたが、
またよろしくお願い致します。

次回は11月23日(金)に更新予定です。

では!
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カズノコ

オハイオへの出発前の忙しさは本当に大変でしたね。
それで、体調がちょっとおかしかったのですね。
それも到着前に直り良かったですね!
続きを楽しみにしています!

by カズノコ (2012-11-19 15:51) 

tromboneimai

痛風でしたか。
僕は石を常に抱えていますので、
お気持ち良く分かりますよ^^
続きを楽しみにしています。
by tromboneimai (2012-11-20 21:25) 

岩崎ナギ

カズノコさん→FBの友人の話は、
バカンスの習慣が無い日本では、
少し難しいでしょうが、
依頼がありましたので掲載しました。
券の方は頂いてからお送りしますので、
もう少しお待ち下さい。




tromboneimaiさん→石も大変ですね。
痛みがある場合は特につらいですね。
胆石の場合も発作的に、
痛みが来たりするのでしょうか?
続きは月曜に更新しますね。
ありがとうございます。
by 岩崎ナギ (2012-11-23 12:30) 

Takako Morishita

何という忙しさでしょう!

飛行機の中では、座らずに立って読書なさると…お聞きした時は、体を鍛える為かな…?なんて思ってしまいましたが、痛風だったんですか!
失礼しました。

素晴らしいご活躍の中で、様々な事が起こるのを、こうして記事で読めるのは、大変貴重です。
ありがとうございます。
by Takako Morishita (2012-11-26 22:48) 

岩崎ナギ

Takako Morishitaさん→本当にこの時は忙しかったです。
いつも〆切を守れるか恐怖の連続でした。

ご心配頂いてありがとうございます。
いつもは何ともないので、
日常生活には殆ど影響が無いのですが、
長時間座り続けたり、
病気で長時間寝た姿勢になったりして、
血行が悪くなると、
突然発症したりします。

自分の立ち位置が弱いので、
必死でやるだけですね。
記録をキチンと取り、
皆さんにお読み頂き、
ご意見を頂くのも重要な事と思っております。
ありがとうございます。
by 岩崎ナギ (2012-11-30 11:52) 

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