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2011アリゾナ奮闘記・第1話「過去に戻る」 [旅(Travel)]

02・伊丹から成田529PX.JPG

伊丹空港を出発する。
I departed from ITAMI airport.

○2011アリゾナ奮闘記・第1話「過去に戻る」

激しい不安が自分を押さえていた。

日本語の通じない海外への、
一人旅となれば、
多かれ少なかれ大部分の人が、
不安を覚えるとは思う。

加えて今回はニューヨークのような、
あらゆる国の人が往来する都市ではなく、
米国、南西部アリゾナ州、
更に同州、フェニックス空港から車で5時間、
山間部「グリアー」が目的地だ。

日本で「車で5時間」と言えば、
居住地「神戸」を起点とすれば、
東では東京を通過し、
西では広島に達する。

それがアメリカでは「同じ州」の中で、
普通に掛かる時間なのだ。

英語がそれほど解るわけでもない自分が、
一体そんな所へ何をしに行くのか?

それは「東日本大震災」支援作品展に行くのだ。
しかし・・・

・・・しかし、
いくら震災への寄付のためとはいえ、
飛行機代も出ない展覧会に、
誘われたからと言って行くものなのか?

正直に言って悩んだ。

利益など出る見込みもない。
印刷物は100%、
実物でも70%の寄付だからだ。

ただ今回の地震は、
「100年に1度」。

大袈裟なようだが、
震災からの迅速な回復なくしては、
日本の存立も危うい。

「自分1人に何ができるか?」
それは誰しもが思う事だが、
人間1人1々の意志の力が、
少しずつ世界を動かしている事も、
また間違いのない事だ。

腹を括って出発する。

午後2時35分発の便だから、
2時間前の12時35分が、
受付開始時刻になる。

しかし列に大勢が並び始め、
10分早い「12時25分」には、
受付が始まった。

伊丹-成田までは書く事もない。
ただ国内線は地上が見えて綺麗だ。

次の便は成田-サンフランシスコ。
座席は3列席の「真ん中」35番。
どこにも動きようがない。

一見して中国人だろうと解る、
若い女性が座っていたので、
「エクスキューズ・ミー」(ニコッと微笑)、
と前を通って自席に腰掛ける。

一応「アー・ユー・ア・チャイニーズ?」
と確認すると「イエス.」
「オー・アイム・ア・ジャパニーズ.」

それよりも気になるのは右端の席だ。
空いている。
誰もいないのだ。

15分しても気配がない。
「多分この席は空いてると思います。」
「グレイト.」と中国人の女の子。

それで右隣に引っ越し、
ノビノビするがやはり甘くない。
更に5分して黒人男性が来る。

「サーティー・ファイブ?」
男性は軽く頷く。

再び真ん中へ移動。
ビッシリ満席になり離陸。

日本人搭乗員に飛行時間を聞くと、
「8~9時間くらいです。」との事。

それにしても「真ん中席」はツライ。
そもそもナギには食べる時と寝る時以外に、
「座る」という習慣は無いのだ。

そこでトイレ前に陣取り、
立ちながらこの手記を取る事にする。
8時間くらいなら余裕で立てるだろう。

機内は寒い。
万一のためにと「フリース上下」を、
準備しておいて正解だった。
毛布もマフラーとして巻き付け、
足踏みをする。

しばらく立っていると、
「米国の法律で長時間ドア前で立つのは、
禁じられております。」
と注意を受ける。

やむなく席に戻り時計を見る、
日本時間で夜の10時頃。
眠くはないが毛布で顔の周りを遮光し、
無理に眠ってしまう。

浅い眠りの内に乗務員が「窓」を空け、
「朝」が強制的に始まる。
時刻は日本時間で深夜1時。

そこで「朝食」が始まり、
日本時間の午前3時、
経由地のサンフランシスコに着く。

03・サンフランシスコ空港.JPG

サンフランシスコ空港
San Francisco Airport

古いテレビが飾ってある廊下を抜け、
77番口に到着する。

現地時刻を知りたいが、
この空港には不思議な事に、
「時計」が1つも無い。

周りを見回すと、
背の高い警官の一群が、
空港警備なのか大勢で集まり、
談笑している。

「エクスキューズ・ミー・オフィッサー.
この地域では何時になっていますか?」
「トゥエルヴ・トゥエニー・ファイブ.」

腕時計のリューズが逆回しされ、
グルグルと時間が戻っていくのを、
全員が興味深そうに見守っている。

「おっとそれじゃ行き過ぎだよ。」
ちょうど伊丹で受付したのと同じ、
午後「12時25分」に針を留める。

これで「過去」に戻った。

「サンキュー!」
「良い旅を!」

3度目の乗り継ぎがいよいよ、
「フェニックス行き」だ!

(つづく)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

おかげ様で今は無事に、
日本に帰っております。

今日から連載を始めました、
「2011アリゾナ奮闘記」に、
ご期待ください。

++++++++++++++++++++++

本日9月3日(土)、
13時30分から予定されておりました、
神戸市立「小磯記念美術館」での講義は、
午後12時25分時点で警報が継続中ですので、
「延期」となりました。

「代替の講義」は、
10月1日(土)朝9時30分からです。

現在この講義は、
10名の方に参加希望を頂いています。
定員は15名ですので、
「あと5名」お申し込み頂けます。

同10月1日(土)午後13時30分からの、
2限目の講義(内容は同一、重複のないようお願いします)も、
同様にお申し込みが可能です。

美しい水彩画を描いた「大下藤次郎」展の、
通常入館料「600円のみ」で、
18色の透明水彩と筆(ホルベイン)をご用意し、
藤次郎の著書「水彩画の栞(しおり)」に基づき、
水彩画の基本的手ほどきが受けられる、
非常に「おトク」な講座となっております。

ぜひお申し込み下さい。
お問い合わせは同「小磯記念美術館」まで、
お願い致します。

++++++++++++++++++++++

次回のブログは9月9日(金)に、
更新予定です。
よろしくお願い致します。

では!
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コメント 5

みなりん

ナギさんお久しぶりです。
すっかりご無沙汰しておりました。

今年は東日本大震災があって、びっくりしました。
曽根ブロも更新するのを一時やめていましたが
やっと再開できるようになりました。

ナギさんの絵を見て少しずつ元気になりたいと思います。
また、宜しくお願い致します。

by みなりん (2011-09-02 12:31) 

ララアント

お帰りなさい!
無事の帰国 何よりです。。

「過去に戻る」までの行程
他人(ひと)ごとながら わくわくというかどきどきというか
身を縮めて読み進みました。

結果的には"英会話"を勉強しながら
楽しませていただきました^^

by ララアント (2011-09-02 16:51) 

カズノコ

ご無事の帰国、何よりでした。
まずは、本当にご苦労様でした!
次のお話を楽しみにしています。
by カズノコ (2011-09-02 18:13) 

tromboneimai

お帰りなさい!
アリゾナでの義援活動、頭が下がります。
NYの個展も決まったとのこと、ますます活躍楽しみにしています。

by tromboneimai (2011-09-02 21:32) 

岩崎ナギ

みなりんさん→ご無沙汰しておりました。
お元気でしたか?

震災は本当に驚きましたね。
東京は相当揺れたでしょう。
ディズニーランドも液状化で大変でしたね。
ご無事で何よりです。

またお越し頂けて良かったです。
よろしくお願い致します。




ララアントさん→ありがとうございます。
おかげ様で無事に戻って参りました。

時差で時間が戻るんですよね。
不思議な感覚です。
それを繰り返せば、
2倍生きられるのかな?とか(笑)。。。

英語は文章は何とか解りますが、
聴き取るのはとにかく早口なので、
中々理解するのが難しいです。




カズノコさん→ありがとうございます。
おかげ様で無事に帰国でき、
お心遣いを深く感謝しております。
旅で感じたこと学んだ事を、
拙い文章ながらお伝えして行きたいと思います。
よろしくお願い致します。




tromboneimaiさん→ただ今戻りました。
おかげ様で無事の旅程でした。
義捐金は少ししか集められませんでしたが、
日本赤十字を通じて寄付したいと思います。
個展は審査が通れば来年にと思っていたのですが、
もうすでに予約が一杯で、
自分の考えの甘さをまた知りました。
ご指導を改めてよろしくお願い致します。
by 岩崎ナギ (2011-09-09 05:45) 

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