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デッサン完成「私の手」 [デッサン(Dessin)]

04・完成「私の手(死にゆくものへの祈り)」・510.jpg

題・「私の手」
作者・岩崎ナギ
技法・鉛筆デッサン
大きさ・318×410(ミリ) F6号

Title / "My Hands"
Artist / IWASAKI, Nagi
Technique / Dessin by Pencil
Size / 12.72×16.4(inch)

西区民センター「デッサン講座用」の、
「手」のデッサン3度目です。

自分の「両手」を描くのは、
やはり難しい!

見ながら描くことは、
物理的に出来ないので、
鏡を見て記憶し、
憶えている内に描きます。

ある程度描いて絵が出来てくると、
自分の手の格好を再現することも、
余裕で出来るようになりますが、
まだ余り描かれていない内は、
どんな「角度」で、
どんな「組み方」だったか、
本当に思い出せないんです!

絶好の「脳トレ」ですので、
皆さんもぜひ一度やってみてくださいね。

これまた以前にも書きましたが、
使用した鉛筆はFまでで、
H以下は光が冷たくなるので、
肉体表現の時はこれを嫌い、
使わないようにしています。

では以下に指導案を記します。
またご助言頂ければ嬉しいです。

よろしくお願い致します。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

01・失敗したアタリ.jpg

①一度取った構図にこだわらない

今回も十字線を引き、
軽い筆圧でアタリを取りました。

指の一本一々にこだわらす、
陰影で描いています。

しかし全体の位置を、
右斜め上に取りすぎました。

これを次項で直していきます。

02・アタリを取り直す.jpg

②完全に消さずに構図・形を直す

構図を取り損ねる事は、
日常茶飯事。

消しゴムを用いて、
半分くらいの濃度に薄く消し、
その以前の「間違い」を、
「指標」にして直します。

完全に消してしまうと、
全く最初から描くのと、
変わりません。

以前描いたもの自体を、
再活用すると意外と簡単に、
より良い構図、形が探せます。

03・全体の階調を整える.jpg

③画面端は省略する

手は実際には、
画用紙から切れる大きさです。

しかし画面端まで克明に描き、
いきなり「ブツ切り」すると、
そこから絵の力が逃げていきます。

画面端に行くに従って、
筆圧を下げ、
濃度も下げて、
画面に馴染ませてボカすと、
要所に視点を集める事が出来ます。

04・完成「私の手(死にゆくものへの祈り)」・510.jpg

④階調を合わせて完成

最後まで部分に拘泥せず、
全体的に陰影を振り分けます。

暗いところから、
明るいところに描く方法と、
その逆の方法がありますが、
どちらの方法を使っても、
全体の明暗階調が整ったら、
自分の持ち時間に合わせて、
何度か同じ手順を繰り返します。

全体的な陰影を見直す回数を、
増やすほど完成度が上がります。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

・・・でした。

次回は2日後、
7月25日(日)に更新します。
よろしくお願い致します。

では!
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広島ピアノ

憶えているうちに画く!
私には出来ません・・・ね(笑)。
コメント有難う御座います。
関西も暑いですか?
お体ご自愛下さい。
by 広島ピアノ (2010-07-23 08:39) 

Shin.Sion

これは黄金率の世界ですね。

凄くわかり易い題材でお話されてるので
理解しやすいです。

nice!とコメントの件ですがコメントくださっ
た方にはなるべく訪問したいのですが、
全てにコメントを残すとなると100件を超え
ている状態なので正直時間がなくて不可能
です。。

一日1万アクセスを越えるブログとなると個人
での運営には限界がありますね。

Shin.

by Shin.Sion (2010-07-23 10:19) 

tromboneimai

僕も自分の手を記憶を頼りに描くのはとてもとても無理です。
神業としか思えません^^;
こういった場合、写真に撮って描くというのは
御法度なのでしょうが、そこに何か境界線の様な
ものがあるのでしょうかね?
小学生の時、凛々しい鷲の上半身をスケッチして図工の
宿題として提出したら、最初は先生、褒めてくれたんですが
図鑑を見ながら描いたのを話したら、本物だったらなぁ~
とため息をつかれたのを良く覚えています。
だいぶ違いますが、写真でも海外のレベルの高い投稿サイト
では、動物園で撮った動物の写真はダメ、としているところが
あります。なかなか判断基準が難しいですよね。
ナギさんの記事をみてふと考えてしまいました^^
by tromboneimai (2010-07-23 23:49) 

岩崎ナギ

広島ピアノさん→きっとできますよ(笑)。
しかし広島ピアノさんであれ、
どなたであれ訓練はもちろん必要です。
普通の写実の時も題材を見て、
画面を見てですから、
短時間ですが記憶を保持しているわけです。
その時間を訓練によって伸ばす訳です。
神戸も暑いですよ!
ありがとうございます。
熱さを乗り切りたいと思います。



Shin.Sionさん→黄金率、
まで高い次元かどうかは判りませんが(笑)・・・
構図はいつも注意しております。

ありがとうございます。
なるべくわかり易く、
平易にお伝えできるよう、
気を付けております。

そうですね、
事実上不可能です。
日にちを分ける位しか、
手だてがありません。
だからナギもナイスという機能は、
余り評価していないのですが、
公平性を考えると、
やむを得ない所もあるのかな、
と考えております。

そうですね、
ブログでの人との関わりは、
とても難しいものです。
Shin.さんほどにもなると、
更に難しいだろうと察しております。




tromboneimaiさん→tromboneimaiさんなら出来ますよ(笑)!
訓練が必要なだけです。
特殊な能力とは異なるように思います。

「写真に撮って描く」は、
絵画全体ではそれほど問題ではありませんが、
写実的なデッサンの場合「3つ」問題点があります。

1・画角が違う

写真を専門にされている、
tromboneimaiさんにお伝えするのは、
釈迦に説法なのですが、
目とカメラとでは画角が違い、
「なるべく」近いものが、
「標準レンズ」の50ミリです。
しかしそれでも個人差までは解決せず、
目で見た印象とは大分異なります。

2・最も明るい所と最も暗い所が潰れる

これもお解り頂ける事と思いますが、
カメラは余りにも明るい箇所は、
「白飛び」して、
余りにも暗い箇所は、
「黒つぶれ」します。
注意深く撮ることで、
ある程度は回避できますが、
暗い映画館に入り最初は何も見えなくても、
徐々に前の観客の格好まで見える、
人間の「暗順応」能力や、
逆に暗い室内から明るい屋外に出て、
しばらく白飛びしてもすぐ見えるようになる、
「明順応」能力にはカメラも及びません。
このデッサンも自然光ですので、
右側面(手としては左手)の暗い部分は、
カメラで拾うとほとんど黒一色でしょう。
またアヴェドンほどの注意深さを持って、
カメラで拾えたとしても、
個人の印刷機で再現できる色域、階調は、
極めて狭いものです。

3・訓練的側面が弱まる

3次元から2次元にするのであれ、
2次元から3次元にするのであれ、
異なる次元に変換するのは、
非常に難しく訓練を必要とします。
その証拠にあれほど超絶的なギリシア彫刻を持つ、
ギリシア文明でさえも絵画では、
稚拙な展開しかみせておりません。
それは画材の問題もありますが、
彫刻が3次元から3次元であるのに対し、
絵画とは3次元から2次元への変換であり、
より難しく文明としてより高度なものだからです。
写真から絵画へというのは、
2次元から2次元であり、
3次元のものを見て2次元に変換するより、
はるかに容易な行為です。
絵画全体から見れば容易であれ何であれ、
面白い作品が出来れば問題ではありませんが、
訓練的側面の強い講座では、
やはりより難易度の高い方に、
慣れておくのに越したことはありません。

以上の様な理由から、
絵画全体で見れば、
写真から描くことに、
何ら問題はありませんが、
訓練的意味合いの強いもの、
階調の豊かさが必要な表現のもの、
には写真の使用は向かない、
という事になります。
by 岩崎ナギ (2010-07-25 05:17) 

tromboneimai

何となくそう思っていたことを、まさに理路整然とご説明して
頂いた感です。ありがとうございました。
こうやって論理的に説明出来ること自体が、素晴らしい才能と
感じますよ^^
by tromboneimai (2010-07-25 09:44) 

ユウユウ

片手を描くのと両手を描くのでは、随分違うのですね。
一瞬前のことでも思い出せない…
この脳トレ、やってみようかなー。
by ユウユウ (2010-07-26 17:08) 

岩崎ナギ

tromboneimaiさんさん→こちらこそ評価して頂き、
ありがとうございます。
才能とは異なると思いますが、
自分の考えている事を、
何とか理解して頂きたいという気持ちは、
本当に強く持っています。




ユウユウさん→両手になると、
10倍くらい難しいです。。。
でもユウユウさんなら出来ますよ。
ぜひ試してみて下さい!
最初は脳が変な疲れ方をします。
by 岩崎ナギ (2010-07-30 05:15) 

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