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「男鹿和雄展」を見に行く [様々なものを見て/review]

01・男鹿和雄展ポスター.jpg

©兵庫県立美術館
男鹿和雄展
The exhibition of OGA, Kazuo.

◎昨日は兵庫県立美術館に、
「男鹿和雄展」を見に行ってきました

男鹿和雄(おがかずお)は「となりのトトロ」など、
宮崎駿作品で背景画を担当した事で、
著名な方です。

同展覧会は07年に都美術館で、
30万人近い動員を記録した事から、
各地への巡回が決定したもので、
神戸でもようやく開催され、
楽しみにして見に行ってきました。

兵庫県立美術館は金、土と、
夜8時まで開けてくれます。
これが助かりますね。
昼間だけだと会社勤務の方は、
見られないのではないでしょうか。

またすっごい作品量が多いんです。
ナギも1回通り見ただけですけど、
ジックリ見ただけあって、
2時間もかかり、
本当に夜間開館で良かったです。

入口にはデッカク、
「現在待ち時間××時間」
の張り紙がありましたが、
寒く小雨の降る日でしたので、
「××」には「0(ゼロ)」と、
入っていましたよ(笑)。
おかげでジックリ見れました。

実際に見てみると、
先ほども書きましたが、
まぁ作品量が多い!
600点も出てる!!

手の遅いナギだと、
一生かかっても、
こんなに描けないでしょう。

あと感じたのは、
非常に「実用的」である事。

それは価値を下げて言うのでは無く、
良く磨かれたナイフとか、
シッカリ走る車とか、
工業製品に近似した、
「機能」を持った絵ですね。

とても印象的だったのは、
ナギが技法を中心に、
『うーむここの色の重ね方は・・・』
などと見ていると、
女性の二人組の方が・・・

(『平成狸合戦ぽんぽこ』の絵の前で)
「山が削られてくのは悲しいよねー。」
という感想をしゃべっていた事。

『そうかーそういう感想になるのか!』
ととても感心しました。

絵を描いている人は、
技法がどうとか、
ゴチャゴチャ言いがちだけど、
絵を描かない人は、
色んな事を含めて、
ざくっと見ている。

それは以前から感じていて、
自分が絵を描くときにも、
注意してはいましたが、
件の会話で改めて、
認識し直しました。

そういう意味でも、
本当に実用的な絵でしたね。

技法としては、
水彩そのもの。

と言っても「透明水彩」ではなく、
「不透明水彩」ですね。
仕事机も展示されてましたが、
「NICKERポスターカラー」でした。

制作紹介の映像もあり、
ごく当たり前の絵具で、
当たり前の技法を用い、
超絶的に丹念に描くと、
これですよ。
ぜひ見習いたいものです。

あとは「背景画」って何かと言うと、
あくまでナギが会場で理解した所では、
背景画の前で人物などを描いた、
「セル画(透明シートに絵を描いたもの)」を、
アニメーションさせ、
その背景の中で、
人物などが動いているように見せる絵、
の事みたいです。

今はCGとかあるので、
どうなってるのか、
ちょっと判りませんけど、
この話題にうとくて済みません。

「つけパン」っていうのもあって、
人物などが動いているのを、
カメラが追って撮影する事なんですけど、
その背景画はすっごい長いんです。

その長ーい背景画の前を、
「トンボ(魔女の宅急便に出てくる男の子)」
が(セル画で)自転車を漕いでいき、
それをカメラが「つけパン」で追うという、
そういう展示も紹介されてました。

その他「密着マルチ」。

「もののけ姫」の中で、
複雑に生い茂る密林の中を、
「アシタカ(主人公)」が、
「ヤックル(架空動物)」に乗って、
疾走する場面がありました。

その多重な草木の茂りを、
何枚かのセルに分け描き、
異なる速度で引くんです。

そうすると近くのものは、
凄い速度で後に過ぎていき、
遠いものはあんまり変わらないという、
電車から見る遠くの山と同じですね、
そういう効果を上げる絵が、
展示されていました。

他にも色々展示されていて、
皆ご紹介したい所ですけど、
余りにも長い文章になるので、
良い加減で省略します。

神戸で巡回は最後なのかな?
ちょっと判りませんけど、
もし機会がありましたら、
ぜひご覧になられては、
いかがでしょうか?

美術館をでると完全に夜。。。

02・神戸夜景.jpg

神戸夜景
The night photo of Kobe.

ではまた明日!
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寡蓮

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

昨年はいろいろありがとうございました。

ジブリ作品の素晴らしさは、キャラクターだけじゃなく、背景を描く達人
がいて初めて完結するものなんですよね。

男鹿和雄展、見に行きたかったです(T_T)

”絵を描いている人は、技法がどうとか、
ゴチャゴチャ言いがちだけど、絵を描かない人は、
色んな事を含めて、ざくっと見ている”

やはり描く側と観る側では鑑賞する尺度が異なるもの
なんですね。

私は、技法の追及は当然大事だとしても、鑑賞する側
の立場で絵を描いたり観たりするようにしたい・・・
常にそう考えてます。

今年もよろしくお願いいたします。

機会があれば、直にナギさんの作品を拝見させていただこうかと
思ってます。

by 寡蓮 (2010-01-09 22:16) 

カズノコ

男鹿和雄という方、はじめて知りました。
都美で2年前にやっていたとは!
お聞きすると、600点の展示、見るだけでも大変ですね!
いいお話、ありがとうございました。


by カズノコ (2010-01-10 00:43) 

岩崎ナギ

寡蓮さん→あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

頑張っておられますね。
バタバタと色々あります。

キャラクター制作は言わば花形。
誰でもやりたがる仕事ですから、
背景制作なくして、
全体の完成はないのでしょうね。

男鹿和雄展、間に合いますよ。
あと1ヶ月近く期間は残っています。

描く側と見る側の尺度は違いますね。
常にその点は私も、
注意を払っておきたいです。

技法の追求は制作者には、
当然必要な事ですね。
でもそれがどういう方向に向けられ、
誰に見て頂くのかは、
もっと大事な問題です。

今年もよろしくお願い致します。

個展も10月終わりから11月初めまで、
2週間ほどやっておりますから、
ご機会がありましたら、
よろしくお願い致します。
by 岩崎ナギ (2010-01-10 06:06) 

岩崎ナギ


カズノコさん→ナギもこの展覧会で、
初めて知りました。
背景を描く方のお名前は、
通常は気に留めませんもんね。
こういう形で脚光を浴びて初めて、
一般的にも知られるようになるのですね。
都美で話題を博し神戸にも来ました。
600点しっかり見るには、
腹を据えないと駄目です(笑)。
こちらこそいつもご覧頂き、
ありがとうございます。
by 岩崎ナギ (2010-01-10 06:07) 

広島ピアノ

私は07年に東京で見ました~。
実際絵を描かれているナギさん程の解釈は出来ませんでしたが、デッサン、そして絵そのものの魅力を感じ、帰ってきたのを憶えてます。

by 広島ピアノ (2010-01-10 10:43) 

岩崎ナギ

広島ピアノさん→都美術館でご覧になられましたか。
それでは日本で一番最初にご覧になりましたね。
素直な心でデッサンや、
絵そのものの魅力を味わえるなら、
それが一番の事と思います。
by 岩崎ナギ (2010-01-12 05:17) 

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