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デッサン完成「私の手」・明日への祈り [デッサン(Dessin)]

005・デッサン完成「私の手(明日への祈り)」・510.jpg

題・「私の手」・明日への祈り
作者・岩崎ナギ
技法・墨+鉛筆
大きさ・318×410(ミリ)6号F

Title / "My Hand" : A prayer for tomorrow
Artist / IWASAKI, Nagi
Technique / Dessin by Sumi(Japanese black ink) & Pencil
Size / 12.7"×16.4"

神戸市・西区民センターでの、
デッサン講座用に、
「私の手」を描きました。

自分の両手を記憶して描くのも、
これで何度目でしょうか?
すぐには正確に思い出せないほど、
何枚も描いた気がします。
でもまだまだ描き足りません。

今回はどこで忘れたのか、
長年愛用してきた、
「鉛筆袋」が教室か別の所か、
無くなってしまい困った状態です。
そこで「筆」で描くことにしました。

「筆」で描くのも「鉛筆」で描くのも、
本質的には全く同じです。

また同じでなければ「鉛筆」で学習するのと、
「筆」学習するのと、
完全に別個に行わなければならない事になります。

時々お聞きするのは、
「デッサンは出来るけど、
絵具を使った途端ムチャクチャになる。」
という状態です。

そういう状態に何故なるのか?と言えば、
「鉛筆の使い方」には習熟されたけれど、
「光と影」で対象を観察される事には、
まだ慣れておられないからだと思います。

ある程度それぞれの「道具」に習熟する事は、
もちろん重要な欠くべからざる事ですが、
ぜひ「光と影」でも観察出来るようになり、
「鉛筆」で描こうが「筆」で描こうが、
問題なく描けるようになって頂きたいと思います。

では今回の描画手順を見て行きます。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

001・大体の「陰影」を取る.JPG

1・ザッと陰影で捉える

「ここは指である」とか、
「手首である」とか、
「何であるか?」に囚われず、
とにかく「暗い所から」、
ザッと塗って陰影を捉えます。

最初は大雑把で結構です。
薄い絵具で描き出すと、
描き始めに入ってしまう、
余分な筆もそれ程、
後には響きません。

これは鉛筆の場合、
最初は弱い筆圧で、
薄く描くのと同じ要領です。

002・筆の持ち方「大きな箇所」01・510.jpg

003・筆の持ち方「小さな箇所」02・510.jpg

2・捉え方が変われば持ち方も変わる

写真上のように大きく捉える時は、
筆(鉛筆)の後の方を3本の指、
親指、人差し指、中指で持ちます。

「受け手」でヘラを持つように持ち、
「線」と言うよりは「面」を描く事を、
意図する時もあります。

写真下は細かい所を描くやり方で、
小指で支点を取り他の所を潰さぬ様、
筆(鉛筆)を立てて描きます。

004・全体に筆を入れ終わった所.jpg

3・徐々に小割りする

1項目で述べたように、
最初はザッっと陰影で捉えます。

次に2項目で述べたように、
筆(鉛筆)の持ち方も工夫しながら、
徐々に小さな面にも目を配ります。

シワや爪など細部が気になりますが、
薄く軽く大きく陰影を捉えて行けば、
「小割」する事は案外簡単なものです。

大から中へ、中から小へ、の流れは、
比較的容易ですが逆に、
小から中へ、中から大へと、
観点や描法を推移するのは、
整合性の点で難しいものです。

例として言えば人間の全身を描く時、
「目」から描いて全身の比率が合う、
というのは中々難しいと言う事です。

005・デッサン完成「私の手(明日への祈り)」・510.jpg

4・完成

部分的に鉛筆を入れメリハリを付け、
完成としました。

メリハリを付けるべき箇所は、
明暗が大きく変化している箇所です。
実際に見えているよりは、
多少強調すれば空気感も伝わります。

逆に明暗にそれほど変化の無い所は、
別の指であってもまとめて塗り、
影の中に埋没させる事も、
大きな意味ではメリハリを増します。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

・・・です。
お読み頂きありがとうございました。

次は12月7日(金)に、
「2012年10月には」の4話を更新予定です。
よろしくお願い致します。

では!
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コメント 4

いっぷく

>1・ザッと陰影で捉える
ここがもう、絵心がない自分にはむずかしいところです
あきらめずに頑張ればできるようになりますか
by いっぷく (2012-12-04 17:28) 

匁

《「光と影」で対象を観察される事には、
まだ慣れておられないからだと思います。》

匁もまだまだこの部類です。
絵の具が上に乗って解からなくなります。
勉強不足です。

by (2012-12-04 21:40) 

カズノコ

鉛筆でなく、最初から筆で描かれること、
見事に陰影をとらえていらっしゃいますね!
流石プロですね!
まず、構図がうまく取れるかどうかが問題
になります。何かの機会に試してみようと
思っています。

by カズノコ (2012-12-05 16:08) 

岩崎ナギ

いっぷくさん→きっと出来るようになりますよ!
自転車の補助輪と一緒で、
補助輪を外す前は『何で2輪でコケないの?』と、
思ったりするものですが、
一旦乗れてしまえば、
『何で出来ないなんて思っていたんだろう?』と、
スッカリ忘れてしまうのと同じ感覚です。
かつ本当は3輪より2輪の方が安定するのと同じで、
輪郭で描かない方がずっと簡単だったりするんです。
コケて擦りむきながら自転車の乗り方を憶えるように、
絵は塗りすぎて黒コゲにしながら、
適切な塗り方を憶えて行かざるを得ないものなのです。
コメントありがとうございます。




匁さん→色(色相)の方が明度より、
先に目に入ってきますから、
色が付くと明暗を捉えるのが、
白黒よりずっと難しくなりますね。
そういう時に少しは助けになるのが、
「眼を細めて見る」というやり方です。
目の真ん中は「錐体」という、
「色」を感じる細胞が集まっているので、
マジマジと見ると却って陰影が解りません。
目の端は「桿体」という細胞で、
「陰影」を見る部分です。
ボーッと眼を細めてみると、
「陰影」が解りやすくなるのはその為です。
コメントありがとうございます。




カズノコさん→いつもありがとうございます。
筆で描くと鉛筆よりも線の幅が、
広く取れますので、
完成までに要する時間を、
鉛筆より却って短縮できます。
構図を上手く捉えられるかどうかの問題は、
確かにありますね!
それが最初から筆で描くときの弱点です。
下絵を他の紙に何回か取ったり、
この記事にありますように、
「薄く溶いた色」で描き出し、
後になるべく響かないようにしたり、
色々な工夫が必要と思っています。
by 岩崎ナギ (2012-12-07 05:43) 

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