SSブログ

デッサン完成・「(笑)自画像(死を忘れるな)」 [デッサン(Dessin)]

06・「大笑いの自画像」完成・510.jpg

題・(笑)自画像(死を忘れるな
作者・岩崎ナギ
技法・鉛筆デッサン
大きさ・318×410(ミリ)6号P

Title / (LOL) Self Portrait "Memento mori"
Artist / IWASAKI, Nagi
Technique / Dessin by Pencil
Size / 12.7×16.4(inch)

Adriaen_Brouwer「アドリアン・ブラウエル・苦い薬」.jpg

●参考
アドリアーン・ブラウエル
「苦い薬」
●Reference
Adriaen Brouwer
"Der bittere Trank"

◎デッサン「(笑)自画像(死を忘れるな)」、
完成しました。

日本語で「死を忘れるな」と言うと、
少し大げさですが、
西欧では「メメントモリ」という、
ラテン語と共に古くから、
芸術の主題として扱われてきました。

古代ローマでは将軍の凱旋時、
「うぬぼれ」を戒めるため、
すぐ後に立った使用人が、
この言葉を繰り返すのが常でした。

その「戒め」も古代では、
「だから今を楽しもう!」

という享楽的なものでしたが、
キリスト教世界では、
「だから虚栄を慎もう。」

という禁欲的な主題へと、
変化していきました。
(出典ウィキペディア)

「泣いてばかりで人生を過ごしては行けない。
笑ってばかりで人生を過ごしても行けない。」
(ユダヤの箴言)

そういう警句的要素と、
フランドルの風俗画のような、
(例えばブラウエル「苦い薬」)
人間の感情を飾らず描く要素とで、
自身を描きました。

絵としては「利き手」の、
右手をポーズとして、
上に上げているので、
「見ながら描く」

という事が出来ず、
「見て憶えて描く」
方法になり、
記憶力の訓練になりました。

西区民センター「デッサン講座」としては、
今週の火曜日の授業での、
課題としたいと思います。

では以下に指導案を記します。
ご助言頂ければ幸いです。

+++++++++++++++++++++++

02・「アタリを重視」.jpg

①「塊」でアタリを取る

いつも通り十字線を取り、
構図を取っていきます。

今回は自画像で「鏡」を見るため、
「指四角」は使えません。
そこで、より「アタリ」を重視します。

この「アタリ」は輪郭線よりも、
「塊(カタマリ)」で取られた方が、
量によって形を増減でき、
修正が容易です。

アタリは単に「探りを入れる」もの。
次項で改善して行きます。

03・「大きさを修正」.jpg
04・「位置を修正(左に)」.jpg

②直す事を重視する

「アタリ」はあくまで、
「形や構図の見当をつける」もの。

それ自体が決定案ではありませんから、
一度で完璧に取れる事は、
むしろ「ほとんどない」事です。

今回も「少し大き過ぎる」という事で、
全体的に縮小(上図)し、
「手が切れ過ぎる」という判断で、
もう少し左に移動しました(下図)。

軽い筆圧の「アタリ」段階の内に、
このように何度でも修正します。

05・「全体的に進める」.jpg

③明暗関係を維持し全体的に

描き進めて行く時は、
明暗関係を維持し全体を描画します。

例えば「黒髪」よりも「肌」の方が、
明度が暗くなったりする事は、
極力避けるようにします。

描画の流れの中で一時的に、
明暗関係が逆転したとしても、
すぐに相対的な明度関係を回復します。

最も暗い所から最も明るい所へ、
画面全体を見渡した描画を、
時間の範囲内で数度に分けて行います。

06・「大笑いの自画像」完成・510.jpg

④要点を定め完成

納得いくまでトコトン描ければ、
それが最も良い事かも知れません。

しかし通常は時間的制約があるので、
どこかで完成とする事になります。

前項で説明しましたように、
全体的に描画できていれば、
その絵で大事だと思う要点を定めて、
その部分を他より描き込む事で、
「完成」とする事ができます。

今回は指と鼻の接点を「要点」と定め、
最も密度を上げて描写しました。

+++++++++++++++++++++++

以上です。
今度は4月23日金曜日に更新しますね。

では!
nice!(17)  コメント(10) 
共通テーマ:アート

nice! 17

コメント 10

toshiro

NYから帰られ、一段と力が感じられますますね!
やはりNY体験で大きな変化があったのでは・・・
by toshiro (2010-04-18 08:40) 

shin

この自画像は素晴らしい!

それ以外言葉がみつからない。。

Shin.

by shin (2010-04-18 08:57) 

toki

色がつくとどんな感じに仕上がるんでしょう??

by toki (2010-04-18 20:40) 

michaela

タイトルを見た瞬間、メメントモリという言葉が頭に浮かびました。
私はカトリックなんですが、今の教えは「虚栄を慎もう」というより、「だから今を大切に」という感じですね。
過去にとらわれず、未来を不安に思わず…。

自画像、パワフルで素敵ですね!
製作過程がとても参考になりました。
by michaela (2010-04-19 10:17) 

匁

死を忘れるな!
そんな気持ちで描かれたんですね。
喜怒哀楽の表情って難しいですね。
勉強になります。

by (2010-04-19 18:06) 

カズノコ

自戒の言葉、本当に参考になります!

指導案~問題なし、
指と鼻の接点、よく見ると、なるほどと納得がいきました。
ありがとうございました。
by カズノコ (2010-04-19 18:45) 

アメ

久しぶりの訪問です
・・・・が 
入選作品がたくさん並んでいるのをみてとても感動です 
多方面での御活躍、おめでとうございます

実際に一年ぶりにお会いしてすごく自信たっぷりと・・大きく成長されたなと感じておりました

・・・・で
昨夜も御指導ありがとうございました
今朝、先生の御指摘の部分の修正しながら
「塊」としてとらえる→表現の意味がわかりました
「塊」を意識すると三次元の世界になるのですね
(ちょっと大げさですが・・・笑)
うれしくなりました
皆さんに刺激を受けながら、少しずつ頑張ります







by アメ (2010-04-21 13:22) 

岩崎ナギ

toshiroさん→ありがとうございます。
やはり実際に行った事で、
もっと必死さが増したと思います。
より改善したものを展示できるよう、
頑張っていきたいと思います。
よろしくお願い致します。



Shin.さん→ありがとうございます。
Shin.さんにそう言って頂けて光栄です。
またご助言頂ければ幸いです。
まだまだ精進して行きますので、
これからもよろしくお願い致します。



tokiさん→これは色は付けないですね。
デッサン作品のみです。
ありがとうございます。



michaelaさん→すぐにお解りになりましたか。
教えも時代と共に変化し、
今はより前向きになっているんですね。
「明日を思い煩うな。」
という言葉もありましたね。
「今日一日の苦労は今日一日にて足れり。」
この言葉もいつも思い出します。

作品を気に入って頂いて、
ありがとうございます。
悩みすぎず素直に描いていきたく思います。



匁 さん→いつもいつもでは、
ありません(笑)。
でも自分は臨死体験を持ち、
綺麗事ではなく、
日々、一日一々の貴重さは、
身にしみて感じております。
よくお読み頂き、
ありがとうございます。



カズノコさん→一日一々が、
本当に貴重ですね。

おっしゃる通り、
ものと、ものが、
重なったりくっついたりしている所は、
とても重要です。
いつも丁寧にご覧頂き、
ありがとうございます。




アメさん→しばらくぶりにお越し頂き、
ありがとうございます。
「塵も積もれば山となる」
入選はおかげ様で、
8個目となりました。
今年中の10個獲得を、
当面の目標としております。

やはり実際に授業を行ってみて、
皆さんの反応を見て、
失敗だなと感じるときもあり(笑)、
今日は上手く説明出来たと、
納得できる事もあり、
一回一々勉強させて頂いています。
ありがとうございます。

同じ題材に、
飽きずに繰り返し取り組む事が、
上達には欠かせません。
とても良い取り組みを、
されている事と思います。
デッサンも本当に色々ですが、
三次元で捉える基本的な訓練も、
ご自身の制作でどんな画風を取るのであれ、
きっとお役に立つ所もあると思います。
これからもよろしくお願い致します。
by 岩崎ナギ (2010-04-23 05:53) 

tromboneimai

とても生気を感じさせる自画像ですね。
タッチもそうですがご本人に溢れ出る
生気があるのでしょうね^^
by tromboneimai (2010-05-01 23:02) 

岩崎ナギ

tromboneimaiさん→ありがとうございます。
生気は自分では解りません。
しかし他の方から見て頂いた時に、
活き活ゝと見える人でありたいです。
by 岩崎ナギ (2010-05-07 05:21) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。